NHKのニュースを少し見るくらいで、僕はほとんどテレビを見ない生活をしている。今日は土曜日なので、ついついテレビをつける時間が長かったおかげで、偶然『和風総本家』の「世界で見つけたMade in Japan」という番組(再放送)に出会えた。これが実に面白かった。
日本の零細企業で作られている道具が地球の裏側で高い評価を得て大切に使われているというドキュメントだ。
一つはJICOのレコード針。アメリカNYのジャズボーカリストが誇らしげに、これが僕のJICOだと自慢げに取材班に見せるシーンがいい。
このレコード針は兵庫県の日本海側、浜坂海岸にほど近いところで作られている。日本精機宝石工業という社員40数名の会社だ。この会社で作られる高精度のレコード針のJICOが世界のオーディオファンやプロのアーティストをうならせている。痛快だ。
アメリカで取材した様子をビデオで社員の皆さんに見てもらって、感想を訊ねると女性社員が近所ではこんなに高く評価してもらっていないのに、とポツリと言われた。思わず吹き出した。レコードを聴く時代ではなくったけど、根強いファンは世界中にいる。そのコアなファンに高く評価してもらっている事実に社員の皆さんは誇らしげだった。
もう一つはシントーの鋸ヤスリ。一本が千数百円の製品だ。金切鋸刃を亀の甲ら状に組み合わせたヤスリで、金鋸の歯を作っている兵庫県の三木市の会社で作られていて、今では同社の主力製品に育っているようだ。フィンランドの家具メーカーで使われている様子を取材。家具職人にインタビューすると高い評価で絶賛されていた。そのインタビューの様子をビデオでシントーの社員に見てもらう。皆さん、笑顔がこぼれる。気恥ずかしさと誇りに満ちた実にいい笑顔だった。
日本の中小零細企業は頑張っている。丁寧な仕事をこつこつと続けている。ユニークで品質レベルの高い製品が今もこの日本で生み出されている。まだまだ他にも世界に誇れる製品が数多く日本の中小零細企業で作られていそうだ。がんばろう、ニッポン、の気持ちを新たにさせてくれる感動的な素晴らしい番組だった。