く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

〈奈良⋅猿沢池〉 出現! うわさの巨大スッポン

2024年06月21日 | アンビリバボー

【クサガメ(?)と仲良く甲羅干し】

 奈良市の観光名所「猿沢池」。6月19日の午前10時すぎ、工事用素屋根の建設が進む興福寺の五重塔を眺めようと池の畔に立った。ふと池を見下ろすと「アンビリバボー」。巨大なスッポンが悠然と甲羅干しの最中だった。

 その大きさに唖然! 隣のカメの3~4倍はありそうだ。突出した鼻先からスッポンに間違いない。この池にスッポンが生息するとは聞いていた。だが、実際に甲羅干しの場面に遭遇するとは。

 10年前の2014年、奈良県が池の水抜き調査を行った。その時確認されたカメは全部で258匹。その大半を外来種アカミミガメ(幼体名ミドリガメ)が占めたが、クサガメが54匹、スッポンも3匹いた。

 国内最大のスッポンはどれくらい? 調べてみると、2011年に京都府城陽市の木津川で38.5㎝(甲羅の長さ)、16年には島根県松江市の朝酌川で39.3㎝のスッポンが見つかっていた。猿沢池のこのスッポン、測れるものなら測りたい。

 隣で甲羅干ししていたカメは甲羅の中央と左右に3本の隆起した筋が見られた。その特徴からたぶんクサガメだろう。上の写真は池の別の場所で撮ったカメ。これもクサガメに違いない。

 分からないのがまた別の場所にいた上の写真のカメ。甲羅は茶色っぽく、顔や四肢は黒かった。ニホンイシガメ? それともイシガメとクサガメの交配種? 10年前の調査ではそれぞれ1匹ずつ確認されていた。

 かつて我が物顔で池を占拠していたアカミミガメは今回目にしなかった。度重なる掃討作戦が功を奏したということだろう。アカミミガメは昨年6月から罰則⋅罰金が規定された「条件付き特定外来生物」になっている。

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<東大寺・長池> 発見!修学旅行生が池に落としたカメラ

2023年11月17日 | アンビリバボー

【警備詰所の職員ら奮闘! 懸命の探索が実る】

 11月16日午後2時すぎ、東大寺・二月堂からの帰り道での出来事だった。場所は大仏殿東側の細長い「長池」。大人の男女2人が何かを探すように虫取り網のようなものを池に差し入れていた。そばには心配顔の男女7人の修学旅行生。スマホでも落としたのかな? 男の子に話を聞くと、池のコイの写真を撮ろうとしてカメラを落としたとのことだった。

 男女2人のうち黒い制服姿の男性は東大寺警備詰所の職員で、女性は修学旅行生たちに付き添う先生だった。2人は旅行生が指をさす場所を中心に、繰り返し網で池の底をさらった。だが、網に掛かるのは黒い泥ばかり。

 先生は生徒たちに次の見学場所(興福寺?)に向かうよう指示し、先生が残って東大寺の職員と探し続けた。修学旅行生たちの集合時間は午後3時15分とのこと。もう1時間を切っていた。虫取り網を何度も池の中に突っ込むうちに、網の部分が柄から取れて使えなくなった。

 「やはり無理か」。その場を離れて帰途に就こうとしたら、向こうから大きな網を持った白いシャツ姿の男性がやって来た。手にするのは直径が50~60㎝もありそうな巨大な網。もうしばらく様子を見ようと再び現場へ。1人で残っていた先生は携帯で関係者に状況を報告中だった。

 また2人で捜索が始まった。そのうち熊手を持った警備詰所の職員も加わり別の女性の先生も駆けつけた。大網が水中から上がるたび、カメラが入っていないか注視したが、空振りが続く。大網で底をさらうこと十数回。「もう見つからないかも」と思った、その時だった。「あった!」と大網の男性。その場に遭遇して30分弱が経っていた。

 後からやって来た先生が無事に見つかったカメラの紐を手に取った。白い小さなデジカメだった。大網の男性は大任を果たせて安堵の表情。その男性に深々とお辞儀を繰り返す2人の先生の姿が印象的だった。

 先生から報告を受けた生徒たちの喜ぶ姿が目に浮かぶ。長時間水中に漬かったカメラがうまく機能するかどうかは分からない。だけど、この日の東大寺での出来事、警備詰所の職員たちの親身な心遣いは、いい思い出として長く心に刻まれることだろう。

 大網の男性が引き揚げるとき、この長池について話を伺った。それによると、江戸時代に大仏殿を再建するときに使う材木をこの池に浮かべていたらしい。池は貯木場だったのだ。知らなかった。

 では、そんな巨大な網を警備詰所に常備しているのはなぜ? この長池では時々死んだコイが浮かぶことがあり、それを回収するためとのことだった。その大網が今回はカメラの救出に役立ったわけだ。警備詰所の皆様、心温まる場面を見せていただき、ありがとうございました。

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<ハクビシン> 夜9時前、庭に突然2匹が!

