6月16日。生井秀樹の1周忌だった。
この1年、ボクはほとんど腑抜けだった。ほとんど誰にも会わなかった。楽しみはただただ家族と過ごす日々だけだった。
こんな日々が来るとは、1年前まで想像もしていなかった。端から見れば、この1年のボクの居住まい立ち居振る舞いは、まるで鬱のように見えたことだろう。まあ、見た人はそう多くはないのだが。
そうは言っても、日々の労働は必須で、そこでは顔なじみの人々に合う。だが、会話はほとんどないに等しかった。それも当たり前で、ボクの生業の一つは校正だから。しゃべりながら校正する人間は、ほとんどいない。
そんなこんなで、この1年を振り返ってみるのだが、やはり生井ロスは甚だしい。
正直なところ、これまで家族を失ってもこれほどの喪失感はなく、ただただ生井の喪失感が突出してボクを腑抜けにした。別に彼と愛し合っていたわけでも、切りがたい絆で結ばれていたわけではないのだが、どこか代えがたい人なのだった。
1周忌は、生井の親しかった人と令夫人が集まったと聞いたが、参加しなかった。
ボクの都合が悪かったということにしておく。
今も、生井の喪失感はボクに付きまとう。
こんなことを書いても誰も信用しないかもしれないが、6月15日の夕方、ボクのスマホに突然生井とボクが映っている写真が現れた。自撮り写真で、2人の間には生井の撮ったセックスピストルズのヴォーカル・ジョン・ライドンの写真があった。ボクのスマホは2021年から使い始めたもので、その写真は2018年に撮ったものだと記憶する。だからスマホには当然その写真はないはずで、よしんばクラウドから降りてきたものだとしても、その後にいくら検索しても出て来はしない。
そして、同じタイミングで普段全く使わないスマホのメールが突然反応したので見ると、次のような文面が。
生井「待ってます」
これは、生井が闘病中にボクが生井に対して退院を、そして再び呑み合える日が来るのを「待ってます」と送った文面なのだが、何の脈絡もなく突然画面に出てくると、違った印象を受ける。
前よりも鮮明に、生井と過ごした日々が蘇る。これは、全く抗いようのない、いつまでも続くことなのだろうと覚悟している。
この1年、ボクはほとんど腑抜けだった。ほとんど誰にも会わなかった。楽しみはただただ家族と過ごす日々だけだった。
こんな日々が来るとは、1年前まで想像もしていなかった。端から見れば、この1年のボクの居住まい立ち居振る舞いは、まるで鬱のように見えたことだろう。まあ、見た人はそう多くはないのだが。
そうは言っても、日々の労働は必須で、そこでは顔なじみの人々に合う。だが、会話はほとんどないに等しかった。それも当たり前で、ボクの生業の一つは校正だから。しゃべりながら校正する人間は、ほとんどいない。
そんなこんなで、この1年を振り返ってみるのだが、やはり生井ロスは甚だしい。
正直なところ、これまで家族を失ってもこれほどの喪失感はなく、ただただ生井の喪失感が突出してボクを腑抜けにした。別に彼と愛し合っていたわけでも、切りがたい絆で結ばれていたわけではないのだが、どこか代えがたい人なのだった。
1周忌は、生井の親しかった人と令夫人が集まったと聞いたが、参加しなかった。
ボクの都合が悪かったということにしておく。
今も、生井の喪失感はボクに付きまとう。
こんなことを書いても誰も信用しないかもしれないが、6月15日の夕方、ボクのスマホに突然生井とボクが映っている写真が現れた。自撮り写真で、2人の間には生井の撮ったセックスピストルズのヴォーカル・ジョン・ライドンの写真があった。ボクのスマホは2021年から使い始めたもので、その写真は2018年に撮ったものだと記憶する。だからスマホには当然その写真はないはずで、よしんばクラウドから降りてきたものだとしても、その後にいくら検索しても出て来はしない。
そして、同じタイミングで普段全く使わないスマホのメールが突然反応したので見ると、次のような文面が。
生井「待ってます」
これは、生井が闘病中にボクが生井に対して退院を、そして再び呑み合える日が来るのを「待ってます」と送った文面なのだが、何の脈絡もなく突然画面に出てくると、違った印象を受ける。
前よりも鮮明に、生井と過ごした日々が蘇る。これは、全く抗いようのない、いつまでも続くことなのだろうと覚悟している。