こうしてネットラジオでジャズをひがな聞いていると 昔を思い出す。
まだジャズなどという音楽を知らなかった頃。
田舎に帰省していて 図書館で本を探した帰り、普段と違う小道を通り大通りに出ようとして通った初めての道。こんなところにお寺があったのか・・・脇を通りながら 右に曲がった。
曲がってすぐの右の建物。縦長のこげ茶色の窓が開けられていた。その隣が入口らしい。なんだか聞いたことのない音楽がこぼれていた。入口から中は見えない。薄暗い感じだった。
どんなお店なんだろう・・・なんだかすごく惹かれるものがあった。
それから二度目にそこを通ったときに 意を決して入ってみた。木の扉はガラス入りでこげ茶色は焦がしたような色に見えた。白いカウンターが薄暗い中で光っているように見えた。奥にはなんだかわけのわからないとんがり帽子の形をした置物があった。扉を開けた途端に 耳に大きく響いた音楽。これは・・・何?
ともかく座ろうと思った。カウンターから離れて 外に開けていた窓わきに座った。そしてあの頃は そこがわたしの指定席になった。4人かけのテーブルに一人で座るなんて なんて我儘なお客だったことだろう。
しかし わたしにとってはそこが居心地よかったのだ。あの頃はカウンターに座るなんて恐れ多くてできなかった。カウンターは常連さんの場所・・・そんなイメージがあった。新参者は隅っこに・・・なんて思ったものだ。
珈琲を頼むと、白いカップには「UCC」の文字があった。シュガーポットにはまるで小人の家のように木のふたがついていた。シュガーポットといっても珈琲カップを使っていた気がする。だからスプーンを入れる部分は木のふたの部分を切って そこにスプーンを置いていたみたいだった。手づくりなのかなぁなんて思いながら わたし好みのあまり濃くない珈琲の味がたいそう気に入った。開かれた窓は外の扉だけで 中はガラス窓になっている。だから実際には窓があいているわけではないということにも気が付いた。外扉が開いているので その場所は少し明るくて わたしの目の前で光の筋がきらめくこともあった。珈琲の湯気がその光の筋の中をゆらゆら揺れて昇っていくのを見ると 気分が落ち着いたものだ。
ジャズは何も知らず 曲も演奏者も知らず ただただ流れる音に耳を傾けるだけだった。でもなんて気持ちいいんだろう・・・ただ音楽だけが流れ 人の会話もほとんどない、昼すぎのそこはわたし以外にほとんど人がいなかった。
あの頃 昼も営業していたミントンハウス。今は夜だけの営業だけど、こうして一日中ジャズを聴いているとあの初めてお店を知って入った頃の自分を思い出す。
あれから 人生はめまぐるしく変化してきた。
でも わたしの中にジャズは残っている。この音楽を聞けることがなんとなく嬉しい 今日という日。
まだジャズなどという音楽を知らなかった頃。
田舎に帰省していて 図書館で本を探した帰り、普段と違う小道を通り大通りに出ようとして通った初めての道。こんなところにお寺があったのか・・・脇を通りながら 右に曲がった。
曲がってすぐの右の建物。縦長のこげ茶色の窓が開けられていた。その隣が入口らしい。なんだか聞いたことのない音楽がこぼれていた。入口から中は見えない。薄暗い感じだった。
どんなお店なんだろう・・・なんだかすごく惹かれるものがあった。
それから二度目にそこを通ったときに 意を決して入ってみた。木の扉はガラス入りでこげ茶色は焦がしたような色に見えた。白いカウンターが薄暗い中で光っているように見えた。奥にはなんだかわけのわからないとんがり帽子の形をした置物があった。扉を開けた途端に 耳に大きく響いた音楽。これは・・・何?
ともかく座ろうと思った。カウンターから離れて 外に開けていた窓わきに座った。そしてあの頃は そこがわたしの指定席になった。4人かけのテーブルに一人で座るなんて なんて我儘なお客だったことだろう。
しかし わたしにとってはそこが居心地よかったのだ。あの頃はカウンターに座るなんて恐れ多くてできなかった。カウンターは常連さんの場所・・・そんなイメージがあった。新参者は隅っこに・・・なんて思ったものだ。
珈琲を頼むと、白いカップには「UCC」の文字があった。シュガーポットにはまるで小人の家のように木のふたがついていた。シュガーポットといっても珈琲カップを使っていた気がする。だからスプーンを入れる部分は木のふたの部分を切って そこにスプーンを置いていたみたいだった。手づくりなのかなぁなんて思いながら わたし好みのあまり濃くない珈琲の味がたいそう気に入った。開かれた窓は外の扉だけで 中はガラス窓になっている。だから実際には窓があいているわけではないということにも気が付いた。外扉が開いているので その場所は少し明るくて わたしの目の前で光の筋がきらめくこともあった。珈琲の湯気がその光の筋の中をゆらゆら揺れて昇っていくのを見ると 気分が落ち着いたものだ。
ジャズは何も知らず 曲も演奏者も知らず ただただ流れる音に耳を傾けるだけだった。でもなんて気持ちいいんだろう・・・ただ音楽だけが流れ 人の会話もほとんどない、昼すぎのそこはわたし以外にほとんど人がいなかった。
あの頃 昼も営業していたミントンハウス。今は夜だけの営業だけど、こうして一日中ジャズを聴いているとあの初めてお店を知って入った頃の自分を思い出す。
あれから 人生はめまぐるしく変化してきた。
でも わたしの中にジャズは残っている。この音楽を聞けることがなんとなく嬉しい 今日という日。