2023年08月05日 | アンビリバボー

【親子? 白い鼻筋がくっきり】

 昨日8月4日の午後9時少し前、居間のガラス戸越しに黒い影が動く気配を感じた。そばにあったカメラを手に取り、シャッターを3回押してみると――。そのうち2枚に写っていたのは2匹のハクビシン(白鼻芯)だった。庭で見かけたのはこれが初めて。その名の通り、額から鼻にかけて白いラインがまっすぐ伸びていた。耳の前や眼の下にも白い模様。尻尾はかなり太く長かった。

 夜行性で、何でも食べる雑食性。甘い果実を好み、昆虫や小鳥なども捕食する。最近では住宅街の民家の屋根裏などをねぐらにすることも多いそうだ。以前、イタチが棲みつき天井を走り回る足音に悩まされたことがあった。そのため侵入口と思われる場所を金網で塞いだら、足音は聞こえなくなった。この2匹のハクビシン、近隣でも増えてきた空き家に棲みついているのだろうか。

 繁殖力は高い。1回に2~3匹を産んで生後わずか10カ月ほどで出産できるようになるという。写真の奥に写っている1匹は手前に比べてかなり小柄に見える。もしかしたら親子かもしれない。ハクビシンはアライグマほどではないが、かなり攻撃的という。この写真でも歯を剥き出しにし、こちら側を威嚇しているようにも見える。

 中国南部から東南アジアにかけて広く生息し、日本は分布域の北限に当たるそうだ。日本には毛皮用として中国から持ち込まれたという外来説が有力視されている。ただ移入時期が不明なこともあって、アライグマのような“特定外来生物”には指定されていない。鳥獣保護法により許可なく捕獲することも禁止されている。

 この数カ月、庭によく出入りしていたネコたちがぱったり姿を見せなくなった。ネコにとってハクビシンはカラスとともに天敵の一つ。ハクビシンが子ネコを捕食することも珍しくないそうだ。たまたま昨夜ハクビシンを初めて確認したが、もうずっと前から庭が徘徊ルートに入っていたのかもしれない。

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<戸畑図書館> 再生・開館からまもなく丸10年

2023年08月03日 | アンビリバボー

【旧図書館跡地にはドラッグストアが開業へ!】

 北九州市には門司港レトロ地区をはじめ歴史的建造物が多く残る。戸畑区では建築家辰野金吾の設計による「旧松本家住宅」(国の重要文化財)が有名だが、現戸畑図書館の建物も“帝冠様式”の重厚な外観から地域のシンボルとして親しまれてきた。90年前の1933年、戸畑市役所として建てられ、5市合併で北九州市が誕生した1953年からは9年間、初代本庁舎として利用されたことも。その後は2007年まで戸畑区役所として活用されてきた。市立戸畑図書館としてリニューアルオープンしたのは2014年3月。来春には開館から丸10年を迎える。

 建物は地下1階地上3階+塔屋3層で、延べ床面積は約2880㎡。竣工した90年前は建築基準法が施行される前で、図書館として再利用するには耐震補強を伴う改修工事が不可欠だった。設計・監理を担当したのは“リファイニング(再生)建築”を手掛ける青木茂建築工房。耐震化のため館内の中央廊下にスチール製のアーチ状補強材を設置するなど工夫を重ねた。図書館として蘇った建物はグッドデザイン賞、福岡県美しいまちづくり建築賞優秀賞、公共建築賞など数々の賞を受賞している。

 館内には「宗左近記念室」や「郷土資料室」なども設けられている。宗左近(1919~2006)は戸畑出身で、詩人・仏文学者・評論家・縄文研究家など多方面で活躍した。代表作に詩集『黒眼鏡』『炎(も)える母』、句集『響灘』など。図書館のすぐ北側に、昨年設置されたばかりという「鐵偶(てつぐう)」と題した宗左近生誕の地モニュメントがあった。彫刻家母里聖徳(ぼり・きよのり)さんの作で、「反戦平和を訴え、縄文の美を愛した郷土の先人、宗左近氏の意志を永く語り継ぐ」との思いを込めて制作したとのこと。

 現戸畑図書館の南西側には浅生1号公園を挟んでかつて旧戸畑図書館があった。開館したのは1958年。2014年に図書館が旧戸畑区役所跡の現図書館に移転するまで半世紀以上にわたって図書館としての役割を果たしてきた。だが、久しぶりに帰省すると建物は解体されて更地になっており、工事用パネルで囲まれていた。パネルには「(仮称)ツルハドラッグ戸畑区役所前店新築工事」と書かれていた。

