【サックスとピアノでクラシックから映画音楽まで】
東大寺総合文化センターの金鐘ホールで9日「ビッグ幡in東大寺特別コンサート」が開かれた。出演はバリトンサクソフォーン奏者として活躍する栃尾克樹さんと奈良県出身のピアニスト辻ゆり子さん。これまでも共演を重ねてきたとあって、アンコールを含め11曲で息の合った演奏を披露した。
このコンサートは9月から県内全域で展開中の「奈良県みんなでたのしむ大芸術祭(みん芸)」の一環。東大寺大仏殿前には全国の障がいのある人から「花鳥風月」をテーマに公募した絵画作品を基に製作した“ビッグ幡”が翻っていた(幡は寺院の重要な法要などの際に掲揚される旗のこと)。
コンサートはクライスラーの「シンコペーション」から始まった。次いでシューマン「アダージョとアレグロ」、メンデルスゾーン=リスト「歌の翼に」。サクソフォーンの深みのある音色と迫力のある低音が会場に響き渡った。続くモンティの「チャルダーシュ」では目にも止まらない指使いで超絶技巧を見せてくれた。(下の建物は金鐘ホールがある東大寺総合文化センター)
この後、チャップリンの主演映画「ライムライト」の主題歌「エターナリー」を挟んでサン=サーンス「白鳥」、ラフマニノフ「チェロソナタ第3楽章」など。最終10曲目は再びチャップリンの映画「モダン⋅タイムス」より「スマイル」だった。アンコール曲はブラームスの「甲斐なきセレナーデ」。演奏前、栃尾さんがその曲目を解説してくれた。あのブラームスにこんなコミカルな歌曲があったとは。