く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

〈平城宮いざない館〉 万葉衣装展「光明皇后華麗な一族」テーマに

2024年05月30日 | 考古・歴史

【古代衣装研究家山口千代子さん協力、6月2日まで】

 国営平城宮跡歴史公園(奈良市)内の平城宮いざない館で「万葉衣装展~光明皇后華麗な一族~」が開かれている。古代衣装研究家の山口千代子さんが復元した奈良時代の衣装のほか服飾品なども並ぶ。

 山口さんは正倉院の宝物、日本と中国の古墳の壁画、仏画、文献などを参考に飛鳥~奈良時代の衣装の復元に取り組んできた。「天平祭」の行列で着用される古代衣装も山口さんの手作り。

 いざない館の真ん中を貫く広い通路の突き当たりに、聖武天皇と光明皇后の2体が展示されていた。その両隣には向かって右側に皇后の母橘三千代、左側には天皇の母で藤原不比等の娘の宮子。

 上の写真中央の女性は聖武天皇と光明皇后の娘の阿部内親王。高貴な方のお顔は当時、人前では大きなサイズの翳(さしば)で顔を隠していた。

 奈良時代の服装は養老律令(718年制定)の中の衣服令(えぶくりょう)で細かく決められていた。公服は身分や官位によって礼服(らいふく)⋅朝服(ちょうふく)⋅制服の3つに分けられる。上の写真左側は藤原不比等の衣装。五位以上の貴族が重要な儀式で着る礼服の中でも最高位のものを身に着けていたとみられる。

 朝服は官人が朝廷の公事に携わる際に着用した衣装。上の写真は藤原四兄弟のうち武智麻呂夫妻と房前夫妻。下の写真は宇合夫妻と麻呂夫妻。男性はいずれも手に笏(しゃく)を持つ。五位以上は象牙、それ以下は木製だったそうだ。

 制服は一般庶民が公務のとき貸与される衣装で、いわば公務員のユニフォーム。制服という言葉は奈良時代から今と同じように使われていたわけだ。庶民や農民はふだん貫頭衣という麻布製の粗末な衣服に身を包んでいた。写真右側の2体が制服、左側が貫頭衣。

 会場には列をなすカラフルで華やかな女性陣の衣装も。中国⋅敦煌の壁画に参詣する女性たち主従一行が描かれていたことをもとに復元したという。

 ガラスケース内には高貴な女性が顔を隠すための翳(さしば)など、復元した服飾品も展示中。男性は腰に木簡の文字を消して再利用するための刀子を下げていた。古墳の出土品から身に付けていたと推測されるポシェットのような袋も展示されている。

 いざない館の入り口そばには「布作(ふさく)面」を被った古代衣装姿の男女2体が立つ。「麻布に描いた簡単な面、舞楽に使用か」という説明書きが添えられていた。

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〈なら工芸館〉 「日本伝統工芸近畿展in奈良」6月2日まで

2024年05月24日 | 美術

【受賞者や奈良在住作家の作品32点、人間国宝北村昭斎氏の遺作も】

 なら工芸館(奈良市阿字万字町)で「日本伝統工芸近畿展in 奈良2024」が始まった。4月に京都市で開かれた第53回日本伝統工芸近畿展の入選作から、受賞作品や奈良市近隣在住作家の作品合わせて32点を展示している。6月2日まで。

 近畿展では応募作品から2次の鑑査で201点が入選、その中から13点が受賞作品に選ばれた。「in 奈良」で展示中の受賞作は9点。日本工芸会支部長賞2点のうち甲斐幸太郎さんの木工作品「屋久杉と欅の蓋物」は2つの素材のコントラストと柔らかいフォルムが美しい。青江桂子さんの木芯桐塑布和紙貼り人形「悠久」は奈良の高松塚古墳に描かれた乙女をモチーフに制作したという。

