【別名シナヒイラギ、「クリスマス・ホーリー」とも】
春に芳香のある白い4弁花をつけ、晩秋になると果実が緑色から真っ赤に熟す。直径は8~10ミリほど。葉には濃い緑色で光沢があり、四角張って角に鋭い棘がある。モチノキ科の常緑低木で葉がヒイラギに似ていることから「ヒイラギモチ」の和名がついた。ただしヒイラギはモクセイ科で全く別の種類。ヒイラギの果実は黒い。
学名「イレクス・コルヌータ」。原産地は中国、朝鮮半島で、「シナヒイラギモチ」や「ヤバネ(矢羽)ヒイラギモチ」「ヒイラギモドキ」などの別名もある。漢名は「枸骨(くこつ)」で葉や根、果実が漢方の薬用として利用される。日本では「チャイニーズ・ホーリー」や「クリスマス・ホーリー」として出回り、クリスマス用の飾りやリース用に人気が高い。
ただ本来「クリスマス・ホーリー」と呼ばれてきたのは西アジアからヨーロッパ南部、アフリカ北部にかけて分布する「セイヨウヒイラギ」(学名「イレクス・アクイフォリウム」)のこと。「イングリッシュ・ホーリー」や「ヨーロピアン・ホーリー」とも呼ばれ、欧米のクリスマスでは欠かせない存在になっている。樹高は6~10m。
わが国ではセイヨウヒイラギの別名としてヒイラギモチを当てるケースも。『新牧野日本植物圖鑑』(北隆館発行)は「ヒイラギモチ(セイヨウヒイラギ)」として取り上げ、セイヨウヒイラギの名前に関し「クリスマスの飾りに使う本種の葉を単にきょ歯の点だけに着目してヒイラギの仲間と誤り西洋産のヒイラギと呼んだもの。よい名ではない」としている。日本にはヒイラギモチの変種として奄美大島に「アマミヒイラギモチ」があるが、ごく近い将来の絶滅の危険性が大きいとして環境省の絶滅危惧ⅠA類になっている。