【別名「フシネハナカタバミ」、よく似た花に「ムラサキカタバミ」】
カタバミ科カタバミ属の球根性多年草。原産地は南米のブラジル、パラグアイ、アルゼンチンなどで、日本には観賞用として戦後になって渡ってきた。今では全国各地で野生化している。花期は4~9月と長く、直径2cmほどの桃紫色の5弁花を多く付ける。草丈は10~30cm。花の基部は濃い紅色で、中心に向かって筋が放射状に伸びる。
芋片喰の「芋」はイモのような塊茎ができることから。「片喰」は3枚の小葉がハート形でへこんだ部分がかじられたように見えることに由来するという。「フシネハナ(節根花)カタバミ」という別名もある。これは株が大きくなるに従って塊茎が串団子のように段重ねになることによる。学名は「オキザリス・アルティクラタ」。属名のオキザリスはギリシャ語で「酸っぱい」の意。この属の植物にシュウ酸を含み酸味があるものが多いことに由来する。カタバミを「酢漿草」とも書くのもそのため。種小名アルティクラタは「節目のある」を意味する。
よく似た花にムラサキカタバミがある。これも南米原産で、イモカタバミより早く江戸末期の文久年間(1861~64年)に渡来した。地下に鱗茎をつくって繁殖力が旺盛なことで知られる。イモカタバミに比べると花色がうすい淡紅紫で、花の基部は黄緑色で雄しべの葯も白い(イモカタバミは黄色)。同じく南米原産のベニカタバミは花弁が丸みを帯び、葉がイモカタバミに比べて小さくて光沢があるといった特徴がある。
日本在来種のカタバミの花は明るい黄色。繁殖力が強く子孫繁栄につながることもあって、小葉3枚を図案化して家紋とした戦国大名や武将も多い。植物紋の中では桐紋に次いで人気が高かったそうだ。そのカタバミにもそっくりな帰化植物がある。最近分布域を急速に拡大している北米原産のオッタチ(おっ立ち)カタバミ。カタバミの茎が地表を這うのに対し、オッタチは水平に伸びる地下茎から茎を何カ所もまっすぐに立ち上げる。