く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<奇形大根> なんだ、こりゃ? 先が5つに枝分かれ!

2018年01月13日 | アンビリバボー

【長さ30cm・150円、JAの農産物直売所で販売】

 12日午後、国道163号を京都府木津川市方面へ走っていて、左手にある農産物直売所「JA京都やましろ 愛菜館」(精華町乾谷金堀)に立ち寄った。ここに入ったのはこれが初めて。野菜や米、手作りの漬物などがずらりと並ぶ。いずれも新鮮で安い。その中で目を引いたのがこの大根。途中から枝分かれし、左右に2本ずつ伸び、そして真ん中にも小さなものがちょこんと! この異形の大根、まっすぐな正統派大根の中でひときわ異彩を放っていた。

 値札には「精華町産 清水勉さんの長大根 税込み150円」とあった。持ち帰って早速体格測定。身長は葉を除く本体部分で約30cm、上部の腰周りも30cmほどあり、体重は2kg近くあった。上から11cmほどの所から5つ(真ん中右上のごく小さいものを含めると6つ)に枝分かれ。一般の食品スーパーでは決して目にできない珍品だ。というわけで、測定後、前後上下左右から記念撮影。枝分かれは先端の生長点が小石や土、堆肥などの硬い塊に当たるのが原因という。この〝股根〟を防ぐには土を十分に掘り起こし障害物を取り除いてフカフカの土を作ることが不可欠で、「大根十耕」という格言もあるそうだ。

 

 枝分かれした大根でよく見掛けるのは2つに分かれた二股大根。東北地方には「大黒さまと二股大根」の民話が伝わる。好物の餅を食べ過ぎおなかを壊した大黒さまが、川で大根を洗っていた娘に薬代わりにしようと1本所望した。娘は旦那さまが大根の本数を数えているので渡すと叱られるといったんは断る。ところが大根の中に二股に分かれたのが1本あった。そこで片方をもいで渡すと、それを口にした大黒さまの腹痛も治った――。東北地方ではその言い伝えから今も二股大根を大黒天に供える風習が残っているという。

 江戸後期の浮世絵師、葛飾北斎には『大黒に大根図』という作品がある。大黒さまが大きな二股大根を肩車した姿をユーモラスに描いた。大阪市浪速区の大国主神社には二股大根が描かれた絵馬もある。この神社の祭神は日本神話に登場する大国主命(おおくにぬしのみこと)。大国が「だいこく」とも読め「大黒」に通じ混同・習合して信仰が広まったことによるとみられる。大根は歓喜天(仏教の守護神天部の一つ)の供物にもなっている。歓喜天を本尊とする東京・浅草の待乳山(まつちやま)聖天の紋章は巾着と二股大根を組み合わせた図柄。巾着は商売繁盛、二股大根は無病息災や夫婦和合、子孫繁栄を象徴するそうだ。

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<橿原市昆虫館> ギョ! 新館に「ステキなゴキブリ天国!」

2017年11月28日 | アンビリバボー

【飼育ケース内に世界各地のゴキブリがどっさり!】

 心優しい昆虫少年が室内にいたゴキブリを手でつまんで外に逃がしてあげた――。以前こんな話を耳にしたこともあるが、これは例外中の例外だろう。台所に出没するゴキブリは嫌われ者の代名詞にもなっている。ただゴキブリの種の大半は森にすんでおり、ペットとして飼育する人も意外に多いそうだ。奈良県の橿原市昆虫館(香久山公園内)はそんなゴキブリを大量に飼育し、新館の特別生態展示コーナーで公開している。

 橿原市昆虫館の人気スペースの一つに様々な蝶々が飛び交う放蝶温室がある。主にこれを目当てに何度も訪ねているが、ゴキブリ類をじっくり観察したのは今回が初めて。新館に入ると、左手に日本と世界のゴキブリの標本箱が2つ。そして右手の「ステキなゴキブリ天国!」と大書した下には世界各地のゴキブリが入った飼育ケースがいくつも並んでいた。ケース内では数十~数百匹単位のゴキブリが飼われ、野菜や人工飼料に群がっていた。

 

