【インド原産、濃い赤紫色のものも】
インド~熱帯アジア原産のヒユ科ケイトウ属(セロシア属)の1年草。ケイトウは花の形がニワトリの鶏冠(とさか)に似ることから「鶏頭」の漢字が当てられているが、このノゲイトウは花穂がローソクの炎のように伸びて、すらりとした草姿が特徴。ケイトウの中でより原種に近い形態ともいわれている。学名は「セロシア・アルゲンテア」。属名のセロシアはギリシャ語の「keleos(燃やした)」に由来するという。種小名アルゲンテアは「銀白色の」の意。
開花期は7~10月ごろ。長い茎の先に太い穂状花序を出し、少し光沢のある白や淡紅色の小花を密に付ける。燃えるような鮮やかな赤紫色の花を付ける品種もある。花は下から上に徐々に咲き上がる。草丈は通常30~80cmだが、中には1~1.5mにもなるものもあり、ドライフラワーや切り花としても人気。関東以西の暖地では河川敷などで野生化している。目にしたノゲイトウの花の周りにはイチモンジセセリなどの小さな蝶が飛び交っていた。
ノゲイトウの仲間のような名前のナガエツルノゲイトウ(長柄蔓野鶏頭)は同じヒユ科だが、別属のツルノゲイトウ属。こちらは南米原産の水生多年生植物で、シロツメグサのような白い小花を付ける。すさまじい繁殖力で水面を覆い尽くすため、琵琶湖や印旛沼など各地で問題になっており、外来生物法で「特定外来生物」に指定され栽培や販売が厳しく禁止されている。なおハゲイトウ(葉鶏頭)もヒユ属(アマランサス属)で、ケイトウ属の仲間ではない。ハゲイトウは葉が美しく「雁来紅(がんらいこう)」の別名を持つ。