【奈良市制百周年記念事業に応募し20年前に植樹】
奈良市内にある川沿いの桜並木といえば佐保川が有名だが、市内北西部に位置する秋篠川源流域も桜の新名所として注目度が高まってきた。「桜を育てて秋篠川を地域の〝ふれあい・いこい・ときめき〟の場に!」。1996年、奈良市制百周年記念事業にアイデアが採用されたのを機に、地元住民や自治会などが「秋篠川源流を愛し育てる会」を結成、98年に桜の苗木118本を植樹した。それから丸20年。桜の木々は順調に育ち、今では追加分も含め150本を超える桜が毎春見事な花を付けるまでになった。
秋篠川は奈良市北西部を西から東に流れた後、南下して大和川水系の佐保川に合流する。源流域の桜並木はスポーツ施設「コナミスポーツクラブ学園前」の右岸から始まり、東側の平城西小学校の方向に延びていく。遊歩道の入り口には「この川は私たちが美化を行っています(ここから下流約1.5km)」という育てる会の大きな立て看板。同会は発足時から清掃活動や親子川あそび大会、燈火さくらまつりなどに取り組んできた。川べりには河畔で見られる動植物や野鳥を紹介したボードも。育てる会はこうした地域密着活動が認められ、都市緑化基金の「緑の都市賞(奨励賞)」を受賞している。
桜には1本1本「里親」がおり、根元に家族名や団体名が記された木札が立つ。幹の周りには自然や環境、エコ活動などをテーマに小学生が作った俳句の短冊も。「秋篠川さくらまいちるゆめの川」「リサイクルゴミすて禁止まもろうよ」……。「燈火さくらまつり」は例年4月の第1土日曜に開催してきた。今年も4月7~8日に開く予定だ。30日に訪ねたところ、まつりに備え既に提灯が吊り下げられ、子どもたちが描いた水彩画なども展示されていた。ただ気がかりなのは桜の開花状況。温暖化などで全国的に開花時期が早まっているが、ここでも早くもほぼ満開になっていた。1週間後までどうにか花が持つことを祈るばかりだが……。