 施工は大和リース株式会社、建築主はツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本で、事業期間は令和5年5月17日~10月31日となっていた。旧図書館跡地は区役所のすぐ西側にあり、飛幡八幡宮やスポーツセンターなどに隣接する。戸畑まちづくり構想では「戸畑区役所周辺地区・D街区(スポーツゾーン)」に位置する。公共施設が集積する、いわば官庁街のような場所。どんな経緯でドラッグストアが進出することになったのだろうか。(下は現図書館の郷土資料室に飾られていた旧図書館の開館当時の写真)

 一帯は国の重要無形民俗文化財で、ユネスコの無形文化遺産にもなっている「戸畑祇園大山笠」の競演会(7月第4土曜日)の会場として毎年10万人を超える観客でにぎわう。祭関係者の一人は旧図書館の跡地利用についてこうつぶやいていた。「跡地には観光客がいつでも資料や映像などを通じて戸畑祇園大山笠を体感してもらえる“お祭り会館”のようなものができるのを期待していたのだが……」(下の図は2021年7月の北九州市議会総務財政委員会のPDF資料から)

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<アンビリバボー> なに、これ? 巨大ナメクジ?

2023年02月25日 | アンビリバボー

【ヤンバルヤマナメクジか 6年前に沖縄で】

 2月24日の日経新聞朝刊「絶景で神頼み」に沖縄の斎場御嶽(せーふぁうたき)が掲載されていた。参道奥の巨岩がもたれかかった三庫理(さんぐーい)の大きな写真とともに。6年前に訪ねた懐かしい場所だ。久しぶりにパソコンで当時の写真を見返すうち、撮ったのもすっかり忘れていたこの巨大ナメクジのような画面が目に飛び込んできた。

 撮ったのは2016年10月6日、沖縄島中部の亜熱帯の森「ビオスの丘」(うるま市)を訪ねたとき。同伴の3人の仲間と共に「湖水観賞舟」に乗ってジャングルクルーズを楽しんだ。水辺の草花や野鳥のさえずり、水浴びする水牛など亜熱帯の雰囲気を堪能して船着場で下船。その直後、木製ベンチの端にこれまで見たことのない物体が張り付いていることに気づいた。

 胴体が薄茶色で太く、背中は模様がなく無地。全身ぬるっとした粘液で覆われているような感じだった。見た目、あまり気持ちのいいものではない。上のほうに這い回ったような粘液の跡も付いていた。ナメクジの仲間だろう。それにしても普通のナメクジに比べると、あまりにも大きい。そんな印象を抱きながら、その後調べることもなく済ませていた。

 今回ネットで「巨大ナメクジ」と検索すると、まず「マダラコウラナメクジ」がヒットした。まだ比較的新しい外来種で、2006年に茨城県で初めて発見されたという。その後、関東や東北を中心に分布域をじわじわ広げているそうだ。ただ名前の通り体全体が黒い斑模様で覆われている。日本の在来種で大きいものに「ヤマナメクジ」があることも分かった。だがこちらも脇腹の部分に帯状の黒い筋模様が走る。

 ヤマナメクジを調べるうち、沖縄に「ヤンバルヤマナメクジ」という類似種が生息していることが判明した。画像をチェックすると、大きくてほとんど無地。これに間違いないとほぼ確信した。ヤンバル(山原)は沖縄島北部の通称。ヤンバルヤマナメクジは主に常緑広葉樹イタジイ(スダジイの沖縄名)などの森に生息し、キノコや昆虫の死骸などを食しているそうだ。このナメクジも伐採されたイタジイと共に「ビオスの丘」まで運ばれてきたのかもしれない。

 ちなみに、ごく普通に見かける長さ5cmほどのナメクジの正式名は「チャコウラナメクジ」というそうだ。チャコウラは「茶甲羅」。ヨーロッパ原産の外来種で、日本には1950年代に米軍の物資に混じって持ち込まれたという。日本生態学会により「日本の侵略的外来種ワースト100」に指定されている。

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<旧大乗院庭園> 名勝日本庭園でカラス騒動!

2022年06月10日 | アンビリバボー

【あちこちに「カラスにご注意を」の掲示】

 国の名勝に指定されている日本庭園「旧大乗院庭園」(奈良市高畑町)が“カラス騒動”に見舞われている。6月9日に訪ねたところ、「大乗院庭園文化館館長」名で赤字の「注意」と題するこんな文面の掲示があちこちに。「カラスが背後から飛来接近してくることがありますのでご注意ください ※原因は現在調査中です」。日付は1週間ほど前の「6月2日」だった。中世の面影を残す数少ない名園だが、この注意書きもあって園路を巡る間、カラスの鳴き声が気になって仕方がなかった。