 その一つ、ユウレイゴキブリ(上の写真㊧)は中央アメリカに生息しており、その名前は成虫の胸にある模様が人の顔のように見えることによるという。南北アメリカ大陸にいるメンガタゴキブリ(同㊨)の名前も仲間に同様の模様がある種類がいることによる。マダガスカルオオゴキブリは体長が約7cmあり、昆虫館で飼っているゴキブリの中では最も大きい。触ると危険を察知し「シューシュー」と鳴くそうだ。このほかアルゼンチンモリゴキブリやチュウトウボキブリ(トルキスタンゴキブリ)なども展示されている。(下の標本箱は㊧「世界のゴキブリ」、㊨「日本のゴキブリ」)

 

 ゴキブリは人類の祖先霊長類が現れるずっと以前の3億年以上前に出現したといわれる。いわば〝生きた化石〟だ。現在、世界で約4000種、日本では約50種が確認されている。その中で家にすみつき害虫として嫌われているのは世界でわずか10種類ほど、日本ではクロゴキブリ、チャバネゴキブリなど5種類。世界最大のゴキブリはナンベイチャバネゴキブリで、体長が約11cmもあるそうだ。

 ゴキブリをカブトムシやクワガタムシのように飼育ケースで飼う人も意外に多いという。ゴキブリは①金魚の餌や野菜くずなどが餌になる②つるつるした壁を登ることができない種類も多く逃げ出す心配が少ない③卵でなく幼虫の姿で生まれるものも多く繁殖を楽しめる④カブトムシなどに比べにおいが少なく、飼育ケースを汚さずに飼うことができる――とのこと。ゴキブリの世界を垣間見ることでゴキブリを少し見直した。ただ触れ合いコーナーでゴキブリを手に乗せるだけの勇気はまだ持てなかった。

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<京都府立植物園> なお続く台風による倒木の撤去作業!

2017年11月02日 | アンビリバボー

【桜林や針葉樹林などを囲む立ち入り禁止の黄色いテープ】

 日本列島を縦断し大きな爪痕を残した先の台風21号。ニュースで京都府立植物園も大きな被害を受けたと知ってはいたが、暴風直撃から9日目の1日訪れて改めて被害の甚大さにショックを受けた。園内には桜林や針葉樹林などを中心に多くの場所に立ち入り禁止のテープが張り巡らされ、観覧温室内の一部でもなお立ち入り規制が続いていた。

 園内で大きな樹木が相次いで倒壊したのは台風が近畿地方に再接近した10月22日夜半から23日未明にかけて。巨大なヒマラヤ杉が倒れたのをはじめ、高さ20mのレバノン杉も近くの東屋に倒れ掛かり、桜林でも樹齢約70年のソメイヨシノなど約20本が地面から根元が浮き上がるなど、約100本の大木が大きな被害を受けた。同園では26日まで4日間臨時休園し、27日から再開園していた。

 

 そのため、倒木などの処理もてっきり一段落したものと思っていたが、園内の光景は以前とは全く異なっていた。この日は正門から入ってまず観覧温室に直行した。ところが、いつもはぐるっと回遊できるはずなのに途中のジャングル室の一部が閉鎖されておりUターン。温室を出て桜林に差し掛かると、桜の大木が何本も横倒しになったまま。さらに針葉樹林内でも根こそぎ倒れたり大きな幹が途中で折れたり、無残な姿をさらしていた。園内では倒木の幹を切るチェーンソーの音が響きわたり、枝や葉を運ぶ車も行き交って、懸命な復旧作業が続けられていた。

 

 園内ではちょうど秋の風物詩、菊花展が開催中。来場者は見事な懸崖づくりなどに見入っていたが、一方で茫然と倒木を見つめたり処理作業を見守ったりする人たちも多かった。北山門の出入り口に、立ち入り禁止地域を赤く囲んだ園内の図面が掲げられていた。再開園して1週間近くたつが、それを見る限り、まだ全体のざっと3分の1ほどが赤く囲まれているようだった。

 

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<馬見丘陵公園> シンボルツリーの巨木セコイアがなくなった!