 奈良県知事賞を受賞した平谷悠律子さんの絣織着物は作品名が「光の丘」。イタリア⋅アッシジの丘にある教会と周りの家々の光景からヒントを得たそうだ。展示中の新人奨励賞3点のうち山本蓉子さんの乾漆螺鈿箱「春信(しゅんしん)」は漆黒の中に精細な螺鈿がきらめいて弧を描く。

 螺鈿の重要無形文化財保持者(人間国宝)北村昭斎さんの木地螺鈿盆「陽春」も展示されている。白い椿の花6輪と蜜を求めて飛来した1匹のハナバチを螺鈿で表現した作品。北村さんは奈良市で制作に取り組んでいたが、昨年7月にご逝去、この作品が遺作となった。

 奈良県内の作家の入選作品には陶芸が多くを占める。その中で武田朋子さん(天理市)の「白黒化粧大皿」、本多亜弥さん(同)の染付鉢「南天」、森田由利子さん(橿原市)の「線描幾何文花入」などが目を引いた。山本哲さん(生駒市)の螺鈿蒔絵匣(はこ)「夏衣」、木村美智子さん(奈良市)の木芯紙貼り人形「良弁杉」なども展示されている。

 今回の「in 奈良」では伝統工芸近畿賞を受賞した浅井康宏さんの蒔絵螺鈿箱「太陽」が展示されていない。入賞13作品の中では最高賞ともいえ、京都での近畿展ではポスターなどでも”顔“として大きく取り上げられていた。浅井さんは昨年、作品が大英博物館に収蔵されるなど今注目を集める気鋭の漆芸作家。それだけに直接目にすることができず残念だった。その代わりというか、会場の一画では浅井さんのインタビュー動画が繰り返し流されていた。

 実はこの作品、「in 奈良」のチラシには元々掲載されていなかった。一方、他の受賞12作品は写真入りで取り上げられていた。ところが、である。なんと、そのうち3つの作品も会場で見当たらなかったのだ。大阪府教育委員会賞受賞の田嶌紫雲さん、日本経済新聞社賞の中埜朗子さん、それに松下幸之助記念賞の松下洋介さんの作品。チラシ製作時点では、近畿賞以外の出展は大丈夫と踏んでいたのか。それにしてもどんな事情があったのだろうか?

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〈枚岡神社〉 国の平安を祈願して「平国祭」

2024年05月22日 | 祭り

【「振矛の儀」に続き巫女による「矛の舞」も】

 東大阪市の枚岡神社で5月21日「平国祭」が執り行われた。通称「へいこくさい」と呼ばれているが、正式には「くにむけのまつり」。国の平安を祈願して毎年この日に行われている。

 祭典は午前10時に始まった。拝殿から宮司が祝詞を奏上。この後、本殿に安置されていた「平国矛(くにむけのほこ)」を使って「振矛の儀」が行われた。

 矛を地面に突き立てるように力強く垂直に突く。その動作を中央、左側、そして右側と3度繰り返した。儀式が終わると、矛は大切に抱えられ本殿前の祝詞舎の石段を上っていった。

 続いて巫女舞が奉納された。2人の巫女が通常手にする鈴に代わって矛を抱え、笛や太鼓に合わせ優雅に舞った。この舞の後には刀剣術「勇進流」の宗家、瀬戸天勇宏俊さんによる演武奉納も。

 午前11時からは参道広場で「勇進流」のメンバーが日頃の鍛練の成果を参拝者たちに披露した。「ビュ!」という真剣の風を切る音が印象的だった。

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〈大和郡山城址〉 現代工芸フェア「ちんゆいそだてぐさ」開幕

2024年05月19日 | メモ

【若手工芸家100人余+ワークショップ+飲食ブース】

 奈良県大和郡山市の郡山城址で5月18日、現代工芸フェア「ちんゆいそだてぐさ」が始まった。19日までの2日間の日程。会場には若手工芸作家100人余の工芸クラフトブースに加え、16のワークショップブース、30店の飲食ブースも設けられ、初日から家族連れなどでにぎわった。

