ヤツデ;天狗の羽団扇。手ウコ科の常緑灌木。暖地で山林に自生するが、庭木にも多くもち用いられる。2メートルほどの高さに達し、葉から七つから八っ裂けて掌状であることかその名画あり、別名「天狗の羽団団扇」とも称される初冬の頃、花茎を伸びて枝別れし、その先に黄白色のごく小さ花を球状につける。翌年の初夏に黒い実を結ぶ。冬ざれの住宅地を歩いていると塀際や裏の脇などに、地味な花をつけているのを見かける。「花咲いて不調法なる八手かな 三津人」「写真師の生活ひそかに花八手 飯田蛇忽」「一ト時代八つ手の花に了りけり 久保田万太郎」「たんねんに八手の花を虻舐めて 山口青頓」「いと白う八つ手の花にしぐれけり 中村汀女」「八ツ手咲け若き妻ある愉しきに 中村草田男」「踏み込んでもはやもどれず花八ッ手 加藤楸邨」「遺書未だ寸伸ばしきて花八つ手 石田波郷」「いつ咲いていつまでとなく花八手 田畑美女」「みずからの光をたのみ八ッ手咲く 飯田龍太」「花八手生き残りはみな老いて 草間時彦」「本開けしほどのまぶしき花八つ手 波野爽波」「花八つ手日蔭は空の藍浸みて 馬場移公子」「八つ手咲く父なきことを泰氏とも 友岡子郷」「花八つ手星またたけ少し散り 中嶋秀子」「離れ住むことにも慣れて花八手 片山由美子」。(陽能見久美子子に集め花八つ手 ケイスケ)。