【28日号砲、全国屈指の激戦区で今年も接戦必死】
年末恒例の全国高校駅伝(京都市、12月23日)に向け、都道府県の予選大会が本格化してきた。女子で全国屈指の最激戦区として毎年注目を集めるのが福岡県。過去3回全国制覇という名門の筑紫女学園と、成長著しい北九州市立高校(前戸畑商業)が激しくしのぎを削る。2007年長く2位に甘んじてきた市立が初制覇すると4連覇。だが、昨年は筑女が再び首位を奪回した。今年は夏場ごろまで筑女が先行していたが、ここに来て市立が調子を上げてきた。28日の福岡県大会はまた手に汗握る激戦が繰り広げられそうだ。
<2000年以降の福岡県大会での両校の順位とタイム>
筑女 戸畑商 全国大会
2000年 ①1:09:51 ②1:10:00 筑女7位
01年 ①1:09:13 ②1:09:22 筑女2位
02年 ①1:09:55 ③1:10:38 筑女優勝
03年 ①1:08:26 ②1:08:40 筑女5位、戸畑6位
04年 ①1:09:17 ②1:09:25 筑女5位
05年 ①1:09:19 ②1:10:03 筑女9位
06年 ①1:09:21 ②1:09:39 筑女10位
筑女 北九州市立
07年 ②1:09:39 ①1:09:22 市立10位
08年 ②1:10:15 ①1:09:36 筑女6位、市立12位
09年 ②1:10:53 ①1:09:10 市立11位
10年 ②1:09:08 ①1:08:34 市立5位
11年 ①1:08:21 ②1:09:37 筑女10位
福岡県大会は長く筑紫女学園の独壇場だった。ところが戸畑商業(現北九州市立)が15年前に初参戦して様相が変わってきた。2001年は僅か9秒差、04年は8秒差と激しい競り合い。その間の03年(全国大会は第15回記念大会)は県大会を制した筑女と九州大会上位だった戸畑商が全国大会に駒を進め、それぞれ5位、6位と健闘した。戸畑商から校名を変更した北九州市立が07年、遂に県大会を初制覇、それから10年まで4連覇した。(下の写真は2003年の第15回全国大会で京都・西京極陸上競技場をスタートした直後。筑女が5位、北九州市立が6位と両校とも入賞を果たした)
【2010年は市立が最終区で大逆転、11年は筑女が大会新V】
おととし10年の大会では筑女の1年生エース木村友香が最長の1区を区間新で走り、2位市立に41秒の大差をつけた。だが、市立は2~4区で徐々に差を詰め、最終5区で3年のエース日高侑紀(三井住友海上)が大逆転。しかし、昨年は筑女が1区から1度も首位を譲らず1時間8秒21の大会新で久しぶりに優勝、19回目の全国大会出場を果たした。
全国の有力チームは都道府県予選を控え、チームの仕上がり具合やライバルチームの状況を見るため例年「くらよし女子駅伝」(鳥取県倉吉市)や「九州瀬戸内高校駅伝」(大分県国東市)などに出場する。今年はこの両駅伝が同じ9月30日に重なり、くらよしでは豊川、立命館宇治、神村学園、興譲館などの強豪高が上位を占めた。一方、瀬戸内駅伝には筑女や北九州市立、小林、田村など13県33校が出場予定だったが、台風の接近で中止に。このためライバル2校の力量を測るのがますます難しくなっている。
一歩先行といわれてきた筑女は10月14日の佐賀長距離記録会3000mで、エース格の由水沙季(2年)が9:19:31の自己ベストを出し、園田聖子(3年)も9:25:68と順調。楢崎夏美(1年)も9:33:58の自己ベストだった。また同日の全九州新人大会で山下未来(2年)が9:36:32でまずまずの走りを見せた。ただ、高校長距離界のホープで筑女の絶対的エースだった木村友香(3年)はこのところ振るわず実戦にも出ていない。山下希望(2年)が全九州新人で本来の走りを見せることができなかったのも気がかりな材料。
【矢野で先行逃げ切りを狙う市立、追い上げ逆転を目指す筑女】
一方、北九州市立は一時不調が伝えられたエース矢野栞理(3年)が10月13日の鞘ケ谷記録会5000mで15:49:14と復調ぶりを見せた。筑女の園田は9月8日の博多の森長距離記録会5000mで16:38:02だった。条件が違うため比較は難しいが、単純計算では50秒近い大差になっている。矢野は10月9日のぎふ国体3000mでも9:12:91で日本人トップの3位になっている。
矢野に続く準エースと目されている金平裕希(2年)も9月の福岡県高校新人大会3000mを9:38:20で制し勝負強さを印象づけた。市立の弱点はこの2人に続く選手の駒不足と指摘されてきた。だが9~10月の記録会3000mで高橋かるな(3年)、田中真実(3年)、河口恵(2年)、松川涼子(1年)らが相次いで9分30~40秒台をマーク、県大会を前に著しい成長を見せている。
北九州市立は最長区間1区(6km)の矢野で大きな貯金をつくり、さらに2区(4.0975km)の金平(?)で差を広げ、逃げ切り体制に持ち込みたいところ。最終5区(5km)は高橋または田中か。事情は不明だが筑女から北九州市立に入り直した高橋にとっては様々な思いが交錯する大会になりそう。悔いのない走りを見せてほしい。一方、筑女としては1区の差を最小限に抑え、徐々に追い上げていきたいところだろう。接戦になるとアンカー勝負に持ち込まれる可能性が大きい。筑女のアンカーは由水か。福岡県大会の女子は28日午前10時30分、嘉穂陸上競技場をスタートする。