2017年10月11日 | アンビリバボー

【第7回フラワーフェスタ、15日まで開催中】

 奈良県営馬見丘陵公園(広陵町~河合町)で「第7回馬見フラワーフェスタ」(10月7~15日)が開かれている。ダリアやコスモスなど約25万株の花々が、甲子園球場十数個分の広大な公園を華やかに彩る。公園散策は春4月以来ほぼ半年ぶりで、まず公園館に立ち寄った後、中央エリアのバラ園や「花の道」へ。バラ園のそばでは色とりどりのコスモスが大きな輪を描いて咲き乱れていた。ただこれまで見慣れた風景とちょっと違う。円形のお花畑の中心にあるはずの巨木が忽然と姿を消していたのだ。

 その巨木は北米原産の常緑針葉樹センペルセコイア(スギ科セコイア属)。これまでチューリップやコスモスなど四季折々の花の輪の中心にあって圧倒的な存在感を発揮してきた。いわば中央エリアのシンボルツリー的な樹木。改めて3年前の2014年4月に撮った写真(下の写真㊧)を見ると、逞しい生命力を示すように緑は濃く幹は天高く伸びていた。

 

 ところが今年4月のチューリップフェアの際に撮った写真(㊨)ではすっかり元気をなくしてかなり落葉し背丈も縮んでいるようだった。記念館によると、結局樹勢を回復できず枯れてしまったため5月頃やむなく伐採したとのことだった。〝ナラ枯れ〟が全国的に問題になっているが、同公園内では雑木の立ち枯れも増えており、相談窓口の方は「伐採が追いつかない状況」と嘆いていた。

 

 そうした問題を抱えながらも、園内ではフラワーフェスタに向けて丹精込めて栽培した花々がちょうど見頃を迎え連日多くの来場者でにぎわっている。奈良県はダリアの球根生産日本一とあって、北エリアのダリア園では約120種1000株の多彩なダリアが見事に咲き誇る(上の写真㊨)。このほかニューギニアインパチェンス(下の写真㊧)や宿根サルビアの仲間(写真㊨)、ジニア(百日草)、マリーゴールド、キバナコスモスなども起伏に富む園内を色鮮やかに彩っている。植木市や園芸相談、ステージイベント、人気シェフが特別メニューを提供する「シェフェスタin馬見」なども開催中。

 

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<葛城市相撲館> 1幅の掛け軸に歴代横綱17人の手形!

2016年12月03日 | アンビリバボー

【42代鏡里から61代北勝海まで、1987年の「横綱会」のときに製作?】

 奈良県葛城市当麻にある「葛城市相撲館〝けはや座〟」。相撲の始祖といわれる当麻蹶速(たいまのけはや)を顕彰するため1990年にオープンした。これまで何度も訪ねたが、そのたびつい見入ってしまうものがある。17人もの歴代横綱の手形が押された1枚の掛け軸。大相撲ファンにとってはまさに垂涎の的に違いない。その右側にはそれぞれの手形に対応するように横綱の写真と経歴、成績などが掲げられている。

  

 大相撲の世界には年に1回、元横綱の親方と現横綱が一堂に会して親睦を深める「横綱会」がある。歴史は古く60年ほど前の1953年から始まった。1年を締めくくる九州場所の直前に福岡市のホテルや料亭で開かれる。この手形の掛け軸には北勝海や朝潮の手形も含まれ、北勝海の横綱昇進が1987年、朝潮が亡くなったのが翌年の88年のため、87年の「横綱会」のときに製作されたのではないか、と推測されている。

 手形は6段にわたって右から左に3人ずつ押されている。最上段右側の42代横綱鏡里から、最下段左側の61代北勝海(八角親方、現日本相撲協会理事長)まで。最上段には栃錦と若乃花の手形も。2段目には朝潮、柏戸、大鵬、3段目には27代木村庄之助(在位1977年11場所~1990年11月場所)の書「平常心」を挟んで栃ノ海と佐田の山、4段目には北の富士、琴桜、輪島、5段目には北の湖、若乃花(2代目)、三重ノ海、そして最下段には千代の富士、隆の里、北勝海。2013年以降、昭和を代表する名横綱の大鵬や北の湖、千代の富士が相次いで亡くなった。この掛け軸に手形を押した元横綱17人のうち存命中は7人にすぎない。

 「横綱会」自体もこのところ中止に追い込まれる年が増えている。2011年は隆の里(鳴戸親方)の急逝で中止となり、15年は北の湖理事長の体調不良で中止に(その直後に逝去)。そして今年16年も2年連続中止になった。表向きの理由には夏の千代の富士の逝去が挙げられるが、話はそう単純でもないようだ。一番の問題は元横綱の親方が全部で5人と少なくなってしまったこと。しかもそのメンバーの中では八角理事長と貴乃花親方の主流・反主流派の確執が激しい。おまけに現役の横綱は全員モンゴル勢――。1年後「横綱会」は果たして再開されるのだろうか。

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<ハリガネムシ> 出てきた! ハラビロカマキリのお尻から3匹‼