 2013年から始まり今回で12回目。タイトルの「ちんゆい」は金魚の中国語での発音。金魚は沢山の卵を産むことなどから、原産地中国では縁起物とされる。中国から渡来した金魚は江戸時代に一大ブームを巻き起こした。

 18世紀半ば刊行の『金魚養玩草(そだてぐさ)』(安達喜之著)は日本初の金魚飼育書といわれる。「ちんゆいそだてぐさ」のフェア名には金魚の街⋅大和郡山の地から多くの工芸家が育ってほしいとの願いが込められているわけだ。会場入り口には金魚模様の布が風に揺れていた。

 主会場は城址会館(旧県立図書館)前の広場と追手門向櫓前の広場。陶磁器や木工、金工、ガラス、皮革製品などの展示ブースがまさに所狭しと並ぶ。

 関西以外の出展者では岐阜県の陶磁作家が目立った。東日本からは東京や茨城、静岡、長野など、西日本からは沖縄、広島、岡山などの出展者も。沖縄県読谷村に工房を構える伊波祐也さんの焼き物は植木鉢やカップなどが独特の柄と風合いで注目を集めていた。

 女性客で賑わっていたのが京都の志知希美さんの“加賀指貫(ゆびぬき)”のブース。そのカラフルな美しさがアクセサリーとして人気を呼んでいるようだった。

 奈良県下市町の大竹洋海さんは吉野杉を使った家具や灯りづくりに取り組む。今フェアには木目の美しさを生かした皿や丸盆、一輪挿しなどを出品していた。

 ワークショップは陶芸のろくろ体験、ベンガラ染め、ペンダント作り、粘土細工、ドライフラワーと多彩。瓢箪を使ったマラカス作りも子どもたちの人気を集めていた。

 フェアの盛り上げに一役買っていたのが足長パフォーマー。子どもたちが驚いた表情で見上げていた。

 城址会館そばの木陰では何組もの親子が太鼓打ちに興じていた。さて、その楽器は? アフリカの太鼓「ジャンベ」かな。

 追手門櫓など会場内のあちこちに設けられた飲食ブースも終日大にぎわい。買い求めるお客さんの列が絶えない店もあった。

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〈奈良市写真美術館〉 アン⋅ジュン「『重力へ』方向と座標」展

2024年05月16日 | 美術

【開館以来初の外国人アーティストによる個展】

 入江泰吉記念奈良市写真美術館(高畑町)で、韓国出身の女性写真家Ahn Jun(アン⋅ジュン)の個展が開かれている。タイトルは「『重力へ』方向と座標」。1992年の開館から約32年たつが、外国人アーティストによる個展の開催は今回が初めて。6月30日まで。

 会場にはアメリカで撮影した代表作「Self-Portrait(セルフ⋅ポートレイト)」と韓国帰国後の「One Life(ワン⋅ライフ)」の二つのシリーズを中心に70点ほどが並ぶ。いずれもアン自身がプリントした大型作品ばかりだ。その中にはまるで合成写真と見まがうものも多い。

 「Self-Portrait 」は20代のとき2008~13年の作品で、アン自身が被写体となって高層ビルから眼下を見下ろす。細身の彼女がビルの縁から飛び立つような作品は構図的にも衝撃的だ。窓枠を跨いだり、角の縁石に座り込んだり「危ない!」と思わせる作品も多く含まれる。

 その写真集の推薦帯にこうあった。「素足になり、まだ見ぬ世界へ飛び立つ その開放的な姿態によって彼女は鑑賞者を虚空の端へ誘う」。ただ鑑賞者が高所恐怖症だとしたら、身がすくんでとても見てられないかもしれない。

 ニューヨークから帰国後、モチーフは一変する。「One Life 」シリーズの主役は果物のリンゴ。まるで静止画のように風景の中に溶け込む。空中に静止したリンゴの姿に、一瞬の輝きやはかなさ、刹那的な時の移ろいなど様々な思いを込めたのだろう。その発想自体に異才ぶりがうかがえる。(下の写真は作品の部分)

