NHKラジオ深夜便の「明日へのことば」で増永迪男さんの「ふるさと福井の山を歩き尽くす」を聴く。増永さんは福井山岳会の会長であり、山岳エッセイストでもある。以前、増永さんの著書も読んだことがあるけど、飾らない朴訥とした文章が好印象だった。
僕のふるさとは福井県の武生。同じ郷土の訛りが懐かしくて増永さんの話に聴き入った。81歳とは思えない溌剌とした声の明るさがすばらしい。
ラジオを聴き終えて、お湯を沸かしてEarl Grey Teaをラジオの余韻を愉しみながら飲む。やっぱり山はいいなあ。
僕の故郷の山は日野山だ。毎日、日野山を眺めながら育った。端正な山容なので越前富士とも呼ばれ、白山を開山した泰澄によって開かれた信仰の山で、紫式部や芭蕉や与謝野晶子にも歌に詠まれている。
増永さんの話を聴いて、緑に包まれたふるさとの山、日野山を思い浮かべた。ふるさとの山はいいなあ。
ふるさとの山に向ひて言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな
石川啄木
ふるさとに帰る山路のそれならば
心やゆくとゆきも見てまし
紫式部