2016年09月28日 | アンビリバボー

【長さ30cmほど、水中でクネクネ身をよじらせて】

 随分前、自宅のそばで捕まえたハラビロカマキリを、玄関脇にあった洗面器にポイと投げ入れたことがあった。しばらくしてのぞくと――。少し水がたまった洗面器の中で、黒く細いものが5本ほどクネクネと蠢いていた。カマキリの姿はなかった。何だ、これは? 初めて見る奇怪な生き物にぞっとして、洗面器の水ごと溝に流した。この不気味な生物の正体を知ったのはそれから数日後だった。名前は「ハリガネムシ(針金虫)」。カマキリなどに寄生し、宿主が水に触れると水中に脱出するという。それで奇妙な初体験の顛末にも納得した。

 そして昨日27日、自宅近くの歩道で同じハラビロカマキリを見つけた。体長は6~7cm。腹がパンパンに膨らんでいる。以前の体験が頭をかすめ、手に取って自宅に戻り、洗面器に1cmほど水を張ってカマキリを入れた。その途端、お尻の先端から2本の黒い線がスルスルと出てきた。予想は的中、ハリガネムシだ。長さは30cm近い。その後、やや短いのが続いた。合わせて3本。水中を泳ぐようにクネクネしたり、互いに絡み合ったり。見た目は名前の通り、まさに硬い針金のよう。

 

 ハリガネムシは類線形虫類に属する水中生物。水の中で交尾し産卵し、孵化した幼生はカゲロウやユスリカ、トンボの幼虫ヤゴなど水生昆虫に食べられると、その体内で「シスト」(嚢胞=のうほう)と呼ばれる殻に包まれた状態で休眠状態に入る。その後、羽化し水中から空中に飛んでいく宿主を、今度はカマキリやコウロギなどが食べる。すると、ハリガネムシの幼虫はその体内に移行し成虫になるまでを過ごす。

 最初に寄生する水性昆虫を〝中間宿主〟、次に寄生するカマキリなどを〝終宿主(しゅうしゅくしゅ)〟と呼ぶ。ハリガネムシは寄生先で順調に成長すると、終宿主が水に触れる機会を捉えて水中に飛び出す。注目されるのはその脱出のメカニズムだ。昆虫や生態学者のこれまでの研究によると、ハリガネムシは巣立つ準備ができると、終宿主を〝洗脳〟し水のある場所に誘導するらしい。そして水辺が近づいたら飛び込ませるそうだ。宿主の脳内に出現させるある種のたんぱく質の働きによると推測されている。見かけは奇怪だが、宿主を〝洗脳〟するとは、すごい能力の持ち主! 

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<ミラクルフルーツ> まさに〝ミラクル〟 酸っぱいレモンが甘い味に!

2016年07月28日 | アンビリバボー

【宮崎県日南市「道の駅なんごう」で販売、原産地は西アフリカ】

 日南海岸国定公園の日向灘を望む国道448号沿いの「道の駅なんごう」(宮崎県日南市南郷町)。ここで実に不思議な果物が売られているという。その名は「ミラクルフルーツ」。店内に入ると、直径6cmほどのプラスチック容器の中に数粒ずつ〝鎮座〟していた。1粒は長さ2~3cmほどの楕円形で、見た目はドングリ(コナラ)を真っ赤にしたような感じ。容器の裏には「税込み250円」とあった。

    

 商品棚の下には「奇跡のくだもの 甘~い味に変身させます」という説明書き。それによると、ミラクルフルーツには「ミラクリン」と呼ばれる糖たんぱく質が含まれ、その成分の働きでレモンのような酸っぱい果実が甘い味に変わるという。その不思議体験の方法も箇条書きになっていた。宮崎特産の完熟マンゴなどに比べると存在感は足元にも及ばない。だが、ミラクルフルーツは名前の通り、他の果物にない神秘なパワーを秘めているようだ。「土産話の種に1つ買ってみようか」

 

 「道の駅」に案内してくれたドライバーがミラクルフルーツの〝ミラクルぶり〟を確かめてもらおうと、途中で食品スーパーに立ち寄ってレモンを買ってきた。まず輪切りしたレモンの身を少し食べる。酸っぱいのはいつもの通り。その後ミラクルフルーツを1粒口に入れ、皮を破り舌の上で2分間ほど転がす。そして種を出し、再びレモンを口にすると――。あら、不思議! レモンの身はもちろん皮まで甘く丸ごと食べることができた。

