【 門司港出征の碑、バナナ資料室、「 光る君へ」 巡回展 】
昨年6月JR九州折尾駅(北九州市八幡西区)の北側駅前広場で「折尾まつり」が開かれた。人気を集めた催しの一つ、折尾名物かしわ弁当の早食い大会でひときわ目を引いたのが、舞台上で駅弁の木箱を抱え満面笑顔で声援を送るおじさん。両手を羽ばたかせながら踊る愉快な仕草が強く印象に残った。
この駅弁おじさんは小南英之さん。10年あまり前から折尾駅構内で駅弁を売ってきた。取り扱うのは1921年(大正10年) 発売という地元のソウルフード「東筑軒のかしわめし」だ。次に折尾駅に降り立った時は必ず彼から買い求めたいーー。1年半後、その願いが叶った。お忙しい中10分間ほど立ち話をさせてもらい、 自ら考案したという振り付けを交えた「かしわめし応援歌」 も聞かせてもらった。職を転々したという小南さん。営業の経験を生かした立ち売り弁当屋さんはまさに“天職”だろう。 同伴者と訪問先の分も合わせ、かしわめし5個を購入。
JR小倉駅から旦過市場に向かい、周辺をぶらついていて遭遇したのが下の「無法松」と刻まれた石碑。無法松は岩下俊作の小説に登場する人力車夫富島松五郎のこと。石碑の横に小倉出身の小説家、劉寒吉(1906~86)が寄せた一文が添えられていた。「その性純情にして清爽、哀切の生涯は我等の胸を打つものがあった。無法松は岩下俊作の詩と夢の世界に生まれた永遠の人間像である。市井の歌である。美と愛の精神である」。 1959年建立。
小倉の中心部では幻想的な光の装飾で彩る「小倉イルミネーション」が開催中だった。小倉城や市庁舎に近い鴎外橋⋅紫川周辺エリアのコンセプトは「光集まる銀河団空間」。日が落ちイルミネーションの輝きが増すにつれ、人出も光に誘われるように増えた。この光の祭典は来年1月13日まで続く。
門司港レトロ地区の西側にある関門海峡ミュージアム(写真㊦)では NHK 大河ドラマ「光る君へ」の巡回展が開かれていた。訪れたのが日曜ということもあって会場の1階多目的ホールは観客が溢れんばかりの大盛況。
来場者は順番待ちで出演者の等身大パネルと並んで記念写真を撮ったり、色紙サインを食い入るように見つめたり。ドラマの紹介パネルに加え、主演の吉高由里子さんが身に着けた衣装なども展示されていた。
同ミュージアムの「海峡レトロ通り」2階にある「門司港バナナ資料室」。ここには 門司港発祥バナナの叩き売りの由来や歴史を紹介したパネルやポスターのほか、「ザ⋅バナちゃん節」のレコードやバナナをテーマにした書籍も並んでいた。
関門連絡船乗り場近くに「門司港出征の碑」が立っていた。「ご存知ですか」と 始まる碑文によると、戦時中にこの門司港1号岸壁からは200万人を超える兵士が戦地に出征、「半数の100万人は生きて再び故国の土を踏めなかった」。
昨年、門司港駅の南側から明治時代に開業した旧門司駅の機関車庫とみられる遺構が見つかった。その場所は北九州市が計画中の複合公共施設の建設予定地。 市民の保存運動に加え、ユネスコの諮問機関イコモスの意見表明もあって、市は全面解体の方針を撤回、遺構の一部を現地保存することにした。工事現場を厳重に覆うパネルの壁面。その隙間から重機や掘削した土砂の山が垣間見えた。
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