 大乗院は1087年創建の興福寺の門跡寺院。奈良ホテルの南側、古い町並みのならまちの東縁に位置する。元々は現在の奈良県庁の場所にあったが、1180年の平重衡による南都焼き討ち後この地に移った。作庭は足利将軍家に仕えた善阿弥によって始まり、完成後は「南都随一の名園」とまでうたわれた。だが明治時代に入ると、敷地は飛鳥小学校や奈良ホテルのテニスコートなどに。庭園修復整備の事業主体となったのは公益財団法人「日本ナショナルトラスト」。1995年から奈良文化財研究所の発掘調査や江戸時代後期の「大乗院四季真景図」などをもとに復元工事が進められた。

 一般公開されたのは平城遷都1300年に当たる2010年。南側にある「名勝大乗院庭園文化館」ではかつての大乗院に関する資料や復元模型を展示している。ここの入館は無料だが、庭園の見学は有料(大人200円)。早速入園料を払って時計回りに庭園を巡った。庭園の大部分を占める東大池には3つの島が浮かび、中島には反り橋が架かる。4年前に架け替えられたばかりとあって、欄干の朱色が目にも鮮やかだった。東大池の西側には複雑に入り組んだ水深の浅い西小池。発掘調査の結果、初めて詳細が判明したもので、遺構保護のため覆土し嵩上げした整備地盤面で復元する方法を採った。

 例の注意書きは園内への出入り口をはじめ園路の数カ所に掲示されていた。園路すぐそばの松の枝にハシブトガラスらしい1羽が止まっていた。少しずつ距離を縮め2~3mまで近づいたが、逃げる気配はなく威嚇するように「カーカー」と鳴いていた。文化館の男性職員によると、同園では作業員が背後から襲われそうになり、隣接する奈良ホテルでは実際に清掃作業をしていた人が後ろからつつかれたとのこと。その際、箒を振り回して追い払ったが、その後カラスはその人が現れると攻撃を仕掛けようとしたという。人を襲うのはもしかしたらその近くで子育ての最中だったからでは? しかし園内の全ての木を調べても巣はどこにも見当たらなかったそうだ。

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<蝶々> 2月半ばに早くもヒラヒラと!

2021年02月13日 | アンビリバボー

【開花まもないリュウキンカの花に】

 春めいた暖かい陽気になった2月13日のお昼前。ぼんやり庭を眺めていると、蝶が一匹ヒラヒラと舞っていた。やがて鉢植えのリュウキンカの花へ。早速蜜を吸い始め、花から花へ移っていた。近づいて見ると羽にはぽつぽつと小さな斑点。羽は白っぼいが少し黄みがかっている。昆虫図鑑をめくると、どうもキチョウの秋型の可能性が大きいようだ。一足早い春の使者の訪れに心がほっこり温かくなった。

 蝶を招いたリュウキンカは1週間前の6日に咲き始めたばかり。キンポウゲ科の多年草で、「立金花」の名の通り直立した茎の先に黄金色の鮮やかな花を付ける。寒さに強く、冬から初春にかけハート形の艶やかな葉を展開、花の期間はかなり長い。こぼれ種で増殖するため、今では庭のあちこちで芽を出している。

 今年の啓蟄は3月5日。虫たちはその頃目覚めて活動を始める。それにしてもまだ2月半ば。蝶が舞うにはちょっと早すぎるのでは? 全国の気象台は毎年「生物季節観測」として動植物の開花日や初見日、初鳴きなどを調べてきた。そこで奈良気象台のモンシロチョウの初見日をネットでチェック。すると2018年が3月29日、19年が3月28日、20年が3月24日で、平年の初見日は3月27日となっていた。あくまでもモンシロチョウの場合だが、1カ月半近くも早いことになる。過去で最も早かった初見日を教えてもらおうと気象台に電話したが、週末ということで残念ながらつながらなかった。

 この生物季節観測、動物ではモンシロチョウのほかアブラゼミ、ホタル、ウグイス、ツバメ、ヒバリなど23種が対象だった。ところが気象庁が観測の大幅縮小の方針を打ち出し、動物の観測は今年から全て廃止されることになった。34種が対象だった植物も梅、桜、アジサイ、ススキ、イチョウ、カエデの6種に限定されるという。全国統一基準で観測が始まったのは今から約70年前の1953年。長い歴史を持ち、季節の移り変わりを表す指標の一つとして定着していただけに、誠に残念というほかない。

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<ダンゴムシ> 全員集合! すし詰め状態

2020年08月01日 | アンビリバボー

【庭に埋め込んだプラスチック製小鉢に】

 体に触れるとまん丸く変身するダンゴムシ。子どものとき虫籠などで飼っていたという人も多いにちがいない。今も昔もちびっ子たちにとっては格好の遊び相手だ。その人気ぶりはバンダイが2年前発売したカプセル玩具「だんごむし」の大ヒットにも表れている。手のひらサイズで、自販機から直径7cmほどの丸まった状態で飛び出し、広げると長さが14cmになる。主に15歳以上を販売対象としていたが、発売と同時に全国で品切れ店舗が続出した。