 味覚の持続効果には個人差があり、30分から2時間ほど続くという。説明書きには「レモン以外にイチゴ、トマト、ヨーグルトでも使えます」とあった。ミラクルフルーツの原産地は西アフリカ。アカテツ科の熱帯性常緑低木で、国内でも南郷町などで栽培されている。ただ成長が遅いうえ結実もなかなか容易ではないそうだ。ミラクリンはノンカロリーの甘味として注目を集めており、いずれダイエット食品などに活用される日が来るかもしれない。

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<高野山・中門> 広目天と増長天の胸元に「セミ」と「トンボ」!

2016年05月28日 | アンビリバボー

【平成の大仏師・松本明慶さんが想いを込めて】

 久しぶりに高野山を訪ねた。お目当ての1つが昨年、高野山開創1200年の記念事業として172年ぶりに再建された壇上伽藍の中門(ちゅうもん)。高さ16m、東西25mで、威容を誇る根本大塔と同じような朱色。壮麗な門構えに目を瞠るが、より目を奪われたのは新しく安置された広目天と増長天の胸元だった。そこにはブローチのように「セミ」と「トンボ」が止まっていた!

 

 標高が800mを超える高地にある壇上伽藍は度々落雷による火災に遭い、焼失と再建が繰り返されてきた。伽藍の正面入り口に当たる中門も1843年(天保14年)の大火で焼失し、その後は礎石だけが残っていた。再建された中門は819年(弘仁10年)完成の初代から数えて8代目に当たる。火災の際、焼失を免れた持国天と多聞天は修復後、西塔に仮安置され、その後は根本大塔に移されていた。

 

 広目天と増長天は中門再建に合わせて新たに造られた。作者は京都・大原野に工房を持つ〝平成の大仏師〟松本明慶師。ヒバ製で高さは持国天・多聞天と同じく約4.3m。これで中門に四天王がそろった。持国天・多聞天は伽藍の外側に向かって、広目天と増長天は内側に向かって安置されている。四天王といえば仏教界の四方を守る守護神だが、それにしてもその胸元にセミとトンボとは実に独創的な意匠。もちろん他に例を見ない。

 「あれ、セミ!」「なぜ、そこに?」広目天と増長天の二天王を見上げていた参拝者、観光客の関心ももっぱら胸元の昆虫に集まっていた。セミはアブラゼミのように見える。トンボはオニヤンマか。そこに明慶師はどんな想いを込めたのだろうか。セミのオスは大きな鳴き声を遠くまで届ける。それは周囲を圧倒するほどの大音響。トンボはスイスイまっすぐ前に飛ぶ。ただ前進あるのみ。そこから広目天のセミは「威嚇」の姿勢を、増長天のトンボは「後ろにしりぞかない」という強い姿勢を表しているそうだ。高野山はいま爽やかな春風が吹き抜け、モミジなど木々の若葉も色鮮やか。トンボは目にしなかったが、ハルゼミらしきものが鳴いていた。(下の写真は㊧持国天、㊨多聞天)

 

 

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<アンビリバボー> 室内の床の上に、またまたキアゲハが!

2016年04月16日 | アンビリバボー

【3月25日から22日後、なぜ?なぜ?】

 一体どうなっているんだろう。3月25日のブログで、ガラス戸の内側の床の上で羽化したばかり(?)のアゲハチョウ(キアゲハ)がじっとしていたと書いたが、あれから22日目の4月16日、またまた同じようなアゲハが室内のほとんど同じ場所、ガラス戸の30cmほど内側で見つかった。時間は午後1時すぎで、同じようにじっとしたまま。「えっ! どういうこと」と思わず大声。ガラス戸は早朝、野鳥用にヒマワリの種を吊り篭に入れてから花粉が入り込まないようずっと閉めたまま。午前中、そこには確かに何もいなかったはずだが……。

 

 よく見ると右側の翅(はね)の尾っぽ(尾状突起)が欠けていた。前回と同じようにガラス戸のすぐ外側のノースポールの花に乗せてあげたが、少し元気がなさそう。手に乗せ指で水を1滴、2滴垂らすと、らせん状の口で吸っているように見えた。間もなく飛び立ったが、飛び方がまだ弱弱しく、前のアゲハほどには飛翔力がない。行く末が心配。その後、改めて室内を前回より丹念に見回した。が、蛹の痕跡などはやっぱり見つからなかった。こんな不思議なことがなぜ繰り返すのか、さっぱり分からない。

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<アンビリバボー> 室内の窓際に羽化直後(?)のアゲハチョウ!

