【襖絵など40点余、四条派の祖の画業を辿る】
大和文華館(奈良市学園南)で特別展「呉春ー画を究め、芸に遊ぶ」が開かれている。江戸中期に活躍した絵師呉春(1752-1811)は四条派の祖として近代の京都画壇にも大きな影響を与えた。その画業を代表作『柳鷺群禽図屏風』や『白梅図屏風』など大作を交えながら振り返る。11月24日まで。
呉春は京都で生まれ、20代に与謝蕪村に絵画と俳諧を学んだ。30歳のとき呉服里(くれはのさと、大阪⋅池田)に移り住んだのを機に呉春に改称。その後、再び京都に戻って円山応挙らと親交を結んだ。
『柳鷺群禽図屏風』(京都国立博物館蔵)は六曲一双の重要文化財で、前期と後期で右隻と左隻を入れ替えて展示。右隻には枯れ木に止まって群れ騒ぐ5羽のカラス(烏⋅鴉)が描かれている。カラスは師蕪村を象徴するモチーフの一つ。蕪村から譲り受けた「三菓堂図画印」も捺されている。その作品の隣には蕪村の『鳶⋅鴉図』(二幅対)のうち『鴉図』が展示されていた。
呉春の六曲一双『白梅図屏風』(逸翁美術館蔵)は深みのある青地に白い梅の花が浮かび上がる。輪郭線を用いない“没骨描法”に「応挙に学んだ成果が発揮されている」という。『雪梅図壁貼付』(草堂寺蔵、障壁画10面のうちの1面)は応挙自身の作品で、梅の小枝に雪が積もった画面はまさに静寂が支配する。いずれも重文指定。
呉春筆『蔬菜図巻』(泉屋美術館蔵)は薺(なずな)から慈姑(くわい)まで四季折々の野菜を季節を追って没骨で描いた墨画淡彩。図巻の横幅は8mを超える。その隣には『芋畑図襖』4面(京都国立博物館蔵)が前期中(11月4日まで)展示されていた。
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