 撮影地は韓国をはじめ日本、中東、英国など。シャッター速度とともに、気になるのがリンゴの動き。勝手に空から降ってくるわけがないし。では、どこから? 彼女が自ら投げて撮ったこともあれば、同行した夫君や祖父母など家族の協力もあったそうだ。

 アンは米国から帰国後、石や水、火、風など自然界の根源的なものにも目を向けた。会場には怒涛が聞こえてきそうな荒波、メラメラと激しく燃え上がる炎などの作品も展示されている。

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〈天理本通り商店街〉 5回目のイベント「本ぶらサンデー」

2024年05月13日 | メモ

【縁日広場⋅風船アート⋅マジック┄家族連れで大にぎわい】

 奈良県内で最も長い商店街が天理市にある。JR ⋅近鉄天理駅と天理教教会本部を結ぶ「天理本通り商店街」。総延長約1キロのドーム型アーケードの下に約180店舗が連なる。

 その商店街で5月12日「天理本通りマルシェ 本ぶらサンデー」と銘打ったイベントが行われた。2年前の2022年春にスタートし、以来毎年5月と11月に開催しており今回で5回目。

 ほぼ一直線に延びる商店街の両脇にはピザやスイーツ、唐揚げなどのキッチンカー10台をはじめ、物販や手作りワークショップ、フリマブースなと50店ほどが出店。縁日広場や遊びの広場も設けられた。

 先月4月の中旬にこの商店街を歩いたときは天理教の祭典「教祖誕生祭」直後とあって黒い法被姿の信者が目立ったが、この日はちびっこを伴った家族連れで大にぎわい。縁日広場では射的(無料)が人気を集めていた。

 商店街を移動しながらパフォーマンスを繰り広げる風船アートとマジシャンの周りにも人垣が絶えなかった。風船パフォーマー「nakajun(中村潤子)」さんの手さばき、お見事! 子どもたちから注文を受けるや、あっという間に「クマ」や「ウサギ」「銃」などを作ってはプレゼントしていた。

 イベント総合受付そばのステージでは「本ぶらカルテット」などの生演奏も。商店街関係者でにわかに結成したようなネーミングだけど、演奏のほうはなかなか大したものだった。

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〈大乗院庭園文化館〉 落合勲さんの「二十四節気書画展」

2024年05月11日 | 美術

【季節の草花に温かい“こころの文字”を添えて】

 奈良市高畑町の名勝大乗院庭園文化館で「二十四節気書画展」が開かれている。書道家⋅画家の落合勲さんが季節の草花を描いて言葉を添えた書画が壁面一直線にずらりと並ぶ。

  

 落合さんは1940年、三重県四日市市生まれ。喫茶店を営む傍ら、書画に没頭し、感謝の気持ちを込めた書を“こころの文字”と呼んで各地で個展を開いてきた。

  

 詩人清水英雄さんとの出会いが転機となった。清水さんの著作『ありがとう歳時記』『ありがとう二十四節氣』で草花の絵を担当。『ありがとうカレンダー』でも長年、清水さんとコラボを組んできた。

  

 落合さんの作品を前に頭に浮かぶのが先日4月28日に亡くなった星野富弘さんのこと。筆を口にくわえて、心に染みる草花の詩画をたくさん残してくれた。落合さんの作品も優しさや温かさが画面に溢れている。

  

 ❲春分❳ではハルノノゲシの絵に力強い筆致で「さあ野性のバトル開戦」。❲穀雨❳ではカタクリの花に「この足でこの眼でであえたよろこびと みなさんのお励しに感謝」と添えられている。

  

 ❲立夏❳にはシャガに「空もこころも晴れておくれ」、❲夏至❳ではギボウシに「雨を楽しむ」。「湯氣の中に愛がある」と添えられた❲冬至❳の作品も印象に残った。書画展は5月12日が最終日。下の写真は文化館2階からの眺望(庭園奥の建物は奈良ホテル)

