【2006/08/16 産経 東京朝刊から】(08/16 08:51)より
≪台湾は賛否言及避ける≫
【台北=長谷川周人】中央通信によると、台湾外交部(外務省)の呂慶竜報道官は15日、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について、「日本は過去の歴史を正視すべきだ」と指摘する一方、「台日関係が強化されることを期待する」と述べて参拝の賛否には言及せず、対日関係を重視する従来の姿勢を強調した。呂報道官は「日本は積極的にアジア・太平洋地域の平和に貢献してほしい」とも語り、中国と政治的に対立する台湾として、域内の多様な世論に配慮する姿勢を示した。
以上のように産経は、小泉首相の靖国参拝について台湾はやや否定的とする報道を行ったが、実はこの報道は誤訳であると指摘されている。
メルマガ「台湾の声」より
<台湾の声ニュース>2006.8.18
小泉神社の靖国神社参拝に中韓が抗議する中、台湾外交部の呂慶龍スポークスマンは15日「台湾と日本の関係強化を期待するとともに、日本がポジティブな視点から過去の歴史を見て、積極的にアジア太平洋の平和に貢献してほしい(日本能以正面的眼光看待過往歴史,並以積極性的方式為亞太和平作出貢献)」とコメントした。
これは日本が歴史において果たしてきた役割を肯定し、その上で、今後の日本の貢献を期待するもの。中韓と180度異なる歴史観からの発言で、陳水扁政権の去年までのコメントと比べても、台湾主体の歴史観を打ち出しており、画期的と言える。
ところが、日本の報道では「直視すべき」(毎日)、甚だしくは「正視すべき」(産経・NNA)と訳し、「日本政府が歴史を直視していない」という批判を込めているように伝えている。これは台湾政府の立場を、あたかも批判的であるかのように、正反対に曲げて伝えているものだ。重みのあるコメントの真意を伝えず、このような歪曲報道を行ったのは、怠慢を通り越して悪質である。台湾報道のプロを自任するのであれば、翻訳にも責任を持つべきではないか。
一方、在台中国人であり中国的歴史観を持つ国民党の馬英九主席は16日「日本はこの問題についてもっと慎むことで、隣国の好感を得ることが出来る(在這議題上應該更為謹慎,才能贏得隣邦的好感)」と、中国寄りの視点でコメントを出した。
17日に台湾から「保釣」運動家5人が靖国神社参拝に抗議するとして遊漁船で尖閣諸島に近づき、海上保安庁の巡視船に投石した件について、台湾の海上保安当局が事前に、遊漁船の航海許可範囲を越え場合、処分を行うと警告していたことを中国のネットニュースが報道した。これに対し1949年に台湾に来た在台中国人である運動家が「お前らは中国人だろう?日本人なのか?」と抗議を行ったという。
在台中国人が台湾人不在の思考を持っていること、台湾政府が中国人と一線を画していることが分かる。
陳水扁総統は今日18日、戦後初となる台湾巡業中の日本相撲協会の北の湖理事長、横綱朝青龍、大関陣らの表敬訪問を受け、自らも相撲を見るのが好きだと笑顔で歓迎した。力士たちに台湾で楽しく過ごして欲しいと語った。
台湾HPによれば、今や国民の8割が「台湾」名で国連加盟を望んでいる。日本人もこれを支持し、米とともに台湾と連携して中共の軍事脅威に対処すべきではないだろうか。