【名前は15世紀のギリシャの人文学者ガザから】
キク科ガザニア属(クンショウギク属)の半耐寒性多年草・1年草。南アフリカやナミビアに20種ほどの原種があり、そのうち「rigens(リゲンス)」や「linearis(リネアリス)」などをもとに、19世紀以降ヨーロッパで多くの園芸品種が生み出された。日本には明治末期~大正初期に観賞用として渡来した。金属的な光沢のある花の色や模様、形から和名では「ジャノメクンショウギク(蛇の目勲章菊)」や単に「クンショウギク」と呼ばれる。英名には「Tresure flower(トレジャーフラワー=宝の花)」という別名も。
元々は多年草だが、高温多湿にやや弱いことから日本では秋まき1年草として扱われることが多い。花期は長く5月から10月頃まで。花は日当たりを好み、朝開いて夕方閉じる。日が差さない雨天や曇天のときも閉じたままのことが多い。花の大きさや色、模様は多彩。花径は6~8cmのものが中心だが、中には15cmにもなる巨大輪のものも。一重咲きのほか八重咲きや半八重咲きもある。草丈が15cmほどと低い矮性種、シルバーリーフ(銀葉)で葉も楽しめる品種などもある。
ガザニアの名は15世紀のギリシャの人文学者テオドロス・ガザ(Theodorus Gaza、1398~1475)の名前に由来する。ガザはローマ教皇ニコラウス5世の命を受けて、古代ギリシャの哲学者・植物学者テオプラストス(紀元前371~287)の著書『植物誌』をギリシャ語からラテン語に翻訳した。『植物誌』は500余種の植物を観察し分類し特性や用途まで体系的にまとめた最初の植物研究書といわれる。植物に関する専門用語を作ったり、植物分類の基礎を築いたりしたことから〝植物学の祖〟といわれる。哲学者アリストテレスの友人で、テオプラストスの名もアリストテレスが渾名として「神(テオス)のごとく語る(プラストス)」から名付けたそうだ。