 手元の携帯用昆虫図鑑をめくると、末尾に「あしの多いなかま(昆虫によく似た虫)」としてムカデなどとともに取り上げられていた。だが、もう1冊の図鑑には全く載っていなかった。それもそのはず、ダンゴムシは名前にムシと付くけど虫ではなく、エビやカニの仲間の甲殻類の節足動物(オカダンゴムシ科オカダンゴムシ属)だから。学名は「Armadillidium vulgare(アルマディリディウム・ヴルガレ)」という。属名は「アルマジロの小さなもの」を意味する。アルマジロは「武装した」を意味するスペイン語に由来するそうだ。

 そうした謂れはともかく、今回紹介するのはダンゴムシの〝落とし穴〟について。何年も前、庭にゴルフのパター遊び用として直径10cmほどのプラスチック製植木鉢を2カ所埋め込んだ。それからしばらく経って見下ろすと……。アンビリバボー! 鉢の中はなぜか、無数のダンゴムシに占領されていた。重なり合って、まさにすし詰め状態。一度穴に落ちると、つるつるのプラスチックの壁を登れないようだ。それから毎年、春から秋にかけて同じ光景が見られた。そして今年も。ダンゴムシの寿命は2~4年で、その間脱皮を数回繰り返すという。穴の中でもしばしば白い抜け殻を目にした。ダンゴムシはカルシウムが豊富なその抜け殻も食べるそうだ。

 家庭菜園などを趣味とする人にとってダンゴムシは大敵の害虫。野菜や草花の新芽、葉、花びらなどを食べてしまうためだ。一方で落ち葉などを食べてくれ土壌を豊かにするという働きもある。穴の中に集まるのは餌となる落ち葉がたまって環境が快適だからだろうか? ダンゴムシのフンには仲間を誘引する〝集合フェロモン〟が含まれるという説もあるそうだ。観察していて、穴の中に一目散に走り込むダンゴムシを見たこともある。今年は水菜やインゲンの苗を植えたそばにも数カ所小鉢を埋めてみた。その鉢にもしばらくすると、やはりダンゴムシが次々に集まっていた。(ダンゴムシが苦手な方は写真をズームしないでください)

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<カメムシ> 孵化した幼虫が卵殻を囲み整然と円陣!

2020年07月16日 | アンビリバボー

【クサギカメムシ? 発見2日後には脱皮】

 一昨日14日早朝のこと、ブドウ棚を見上げていると、葉の裏側に一円玉ぐらいの不思議な模様が目に留まった。近づいて見ると、真っ白い粒々の玉の周りを米粒より小さいテントウムシのような虫が円陣を組んでいた。玉も虫も12個ずつ。どうもカメムシの幼虫で、卵から孵化してまもないようだ。翌日も同じ体勢のまま。ところが発見3日目の16日早朝、1匹がちょうど脱皮の最中だった。最初は全身ピンク色だったが、数時間後には黒く変色し葉の上を活発に動き回っていた。

 昆虫図鑑やネットで調べたところ、この幼虫は背中の紋様などから「クサギカメムシ」の可能性が大きいようだ。ただクサギカメムシは1回に28個産卵することが多いという。それに比べるとこの集団は卵の数が半分以下と少ないのが少々気がかりだが……。カメムシの幼虫は孵化後しばらくは卵殻の周辺で密集して過ごす習性があるという。幼虫は5齢まであり、5回脱皮を繰り返してようやく羽化し成虫になる。

 クサギカメムシのクサギはクマツヅラ科の落葉樹クサギ(臭木)から。この樹木によく付くことによる命名だが、クサギカメムシはモモやブドウ、カキ、ミカンなどの果実にも集まって長い口吻で果汁を吸う。このためチャバネアオカメムシやツヤアオカメムシなどとともに果樹を襲う代表的な〝農業害虫〟とみなされている。特に今夏は西日本を中心に大量発生の恐れがあるとのことで、奈良県を含む多くの県がカメムシ注意報(病害虫発生予察注意報)を発令し注意を呼び掛けている。

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<奈良公園・飛火野園地> 鹿たちが早くも水浴び

2020年06月10日 | アンビリバボー

【その池は〝摘草〟の古跡「雪消沢」だった!】

 梅雨入り間近の奈良地方でもこの1週間ほどは最高気温が30度を超える真夏日が続いた。まだ6月前半なのに、熱中症に気をつけてといった声さえ聞こえてくる。そんな中、奈良公園では9日の昼下がり、鹿たちが暑さしのぎのため池の中で水浴びする光景も見られた。その場所は奈良公園内で最大の芝生広場が広がる飛火野園地の一角。春日大社の表参道の南西端に当たる。

