【アウェーでお祭り騒ぎ、優勝まで残り3試合】
終盤に入った関西サッカーリーグ1部(8チーム)。30日には大阪市の鶴見緑地球技場でFC大阪―奈良クラブの頂上決戦が行われた。試合は奈良クラブが怒涛の攻撃で6―2で圧勝、今季リーグ戦無敗だったFC大阪に初めて土をつけた。その結果、奈良クラブが勝ち点24(7勝3分1敗)となって首位を奪還、FC大阪は勝ち点22(6勝4分1敗)で2位になった。試合直後、奈良クラブ選手の大きな歓喜の輪ができた。
試合は午前11時半、奈良クラブのキックオフで開始。前半10分、奈良クラブの池田昌弘が右サイドから折り返したボールをゴール左隅に豪快に蹴り込んで先制。その池田が数分後、相手選手との接触で頭を負傷して退場するが、37分に小野佑輔、43分に鶴見聡貴、さらに45分には池田と交代した堤隆裕が立て続けに見事なゴールを決めた。前半4―0。両サイドを広く使った奈良クラブの速攻が功を奏した。
(3点目を決めた鶴見㊧と、負傷した池田に代わって出場し2ゴールを決めた堤㊨)
後半も奈良クラブの攻勢が続く。57分、右サイドからの折り返しに2人の選手がゴール前に迫ると、その勢いに圧倒されたようにFC大阪の選手がオウンゴール。さらに63分には再び堤が6点目を蹴り込んだ。DF陣の頑張りも目立ち、伊澤篤らがゴール前で度々スーパーセーブを見せた。だが、その後はFC大阪が猛反撃。ヘディングゴールなどで2点を返しホームチームの意地を見せたが、前半の大量失点が大きくのしかかった。
奈良クラブはこの夏の第94回天皇杯全日本サッカー選手権に奈良県代表として出場、1回戦で福島ユナイテッド(J3)を3―1で破ると、2回戦ではベガルタ仙台(J1)も2―1で下す大殊勲をあげた。8月20日に行われた3回戦のジュビロ磐田(J2)には0―5で大敗したものの、格上のクラブ2チームを撃破した自信は大きかった。この日の試合でもその勢いと力量を証明してくれた。
奈良クラブにとってアウェーの試合だったが、リーグ戦の優勝の行方を左右する大一番とあって、奈良をはじめ各地から多くのサポーターが駆けつけた。ゴールの量産にスタンドはお祭り騒ぎ。前列の女性はこの日先発したGKシュナイダー潤之介(上の写真㊨の15番)の横浜FC時代からのファンで、横浜からやって来たという。そのシュナイダー選手の母親もスタンドで息子の活躍を見守っていた。
試合後「盛り上げ役」を自任するDF岡山一成が先制点を上げた池田と並んで奈良テレビのインタビューを受けていた。池田の頭部には痛々しい白いガーゼ(下の写真㊧)。病院で8針縫ったという。頭のケガだけに「病院で(診断結果が出るまで)ヒヤヒヤしていた」そうだ。岡山は球技場の前でも多くのファンに囲まれ、気さくに記念撮影に応じたり、このほど出版した著書『岡山劇場』や色紙にサインしたりしていた(写真㊨)。就任1年目の中村敦監督は大勝に一瞬笑みがこぼれたが、まだ3試合残っていることもあって、引き締まった表情でインタビューに答えていた。
奈良クラブは9月7日に関大FC2008(7位)と橿原公苑陸上競技場でホーム最終戦を行い、その後、15日にアルテリーヴォ和歌山(4位)、20日に阪南大クラブ(8位)と戦う。その後、28日から全国から32チームが参加する第50回全国社会人サッカー選手権大会(会場和歌山県)が始まる。奈良クラブの初戦の相手はMD長崎(長崎県リーグ1部)。JFL昇格への戦いが続く。