2016年03月25日 | アンビリバボー

【キアゲハ? 昨年9月庭のミツバの葉に大量の幼虫がいたけど……】

 居間のガラス戸の外側に吊り下げた餌入れにヒマワリの種を放り込む。これが朝の日課。ヒマワリの種は野鳥のシジュウカラやヤマガラの大好物だ。25日朝もいつものように一握りの種を入れてすぐに戸を閉めた。そこで床の上の色鮮やかなものが目に入った。ガラス戸から50cmほど内側。作り物のようなアゲハチョウだ。えっ?どういうこと。開閉の一瞬に入ってきたのか、それとも――。

 

 キアゲハか。発見直後に撮ったのが左側の写真。じっとして動かないが、羽はどこも傷んでいない様子。羽化してあまり時間が経っていないのか。指を近づけると、ゆっくりと乗ってきた。そして手のひらに移動。しばし観察した後、窓際外側のノースポールの花の上に乗せてやった。そこでもじっとしたまま(下の写真)。大丈夫だろうか。見守っていると、急に2mほど離れたミモザの小枝に飛び移った。そして一呼吸置いて空中高く舞い上がった。それまでの緩慢な動きがまるでうそのような素早さ。一瞬あっけにとられるほどだった。

  

 そこで頭に浮かんだのが昨年9月の出来事。庭のミツバにアゲハが卵を産み、鳥の糞のような黒い幼虫がたくさん姿を見せたことがあった(下の写真)。驚いたのはその大食漢ぶり。葉という葉は茎を残して全て食べ尽くした。幼虫を他の場所のミツバに移してやったことも度々。ミカンの葉も与えたが、それにはほとんど見向きもしなかった。それでも多くが体長3~4cmの緑色の5齢幼虫まで育った。ところがその後、みんな姿を消してしまった。蛹になった形跡もない。多分スズメなどの餌食になったのだろう。

  

 アゲハの羽化率は1%に満たないともいう。100個の卵があっても、その中で天敵に襲われることもなく無事羽化できるのは1匹以下というわけだ。この日現れたアゲハは幸いにもその1匹に選ばれた。もしかしたら、あのアゲハ、幼虫が昨秋室内に紛れ込んで蛹として越冬し羽化したのかも――。アゲハが飛んでいった直後、蛹の痕跡があるかもしれないと天井などをつい見回した。 

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<天理大学付属図書館> 玄関脇に巨大な大砲がで~んと鎮座!

2015年12月01日 | アンビリバボー

【江戸初期に長崎港で爆沈したポルトガル船に搭載】

 全国有数の蔵書数を誇る天理大学付属天理図書館。その玄関口の向かって左側に巨大な大砲が展示されている。各地の神社で大砲や砲弾を見かけることは多い。その多くは戦勝の御礼として奉納されたもの。だが、全国あまたの図書館の中でも〝シンボル〟として大砲が入り口に飾られているのはここだけではないだろうか。

 大砲は長さが2mを超える重厚なもの。そばに「マードレ・デ・デウス号大砲」のタイトルで、そのいわれが書かれた説明板が立つ。「慶長14(1609)年5月長崎に入港したポルトガル貿易船マードレ・デ・デウス号に搭載されていた大砲。この年12月12日、肥前国日野江藩主有馬晴信との戦闘の末に長崎港口で自爆自沈した(マードレ・デ・デウス号事件)……」。大砲は昭和の初めに引き揚げられ、1933年に天理図書館に収蔵されたという。

 有馬晴信(1567~1612)は日野江藩(後の島原藩)の初代藩主で、熱心なキリシタン大名として知られた。事件の発端は前年に遡る。晴信の朱印船がポルトガル領マカオに寄航した際、乗組員の水夫や家臣とポルトガル人との間で騒擾事件が発生、多数の日本人が殺されたうえ積荷も奪われた。この騒ぎの鎮圧を指揮したのがマカオ総督のアンドレ・ペッソア。恨みに燃える晴信側からの報告で事の顛末を知った徳川家康は報復の許可を出す。

 

