【花器・平織り・紙細工・ガラス・金属工芸】
京都府立堂本印象美術館(京都市北区)で「第3回野外工芸美術作家展」が開かれている。会場は美術館の新館南側に広がる起伏に富んだ庭園。美術館の建物は日本画家堂本印象(1891~1975)がデザインしたことで知られるが、緑豊かな庭園にも自身がデザインした椅子があちこちに点在する。その開放的な空間でいま5人の工芸作家の作品が展示されている。11月23日まで。
市川博一さん 青白磁の花器14点を出品。常緑の濃い緑の中で、様々な造形の花器の明るい色調が爽やかで美しい。1991年以来日展入選を重ね、京都や東京で個展も開いてきた。ただ屋外での作品展示の経験はほとんどなく、「作品が庭園内の緑の中でどんな表情になるのか楽しみ」とのこと。
林田さなえさん 「月とワルツ」「Glass Rain」など5点。日本現代工芸美術展新人賞、三重県文化賞(奨励賞)など受賞を重ねている。2021年作の「Glass Rain」は高さ155㎝のピラミッド形で、無数のガラス片が天から降り注ぐ。「陽、風、雨、自然の中で透過しきらめくガラスを感じてもらいたい」
菊徳子さん 2017年に京都工芸美術作家協会展で京都府知事賞を受賞。今回は「時が刻んだ景」のタイトルでカラフルな平織りの織物4点を出展している。素材は綿・麻・レーヨン・アクリル・ナイロンなど。パステルカラー調の色合いと風合いが優しく風に揺れる。「木漏れ陽に揺れる光と影の表情。糸の間を抜ける風。室内では見られない、そのような光景を楽しんでいただければ」
入澤あづささん 出品作は「Wave Ⅴ」~「Wave Ⅷ」の4作品。紙を繰り返し折り畳んだだけの作品だが、角度によって鳥や猫など様々なものに見える不思議な造形。「折り畳むことで生み出された凹凸は螺旋構造となり、装飾的な陰影を見せる」と入澤さん。京都府美術工芸新鋭展入選(2019年)、京都市芸術新人賞(2020年)。
丸山祐介さん 「DARUMASH」「ART picnic」など4作品を出品。広島市立大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了、現在横浜美術大学准教授。第35回淡水翁賞最優秀賞(2019年)。「DARUMASH」は高さが21㎝と小さいながら周囲に存在感を放つ。素材は銅と金箔、錫。「堂本印象先生の作品が配置されている庭園空間と工芸作品のコラボレーション。散策気分でお楽しみください」