 十頭あまりの鹿が池の中に入って涼をとり、中には池に浮かぶ小島の草を食む鹿もいた。小島には小さな石碑。「雪消澤古蹟」という碑文が刻まれていた。古跡? はてな。飛火野園地は正月の「春日の大とんど」の場所として知られ、クスノキの巨樹の根元には「明治天皇玉座跡」という石碑も立つ。通りがかりによく立ち寄ってきた広場だが、この池は気にも留めず通り過ぎていた。後で調べて、この湧き水の池が古くから歌にも詠まれた知る人ぞ知る有名な場所だと分かった。

 碑文「雪消澤」は「ゆきげのさわ」と読む。ここは古い時代から雪が消えた早春に若葉を摘み取る〝摘草〟の名所として知れ渡っていたという。今でこそ雪が降ることはめったにないが、昔は奈良でも結構よく降っていたのだろう。平安時代後期の公卿、藤原仲実(1064~1122)は歌集「堀河百首」の中にこんな歌を残している。「春日野の雪消の沢に袖垂れて君がためにと小芹をぞ摘む」。水浴びしていた鹿たちのおかげで、この場所の由緒を初めて知ることができた。少し離れた日蔭では鹿のお母さんが鹿の子(かのこ)模様の生後間もない小鹿に寄り添い、しきりに毛づくろいをしていた。

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<ケサラン・パサラン> 〝謎の物体〟に会いに姫路へ

2019年11月22日 | アンビリバボー

【あった!姫路城そばの市立動物園の猛禽類のそばに】

 〝謎の物体〟としてよく話題になる「ケサラン・パサラン」。果たしてその正体は何なのか。そもそも呪文のようなへんてこな名前はどこから来ているのか――。ずっと気に掛かっていた。関西でそのケサラン・パサランが展示されているのは姫路城そばの姫路市立動物園。久しぶりに「好古園」(姫路城西御屋敷跡庭園)を訪ねたのを機に動物園に会いに行った。

 初対面を楽しみに正面入り口からいざ園内へ。ところが受け取ったカラフルな動物展示の配置図をくまなく見回してもケサラン・パサランはどこにもない。あれ!ケサラン・パサランはこの動物園の売り物の一つのはずだけど……。場所を確認するため再び入り口へUターン。係員の女性によると、それは猛禽類の一角にあるという。言われた通りに赤い欄干の城見橋を渡って突き当たりを左折。しばらく進むと、フクロウやワシを展示する檻の前にあった。

 

 飼育箱のような木箱の中の落ち葉の上に真っ白い綿毛の物体が2つ。直径は5cmほどだろうか。化粧用道具のパフのようにフワフワな感じ。展示箱の下には第三者的なこんなコメントが添えられていた。「江戸時代より伝わる縁起物。正体はなぞに秘められていて、これを見るとよい事がある?と言われている。姫路ZOOでは猛禽類のエサの毛がケサラン・パサラン(毛玉)になった説が有力とか?」。その左には「ペリット(ペレット)」というウンチのような3つの塊も展示されていた。これは猛禽類がエサの鳥などを食べた後、消化できない羽や骨などが塊となって口から吐き戻されたものとのこと。塊の横に「1個のペリットの中にこんなに沢山の骨がありました」との説明もあった。

 

 ケサラン・パセランの正体について姫路市立動物園では毛玉説をとっているが、ほかにも牛や馬などの胆石や腸内の結石とする説、アザミやオキナグサなどの花の冠毛が集まったものとする植物由来説などもあるそうだ。さらに化粧の白粉(おしろい)をエサとする生物説や妖怪説も。名前についても梵語の「袈裟羅・婆裟羅」から▽スペイン語で「なるようになる」を意味する「ケ・セラセラ」から▽ポルトガル語の「ヘイサラバサラ」から▽「天から降ってくる」という東北地方の言葉「テンサラバサラ」から――など諸説あるという。

 国内では姫路のほかに山形県鶴岡市の市立加茂水族館や山形県立博物館などでも常時または期間限定で展示している。ケサラン・パサランの持ち主は一生幸運に恵まれる・金持ちになる・病気にかからず健康に暮らせる――など良いことがあるという。ただ、1年に2度以上見たり、他人に見せたりすると効果がなくなるとか。東北の庄内地方では門外不出の家宝として桐箱に収められ大切に受け継がれているところもあるそうだ。

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<首里城炎上> 正殿が灰燼に まさか、ウソだろ! 

