週刊ダイヤモンドの最新号(4/25号)の櫻井よしこさんの「オピニオン縦横無尽」を読んで、鬱々と胸につかえていたものが一気にとれてスッとした。まさに我が意を得たりだ。
あの福井地裁の樋口裁判長の高浜原発運転差し止め仮処分の乱暴な決定には愕然とした。櫻井さんが問題提起した2点はもっともな指摘だ。
一つは、昨年7月に設定した新規制基準は「緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない」「新規制基準は合理性に欠く」と断定した点だ。新規制基準は世界一厳しいと言われている。僕の目にも厳しすぎると映っている。それなのに関電側が求めた専門家による意見書の提出も拒み、原発の専門家でもない裁判官が独断で断じた。
二つ目に櫻井さんが提起したのは地震、活断層に大きく偏っている点だ。福島第一原発は1000年に一度のマグニチュード9の地震でも損傷を受けず、立派に耐えた。ただ津波で全電源を失い、原子炉を冷やすことができなかったために水素爆発を起こした。樋口裁判長がその判断の根拠とした強震動地震学の権威、京大名誉教授の入倉孝次郎の発言内容について、教授本人が毎日新聞に裁判長は理解していないのではないかと述べておられる。専門家の意見や科学的知見に目をつぶり、理解もできず、イデオロギー優先の裁判官の姿勢だと櫻井さんは批判されている。まったくその通りだと思う。
今回の樋口裁判長の独断と偏見に満ちた決定によって「日本の原発、エネルギー政策が曲げられていくこの不条理を横行させてはならない」と櫻井さんは結んでおられる。
日本の原発再稼働問題に時間的余裕はない。痩せ衰えて、足腰が立たなくなる前に冷静に科学的な根拠に基づいた正しい判断で行動して国家が立ち直らなければならないという命題にどう向き合うかなのだ。
櫻井よしこさんのコラムを読んで、日本の知性はまだ強く生きていると意を強くした。スピード感をもって仮処分決定を覆す判断が早く下ることを願ってやまない。