【大別すると木立ち性、球根性、根茎性の3つ】
ベゴニアはシュウカイドウ科シュウカイドウ属(ベゴニア属)の植物で、オーストラリアを除く熱帯~亜熱帯地方に広く分布する。とりわけ中南米のメキシコ~ブラジルと中国南部~東南アジアに多い。その種類は世界全体で約2千種ともいわれ、さらに原種の交配によって生まれた園芸品種は優に1万種を大きく上回る。日本に分布するベゴニアの仲間は2種。西表島や石垣島などにマルヤマシュウカイドウとコウトウシュウカイドウが自生する。
ベゴニアの植物名は17世紀に西インド諸島のフランス領アンティル諸島の総督だったフランス人、ミシェル・ベゴン氏(1638~1710)の名前から。ベゴニアは草丈や花姿、花期、葉の色・形・模様などが実に多彩だが、大別すると木立ち性、球根性、根茎性の3つに分類される。木立ちベゴニア(写真)は茎が直立して大きなものでは高さが3mほどにもなり、シャンデリアのような豪華な花房を垂らす。球根性ベゴニアは地中に球根を作るタイプで、花色が豊富で花径も小輪から巨大輪まであるのが特徴。根茎性ベゴニアは太い匍匐茎を地中で横に這わせるタイプで、葉の色や形が変化に富み美しいことから〝観葉ベゴニア〟とも呼ばれる。代表的なものに「レックス・ベゴニア」がある。
花壇の植え込みなどで最もポピュラーなベゴニアは「センパフローレンス」と呼ばれる品種。ブラジル原産のベゴニアをもとに品種改良された矮性種で、春から秋まで長く花を楽しめることから和名では〝四季咲きベゴニア〟と呼ばれる。球根性ベゴニアの交配で生まれた冬咲きベゴニアは別名「クリスマスベゴニア」。バラのような華やかな花姿で鉢花として評判が高い「エラチオール・ベゴニア」はドイツの育種家の名前から「リーガース・ベゴニア」とも呼ばれる。
ベゴニアは世界で大人気だが、日本国内にも愛好家が多い。「日本ベゴニア協会」は1962年の発足から既に半世紀以上の長い歴史を持つ。同時に御園勇さん(1910~87)をはじめとする育種家の手によって国内でも多くの新品種が生み出されてきた。ベゴニアは兵庫県尼崎市の「市の草花」。市民の投票で1位だったことや丈夫で開花期間が長い、品種が多く室内外でも楽しめることなどから1991年に選ばれた。「留守がちの日和ベゴニア花増やす」(守谷順子)