2019年10月31日 | アンビリバボー

【沖縄のシンボル、北殿や南殿なども全焼】

 早朝5時前、いつもの通り寝床に入ったままネットで最新ニュースをチェック。すると、衝撃的な悲報が流れていた。首里城の炎上! 3年前の2016年秋久しぶりの沖縄旅行で、鮮やかな首里城正殿の姿が目に焼きついていただけに、にわかには信じられない。だが紅蓮の炎に包まれた首里城の写真が現実を物語っていた。正殿は骨組みだけを残し今まさに崩れ落ちそうになっていた。(火災の写真は「琉球新報電子版」から借用、その他は2016年10月7日撮影)

 首里城は約450年続いた琉球王国の政治・外交・文化の要。しかし戦時中、沖縄守備隊の司令部が置かれていたこともあって、米軍の猛攻撃を受け灰燼に帰した。その後、1980年代後半から復元事業が本格化し、守礼門や歓会門に続いて1992年には正殿などが復元された。首里城跡は2000年秋、斎場御嶽(せいふぁーうたき)や中城城跡などとともに「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」として世界遺産に登録された。

 

 正殿内部でとりわけ印象に残ったのは煌びやかな国王の玉座が飾られた「御差床(うーさすか)」。上部に飾られた扁額は清国皇帝から贈られたもの。玉座も扁額も往時の忠実な再現という。正殿裏側は「御内原(うーちばる)」と呼ばれる国王とその家族の生活空間で、2014年には寝室があった「黄金御殿」や「奥書院」などの一般公開も始まった。まだ真新しい室内に清々しい空気が漂っていたのが懐かしく思い出される。その黄金御殿や奥書院も焼失してしまった。

 首里城では10月27日から「首里城祭」が開催中だった。11月3日までの会期中、琉球王朝絵巻行列や古式行列、伝統芸能の公演、園内を幻想的なキャンドルで彩る「万国津梁の灯火」など多彩な行事が予定されていた。出火時も未明までイベントの準備が行われていたという。最初に火災に気づいたのは警備員で、警備システムのセンサーに熱反応があり、確認すると既に正殿から火の手が上がっていたそうだ。出火原因は何か。漏電? 煙草? それともイベント準備中の失火? まさか放火ではないだろう。それにしてもスプリンクラーなど防火体制は一体どうなっていたのだろうか。

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<クロアゲハ> 冬に向かうこんな時期に羽化とは!

2018年11月05日 | アンビリバボー

【庭先の金木犀の小枝で、16時間後力強く飛翔】

 4日(日曜日)の午後4時前、NHKのEテレで「あの日あの時あの番組」を見終わった直後のことだった。番組のタイトルは「日本のプチファーブル画家・熊田千佳慕さん 虫と語り、虫を描く」。庭に下りると、目の前の金木犀(高さ1.5mほど)の枝先になんやら黒い物体が。「えっ、なに?」。近づいて覗くと、なんとクロアゲハだった。そばには蛹の抜け殻。羽化したばかりのようだ。

 翅の裏側には鮮やかなオレンジ色の斑紋があった。雌だろうか。そのクロアゲハは接写しようとカメラを近づけても、前脚を少し動かす程度で翅を閉じたままほとんど身動きしない。観察したり写真を撮ったりすること30分余り。すると、今度は翅を大きく広げた。乾かしているのか。その後、時々様子を窺ったが、体勢はそのままだった。そのうち日が落ち次第に薄暗くなってきた。今日はここで過ごし、夜が明け暖かくなったら飛んでいくのだろうか。案の定、5日早朝も前日と同じ小枝につかまったままだった。

 

 それにしても寒さが厳しくなるこんな時期にどうして羽化したのだろう。ネットによると、アゲハチョウの寿命は2週間とも3~5週間ともいわれる。その間に相手を見つけることが果たしてできるのだろうか。暖かい時期に時々見かけていたアゲハの姿も今では全く目にしないけど。それに蛹が金木犀にくっ付いていたのも不思議だった。これまでもアゲハチョウの幼虫が好む柑橘系のユズやミカンなどで時々蛹を見かけた。だけど、この金木犀の近くには柑橘系がないのだが……。

 

  と、ここまで書いてガラス窓越しに金木犀を覗いた。午前8時半。クロアゲハは相変わらず同じ場所に止まったまま。羽化してから多分ずっと飲まず食わず。蜂蜜を溶かして与えてみようか。そんなことを考え始めた矢先のことだった。急に翅を打ち震わせ始めた。しばらく続けた後、頼りなげにふわっと枝から飛び下りた。そして2mほど先のビワの蕾の上につかまった。そこでも数十回翅を打ち振った。次第に力強さが増してくる。と、ついに空中へ。頭上を数回旋回するようにしてふわふわと飛び去っていった。最初の発見から約16時間。感動の一瞬だった。

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<長崎「一本柱鳥居」> 原爆のすさまじさを物語る〝生き証人〟

2018年10月28日 | アンビリバボー

【片方の柱を失っても立ち続けて70年余り】

 長崎の「一本柱鳥居」として有名な山王神社(長崎市坂本)の二の鳥居は、浦上街道沿いの参道の石段を上った小高い場所にあった。原爆が投下された爆心地から南東へ約800m。爆心地側の鳥居の左半分は強烈な爆風によって吹き飛ばされたが、右半分は奇跡的に倒壊を免れた。まさに奇跡のバランス感覚! その立ち姿はまるで「被爆の惨禍を伝えるのが私の使命」という強い意思を持っているかのように見えた。

