All Exhibition Shots Of 2019 (Spin, Power, Trick Shots)
英国式ポケット・ビリヤードで
あるスヌーカーが大いに盛り上
がるのは、チョンチョンと当て
玉転がしで入れるのではなく、
このトランプ選手のようにまるで
アメリカン・ポケット・ビリヤー
ドのようなスーパーショットを
連発させる選手が多いからだ。
そして、英国人の観客の目も肥
えているので、地味なショット
でも高度な技法を駆使したショ
ットは見逃さず、称賛の拍手を
送る。
最大最高のエンターテイメント
性を持っているのがスヌーカー
だ。
日本には1980年代末期に登場
したが、あまりにもアメリカン・
プールが流行り過ぎていたので、
日本では普及しなかった。
アメリカン・プールのような
9フィートの中台(日本語の
古い呼称)ではなく、長クッ
ション約12フィート(11'8.5")の
の大台で、アメリカン・プール
よりも小さな玉を小さな穴に
入れるのがスヌーカーだ。
しかも、ポケットはエッヂが
丸まっていて、プールのように
レール際を這わせるショットは
ほぼ入らない。
手玉のポジショニングが非常に
繊細で正確なショットが求め
られる。
そのため限界まで低く構えて、
地面に伏せたライフル狙撃の
ようにしてショットして的玉
をシュートする。
シュートだけでは駄目で、手玉
を自由自在に狙った場所まで
動かす。
英国では、スヌーカーのトップ
プロは数億円を稼ぐ。
それほどにプロモートがしっかり
しており、また、英国の国技で
あるかのように定着している。
また、コモンウェルスである
英連邦各国でもスヌーカーは
盛んに行なわれている。
点数システムはプールとは全く
異なる。従って狙ってシュート
して手玉を次の玉に出すのも、
非常に複雑なチェスのような
綿密な計算が必要になる。
間違いなく、ポケット・ビリヤ
ードで一番高度で難易度が高い
種目がスヌーカーだ。
守備と攻撃が極端で、守備から
攻撃に転じた時には一気にまく
り上げる。
そのため、超上級者の対戦は
大差がつく事も多く、観客を
熱くさせる。
スヌーカーはポケットインの事
をポットと呼ぶ。
最近登場したチャイニーズエイト
という大陸中国発祥の種目は、
アメリカン・プールの9フィート
台の穴を絞ってコーナーエッヂを
丸くしたスヌーカーに似た台を
用いてアメリカン・エイトボール
を行なう競技だ。
ほぼ全員のプレーヤーがコツコツ
ちょんちょん当ての転がし玉を
やっており、英国のスヌーカーの
ようなダイナミックさは皆無だ。
大陸中国は巨大な資本力を投じて、
全世界にチャイニーズエイトを
流行らせようとしている。
大会での莫大な賞金を出すように
して。
だが、根本的にアメリカン・プール
の亜流であり、プールでもスヌー
カーでもない折衷模倣でしかなく、
そのゲーム性よりも賞金の多さ
目当てで参加する選手は増えて
いても、本来のプールの戦闘的
で先鋭な持ち味やスヌーカーの
広い海原を手玉が駆け巡るダイ
ナミックさは無い。
本物は本物。亜流を寄せ付けない。
アメリカン・ポケット=プールと
英国ポケット=スヌーカーは独立
した確固たる存在であり、他の
亜流模倣とは無縁である。
スヌーカーとプールはインディペン
デントなのだ。
なお、チャイニーズエイト台は
中国の発明ではない。
北米でも中南米でも、大昔から
9フィートプール台のコーナー
エッヂを丸めた台は普及して
いた。特に中南米では今でも
そうした台でプールを撞く事が
一般的に流行している。昔から
の事だ。
その台でアメリカン・ポケットの
種目であるエイトボールを撞いた
からと、チャイニーズと名付けて
呼ぶのはいかがなものか。
またぞろ、ソ連のAK47小銃を
大陸中国はライセンス生産して
いたのに、自国発明の独自物と
言い張ってソ連にロイヤリティ
を未払いで押し通したのと同じ
姿勢が見え隠れする。
スヌーカーのベストショット
集2022。
スヌーカーよりもアメリカン・
プールが一つ優れている事がある。
それは中国で行なわれたスヌー
カーの大会では、試合で負けた
選手は「フン」という感じで
その場を即退場するのだ。即。
アメリカン・ポケットのように
試合後に対戦者と握手する事は
一切無い。
敗者が勝者の検討を称えるという
アメリカン・ポケットの風習は
中国での大会では見受けられない。
これはこれまた英国式撞球である
のに、さすがにいかがなものか。
新式であるのか、中国での試合
の大会コードなのかは不明。
対戦者は相手と会話したり接触
してはいけない、という大会
規則があるのかも知れない。
かつての英国内スヌーカーでは
握手のシーンも見られたからだ。
44 BEST SHOTS | World Snooker Championship 2022
英国本国での大会。
挨拶を交わす。