【鐘楼の規模も確定! 現地見学会開催】
薬師寺(奈良市西ノ京)で9日、9月から発掘調査中の回廊西北隅と鐘楼の現地見学会が開かれた。回廊は金堂や東西両塔など主要堂塔を囲む。今回の調査で回廊全体の規模と構造が明らかになり、鐘楼も東辺と南辺を検出し、基壇に階段を備えていたことも分かった。
回廊の発掘調査は1968年以来これまでに10回行われてきた。その結果、梁行1間の「単廊」として造営が始まったものの、途中から中央に壁を持つ梁行2間の「複廊」に計画が変更されたことが明らかに。調査を踏まえ回廊のほとんどがこれまでに復元されてきた。(発掘調査場所は講堂西側の左隅)
ただ講堂の西側に位置する回廊の西北隅の発掘は未調査として残っていた。今回の調査面積は468㎡。現場には回廊の柱が立っていた礎石部分を結んだ赤いテープ3本と青いテープ2本か張られていた。赤テープは複廊、青テープは単廊の場所を示す。
テープは講堂の西側に復元された回廊の延長線上に西に向けて張られ、その後「L 」字に直角に折れ曲がって南へ伸びていた。
複廊の礎石はすべて抜き取られていたが、新たに14基の礎石据え付け穴や抜き取り穴が確認できた。据え付け穴は1辺約1.4mの方形。複廊は桁行約4.1m⋅梁行約3.0mで、中央の棟通りに壁を備えた瓦葺き。高さ約36㎝の基壇(幅約9.4m)を持つことが分かった。その外側からは玉石を敷いた雨落ち穴も見つかった。
今回の調査で回廊全体の規模は西面約115m、東面約113m、南面約123m、北面約124mと判明。また東面回廊の柱間が24間なのに対し、西面回廊は25間とみられ東西非対称だった可能性が高まった。『薬師寺縁起』にも「東面廿四間。西面廿五間」と記載されていた。
鐘楼は東辺と南辺の発掘により、基壇の規模がこれまでの推定通り東西約15.7m、南北約18.8mだったことが明らかになった。東面の基壇の中央に幅約4.1mの階段があった痕跡も見つかった。
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