 山王神社の創建は江戸時代初期の1638年といわれ、地元では「山王さん」と親しまれている。二の鳥居が建立されたのは1924年。1945年8月の被爆当時、神社には一の鳥居から四の鳥居まであったが、原爆による爆風で三と四の鳥居は倒壊、最大の一の鳥居はほぼ原形のまま残り、二の鳥居は右半分だけが残った。ただ、この二の鳥居も上部の笠木部分が東に13度回転したままになっているという。無事だった一の鳥居はその後、トラックによる衝突事故で倒壊し撤去されたため、4つの鳥居のうち今も残っているのはこの二の鳥居だけ。

 

 この一本柱鳥居は地元では〝片足鳥居〟と呼ばれているという。そのそばには吹き飛ばされた左半分の柱や笠木、「皇大神宮」と刻まれた額、鳥居の前に立てられていた石灯籠などの遺物が横たわっていた。柱には「大正十三年十月十八日建立」という文字が鮮明に刻まれていた。一本柱鳥居は国指定史跡。2年前の2016年10月、原爆により小川に滑落した浦上天主堂の旧鐘楼など3カ所とともに「長崎原爆遺跡」として史跡に指定された。

 

 山王神社には被爆の惨禍を伝えるものがもう一つある。境内入り口で圧倒的な存在感を見せる2本のクスノキの巨木。樹齢500年ともいわれるが、爆風で幹は折れ枝葉は吹き飛ばされて丸裸の立ち枯れ状態に。幹には無数の瓦や金属、小石などが突き刺さり、その破片を取り除くのは困難を極めたという。12年前には幹の空洞から新たに被爆時のものとみられる無数の焼けた石が見つかった。爆風で舞い上がって空洞の中に入ったと考えられるとのこと。樹勢を回復した被爆クスノキは長崎市天然記念物に指定されるとともに、環境省の「日本の音風景百選」にも選ばれている。

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<アサギマダラ> 〝渡り蝶〟がわが家の庭に飛来!

2018年10月19日 | アンビリバボー

【南下の途中? フジバカマの花に止まって吸蜜】

 秋晴れの18日午前11時すぎ、庭に出るとやや大型のチョウが頭上をひらひら。「アゲハチョウ?」。と、フジバカマの花に止まって蜜を吸い始めた。「あっ、アサギマダラだ!」。慌ててカメラを取りに室内に。庭に戻ると、幸いまだいてくれた。続けざまにシャッターを3回。そこで、どこかへ飛んでいってしまった。写りはもうひとつ。残念。ところが半時間ほどたって、またやって来てくれた。

 アサギマダラは長距離を移動する〝渡り蝶〟として知られる。生息地域は主に日本の本州以南から東南アジアにかけて。日本で見られるアサギマダラは春~初夏に南西諸島や九州の島々から北上し、本州の高原などで過ごして産卵。秋になると、その新世代が逆に南の暖かい地方に向けて旅立つ。マーキング調査による長距離移動記録では福島から台湾、和歌山から香港など、なんと約2500キロも飛んだことが確認されている。

 今年も南下の季節を迎え、奈良県内でもこの1週間ほど、アサギマダラの飛来に関するニュースが新聞やネットで報じられていた。▽曽爾村でフジバカマの植栽地に飛来し始め、14日に「アサギマダラ歓迎祭り」を開催(11日付朝日新聞)▽橿原市でも新沢千塚古墳群公園などに飛来(16日付毎日新聞)……。

 

  アサギマダラが好む花はフジバカマやヒヨドリバナ、アザミなど。わが家の庭にあるフジバカマも咲き始めた。「できればここにも立ち寄ってほしいけど」。飛来を伝える新聞を前に淡い期待を抱いていた。それがまさかすぐ現実になるとは! 住宅街の一角の狭い庭の隅っこにあるフジバカマ。それを目ざとく見つけたアサギマダラはすごい! 滋賀県の最高峰伊吹山で今年7月下旬、初めてアサギマダラに遭遇したときの感動が蘇ってきた。突然のうれしい訪問者が南方への旅を無事終えることができますように。

【白野江植物公園】九州の玄関口にある飛来の名所

 周防灘を望む小高い丘にある「北九州市立白野江植物公園」(門司区)は毎秋、南下するアサギマダラがよく立ち寄ることで知られる。同園ではアサギマダラの休息地になるよう毎年吸蜜植物フジバカマの植栽を増やしており、今では2000株ほどになるという。10月21日に訪ねると「花の谷」のフジバカマの周りを10頭ほどのアサギマダラがふわふわ飛んだり、翅を開閉させながら蜜を吸ったりしていた。その優雅な姿を撮ろうと5~6人の来園者が一心にカメラを向けていた。多いときには100頭もの乱舞が見られるそうだ。この日はラッキーなことに「北九州都市緑化祭の日」ということで入園無料、そのうえいろいろな花の種まで頂いた。

 

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