 そのペッソアが翌年、船隊司令官としてデウス号で長崎にやって来た。幕府はペッソアに江戸への召還命令を出すが、ペッソアは警戒して応じようとせず、身の危険を感じてデウス号で逃走を図ろうとした。これに対し晴信は多数の軍船を動員して包囲する。数日間の戦いの末、ペッソアはもはやこれまでと観念し、自ら火薬庫に火を放ってデウス号を爆沈させた。

 これで一件落着かと思えたが、事件はその後も尾を引く。晴信は戦功として旧領回復の仲介の労を取るという岡本大八(幕府の重臣本多正純の家臣)の口車に乗せられる。岡本は多額の賄賂と引き換えに「旧領安堵」という家康の朱印状を渡す。ところが、これが真っ赤な偽物だった。さらに、この事件の過程で晴信による長崎奉行暗殺計画も露見してしまう。結局、晴信には切腹、岡本には火あぶりの刑が言い渡された。2人はキリスト教徒だった。岡本大八事件は家康が禁教を決意した背景の1つとなり、晴信の死や禁教による信者弾圧は後の島原の乱(1637~38)にもつながっていく。大砲は日本の歴史上、大きな転換点となった2つの事件のいわば〝生き証人〟だった。

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<手作り〝くまモン〟> 昨夏から65体、孫やひ孫に大人気!

2015年05月27日 | アンビリバボー

【門司在住の91歳女性、近所の知人たちにもプレゼント】

 熊本県のPRマスコットキャラクター「くまモン」。2011年春の九州新幹線鹿児島ルート全線開業を機に登場するや、その年の「第2回ゆるキャラグランプリ」で堂々の1位に。ゆるキャラブームの中で人気は絶大、知名度は群を抜く。写真はそのくまモンのかわいいミニ縫いぐるみ。といっても市販のグッズではない。91歳の女性が趣味として孫やひ孫たちのために手作りした愛情あふれる作品だ。

 女性は福岡県北九州市門司区在住。もともと手先が器用で、これまでも毛糸を使った人形や十二支の動物などを作ってきた。くまモンを作り始めたのは昨年7月のこと。台風8号の影響で避難指示が出たため、避難先の宿泊施設へ。そこで退屈しのぎにくまモンに挑戦したのがきっかけだ。

 

 本物のくまモンの着ぐるみは身長が約2mもあるが、この人形は体長10cmほどのミニサイズ。それでも1体作るのにほぼ1日を要するという。これまでに作ったのは65体。よく見ると、目や口、眉、赤いほっぺなどの形や大きさが微妙に異なる。表情が少しずつ違うのも手作りの味わい深いところだろう。

 孫やひ孫たちの喜ぶ顔がくまモン作りの張り合いになっている。他にも近所の知人にプレゼントしたり、通院先の病院の窓口に飾ってもらったり。最近評判を聞き付けた知人の1人から「私にも作って」との要望が舞い込んだ。小さな手作りくまモンが大きな笑顔の輪を広げている。(写真は大阪府在住のO・Hさん提供)

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<追分梅林> 人気の観梅スポットは今? 4年前から休園中!

2015年03月01日 | アンビリバボー

【農地改良造成工事で古木を移植し若木を植樹中】

 春間近、梅の季節がやって来た。奈良県内の梅の名所といえば、月ケ瀬梅渓に賀名生(あのう)梅林に広橋梅林。この3カ所が県内三大梅林と呼ばれるそうだが、奈良市中心部から程近い追分梅林(奈良市中町)の人気も高い。長らく行っていないし、天気もまずまず。久しぶりに訪ねてみようかと思い立って車で出かけたところ……。

 

 追分梅林は第二阪奈有料道路の南側に接し、なだらかな傾斜地に広がる。広さは約10ヘクタール、本数は白梅・紅梅合わせて約4000本とも。これまで数回訪ねた時の様子を思い浮かべながら車で上っていくと、広大な梅林はなんと地面むき出しの階段状の造成地に変貌していた。狐につままれたとはこのこと。造成地の一角には古木が移植され、新しく植樹されたらしい若木の蕾が膨らんでいた。

 道路を上りきった所にある追分本陣(村井家住宅)の斜め向かいの納屋の中で女性2人が談笑していた。早速伺ってみると、農地改良造成工事のため4年前の2011年3月末から休園中とのこと。造成工事は既にほぼ終了して、今は梅林を管理する追分梅林組合の組合員さんが手分けして植樹しているという。

 

