【飛鳥時代の宮殿や寺院の下層から出土した縄文、弥生土器など】
奈良文化財研究所の飛鳥資料館(明日香村)で冬季企画展「飛鳥の考古学2014―縄文・弥生・古墳から飛鳥へ」が開かれている。飛鳥地域の歴史といえば7世紀を中心に都が置かれていた飛鳥時代ばかりが注目を集めがち。今回の企画展は「それ以前」に焦点を当て、宮殿や古代寺院の下層から出土した縄文時代~古墳時代の石器や土器類などを展示している。3月1日まで。
(㊧大官大寺下層から出土した縄文土器、㊨飛鳥京跡下層から出土した弥生土器)
飛鳥寺はわが国初の本格的な仏教寺院として知られるが、その下層からは古墳時代の土器や6世紀の竪穴住居跡が見つかっている。寺院が古墳時代の居住域に造営されたことを示す。弥生時代の土器や石器、さらにその前の縄文時代の土器や石棒(棒状の磨製石製品)も出土している。飛鳥四大寺の筆頭に挙げられた大官大寺跡からは約4000年前の縄文時代中期末~後期初頭に作られたとみられる縄文土器が大量に出土した。ここでも弥生土器や古墳時代の須恵器、土師器なども見つかっている。渡来系氏族鞍作氏の氏寺とされる坂田寺跡の下層からは古墳時代前期の土師器が出土した。
宮殿跡からも様々な土器類が出土している。飛鳥京跡からは縄文後期~晩期の土器や石器、弥生時代前期~中期の土器や管玉、古墳時代の須恵器や土師器、碧玉が見つかった。蘇我馬子の邸宅跡とされる島庄遺跡からは縄文後期から古墳時代前期までの土器類が出土した。飛鳥川流域では30カ所以上の弥生集落の遺構が見つかり、島庄遺跡や御園アリイ遺跡、坂田寺下層などからは古墳時代の集落跡も確認されている。飛鳥地域でも飛鳥時代よりずっと古くから人々の生活が営まれていた!