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〈元興寺〉 本堂正面に花御堂を飾って灌仏会

2024年05月09日 | 祭り

【園児たちが「花まつりの歌」を奉納】

 奈良市ならまちの世界文化遺産⋅元興寺で8日、お釈迦様の生誕を祝い子どもたちの健やかな成長を祈る花祭り「灌仏会(かんぶつえ)」が執り行われた。花祭りは釈迦の誕生日とされる4月8日に行われることが多く、東大寺や興福寺でも「仏生会」としてその日に開催。ただ元興寺では毎年旧暦の4月8日に近い5月8日に行っている。

 国宝の極楽坊本堂正面には色とりどりの生花で飾られた花御堂。参拝者たちはその中央に立つ誕生仏に甘茶を注いでから堂内へ。左手には甘茶が入った2つのポットが置かれ「ご自由にお飲みください」と書き添えられていた。

 堂内は近隣の「極楽坊あすかこども園」の園児たちでいっぱい。午前11時、法要が始まると、園児たちは胸元で小さな手を合わせて合掌していた。

 法要が終わると、辻村泰善住職が園児に向けお話し。「世界で一番高い山、知ってますか? エベレストですね。仏様はその麓のルンビニで生まれました。生まれたとき虫や鳥などみんなが喜んで、しおれていた花も雨が降って元気になりました。その雨を甘露の雨といいます。みんなも生まれたとき感謝されたことを忘れないでくださいね」

 この後、園児たちから『花まつりの歌』がお返しに。ちびっこたちの元気な歌声が堂内に響き渡った。「おはなあげましょささげましょ きょうはこどものはなまつり にこにこげんきなおしゃかさま みんなでおいわいいたしましょ」

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〈サンヤレ踊り〉 滋賀県草津市の6地区で華やかに

2024年05月04日 | 祭り

【2022年「風流踊」としてユネスコ無形文化遺産に】

 滋賀県草津市内で5月3日、国の重要無形民俗文化財に指定されている「サンヤレ踊り」が各地の神社に奉納された。一昨年の2022年秋に「風流踊」の一つとしてユネスコの無形文化遺産に登録されたばかり。

 サンヤレ踊りは五穀豊穣などを祈るもので、古文書などによると江戸時代からの長い伝統を誇るという。今年は市内7地区のうち隔年実施の矢倉を除く6地区で踊りが披露された。

 下笠地区では正午から約30分にわたり老杉神社で踊りが奉納された。主役は華やかな花笠と衣装の子どもたち。青年男子の「サンヤレ、サンヤレ」という囃子詞(ことば)に合わせ太鼓や鞨鼓(かっこ)を打ち鳴らした。

 吉田地区の踊りは午後1時半から三大神社に奉納された。こちらは太鼓打ちの子どもも、囃子や笛吹きも全員男性で白い法被姿。囃子方の「ヤー、ホイ」という独特な囃子と動きが印象的だった。

 その後、志那中地区の惣社神社へ。踊りの行列は「今ごろ御旅所のはず」。社務所でそう教えてもらって太鼓が聞こえてくる方向に向かうと「御旅所祭」の真っ最中。ピンク色の法被姿の女の子たちの輪の中で、色鮮やかな襷掛けの男の子が太鼓を打っていた。

 御旅所の一角にはユネスコの無形文化遺産登録を記念した石碑が。そういえば各地区の踊り保存会の旗や法被などにも誇らしげに「ユネスコ」の文字が躍っていた。ユネスコ登録が伝統の保存に一役買っていることは間違いない。

 神社奉納後、踊りの行列は各地区の町内を巡行した(写真は志那神社で)。今年は3年に一度の長束(なつか)地区も登場した。3年前は新型コロナの影響で中止になっており、印岐志呂(いきしろ)神社への奉納は実に6年ぶりとのこと。

 ただ三大神社などを巡るうち時間的余裕がなくなって長束の踊りを見ることができなかったのが心残り。三大⋅志那⋅惣社の3つの神社は「藤の志那三郷」としてフジの名所として有名とのこと。踊りよりフジお目当ての観光客も多いようだった。(写真は三大神社で)

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