 追分梅林は古木が多いことで知られた。それが観梅の楽しみを増してくれた。移植された古木の中には元気に若い枝を伸ばし、蕾を多く付けたものも(写真㊨)。ただ、ほとんど芽吹いていない古木も多いような印象を受けた。造成地の一角に太い枝が山積みされていた。古木の剪定枝だろうか、それとも根付かず掘り起こされたものだろうか。

 お話を伺った女性によると、毎年この時期になると事情を知らずに観梅のため訪ねてくる人が多いという。先日も大阪側から生駒を越えて遠路やって来た女性グループがあったそうだ。女性たちのがっかりした様子が目に浮かぶ。追分梅林が再開園して往時のにぎわいを取り戻すのは何年先になるのだろうか。

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<アンビリバボー> 紅白ツートンカラーの大根、その名は「コンコン」!

2015年02月26日 | アンビリバボー

【馬見丘陵公園館で展示中、「ハクコン」や「チンコン」も】

 奈良県馬見丘陵公園館(河合町)の玄関ホールで、大根と様々な野菜を掛け合わせた〝合体野菜〟が展示されている。大根の上にキャベツが載った「キャベコン」は一昨年のブログ(2013年6月9日)でも紹介ずみだが、それに加えて赤大根×大根の上下紅白の「コンコン」や、白菜×大根の「ハクコン」、チンゲンサイ×大根の「チンコン」も。それらの奇怪な姿が来館者の注目を集めている。

  

 合体野菜は十数年前、農林水産省中国農業試験場(現近畿中国四国農業研究センター)が、キャベツなどアブラナ科野菜に多い根こぶ病対策の一環として「キャベコン」の栽培技術を開発したのが始まり。奈良県下では大和郡山市にあった県フラワーセンターの研究員が栽培に取り組んでいたが、2012年の同センター閉園に伴って馬見丘陵公園館が栽培技術を引き継いだ。(下の写真は㊧「チンコン」、㊨「キャベコン」)

 

 合体野菜は種を蒔いて1~2週間後、本葉が出始める頃に互いを水平に切り、大根を下に、キャベツや白菜など他の野菜を上に載せて接木。その後、真っ暗にしビニール袋で密閉して少しずつ外気に慣らしていく。接木はうまくいけば10日間ぐらいで成功するが、成功率は10%程度という。栽培担当者は「生産効率の面から市場に出回ることはまずないでしょう」と話していた。展示期間は合体野菜の状態によるが、少なくとも3月いっぱいは展示の予定とか。  

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<アンビリバボー> 塊茎内部に中空の迷路、それはアリのための住処! 

2015年02月16日 | アンビリバボー

【アカネ科の着生植物、その名もずばり「アリノスダマ」】

 表面がゴツゴツした鏡餅のような大きな塊。異様なその姿にまず目が吸い寄せられ、内部の構造を知ってさらにびっくり。自ら迷路状のトンネルを作り、アリに住処(すみか)として提供しているという。ボルネオ島やニューギニア島など東南アジアの熱帯地域に分布するアカネ科の着生植物で、「アリノスダマ(蟻の巣玉)」という和名が付けられている。

 この植物を見たのは京都府立植物園の温室内。これまでも度々訪れているが、華やかな花にばかり気を取られ見過ごしていたようだ。アリノスダマはマングローブの樹上や岩の裂け目などで育つ着生植物。常緑の小低木で、塊茎(擬鱗茎)の上部から数本の枝を伸ばし、白い花を付けるという。(下の写真は㊧塊茎内部の様子、㊨塊茎表面の拡大写真)

  

 塊茎は種子の発芽直後から作られ始め、大きくなるに従って複数の空間(部屋)ができトンネルで結ばれていく。女王アリは早い段階で入り込んで塊茎の生長とともにコロニーを形成していく。大きなものでは数百匹のアリがその中で生活するそうだ。アリは塊茎の中央下側から出入りする。アリノスダマはアリに住処を提供する代わりに、アリの排泄物や餌の食べ残しなどを養分としてもらう。

 アリノスダマのようにアリと共生関係にあるものを「アリ植物(アント・プラント)」と呼ぶ。東南アジアの熱帯地方には他にも同じアカネ科の着生植物「アリノトリデ(蟻の砦)」やシダ植物「アリノスシダ(蟻の巣羊歯)」などがあるという。ただ日本でこれらの植物を栽培しても、日本のアリは塊茎内で生活する習性がないため、共生場面を見ることはまず期待できないそうだ。

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