がんの予防や治療における漢方治療の存在意義を考察しています。がん治療に役立つ情報も紹介しています。
「漢方がん治療」を考える
332)「肉や乳製品は乳がんを促進する」は本当に正しいのか?
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図:がんと栄養に関する欧州前向きコホート研究(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition:EPIC)のデータを使って肉・卵・乳製品の摂取と乳がんの発生リスクの関連を解析した論文のデータの一部を転載している。それぞれの食品別の摂取量を少ない方から多い方に5つのグループに分け、摂取量が最も少ないグループの乳がんの発生リスクを1として、それぞれの摂取量のハザード比を示している。摂取量に何十倍もの差があるが、肉・卵・乳製品の摂取量と乳がんの発生リスクの間には関連は認められていない。(データ元:Am J Clin Nutr 90: 602-612, 2009年)
332)「肉や乳製品は乳がんを促進する」は本当に正しいのか?
【交絡因子とは】
「血液中のカロテノイドの濃度が高いと乳がんの発生率が低い」という研究結果があります。カロテノイドは緑黄色野菜や果物に多く含まれていますので、この結果は、野菜や果物が乳がんを予防する可能性を示唆します。
しかし、血中カロテノイドの濃度は、生活習慣の指標にすぎない可能性もあります。
野菜や果物の摂取が多い(つまり、血中カロテノイドが高い)グループは摂取が少ない(血中カロテノイドが低い)グループと比べて、総摂取カロリーが低い、肥満が少ない、運動を良くしている、飲酒や喫煙の率が低いという違いにも差が出ています(304話参照)。
アルコールは閉経前と閉経後の両方において乳がんの発生リスクを高めることは確実(convincing)です。
運動(身体活動)は閉経前と閉経後の両方において乳がんの発生リスクを減少させることはほぼ確実となっています。World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research(世界がん研究基金とアメリカがん研究所)のレポートでは、身体活動(Physical activity)が乳がんの発生率を減らすのは、閉経前でLimited-suggestive(可能性あり)、閉経後でProbable(ほぼ確実)という評価になっています。
肥満は閉経後乳がんの発症率を高めますが、閉経前では逆に肥満はリスクが低下します。
つまり、血中カロテノイドの高い人(野菜や果物を日頃から多く食べている人)は、乳がんのリスクが低くなる生活習慣を行っているので、それが総合的に乳がんの発生リスクの低下に寄与している可能性は否定できません。
アルコールに出費が多い人は、果物まで手がでにくいのかもしれませんし、果物を多く食べている人(多く食べれる人)は、経済的に裕福で、他の環境も良好である可能性もあります。
このように、野菜や果物の摂取と、がんの発生の両方に関連している因子があると、因果関係が判りにくくなります。このような因子を交絡因子(confounding factor)と言います。野菜・果物と乳がんの関連では、飲酒や肥満や運動が交絡因子になります。
したがって、野菜や果物の摂取が多いグループで乳がんの発生率が低いという結果が出ても、発がんに関連する交絡因子(飲酒や肥満や運動など)の影響を除外しておかないと間違った解釈になる可能性があります。
実際に、これらの交絡因子をできる限り排除した最近のコホート研究では、野菜や果物の摂取が乳がんの発生リスクを低下させるという結果は得られていません(304話参照)。
世界がん研究基金とアメリカがん研究所のレポートでは、野菜も果物もlimited-no conclusion(証拠不十分)となっています。
【肉・卵・乳製品と乳がんリスク】
がんの発生に対する食事の関与が具体的に指摘されたのは1970年代の米国においてです。米国では1960年代には生活習慣病の増大により医療費が膨れあがり、がんや心臓病の予防を目指した研究に巨額の予算がつぎ込まれるようになります。その成果の一つが1977年の「アメリカ合衆国上院栄養問題特別委員会報告書(通称:マクガバン・レポート)」という5000ページにも及ぶ膨大なレポートです。このレポートでは、「諸々の慢性病は肉食中心の誤った食生活がもたらした食原病である」とし、肉や動物性脂肪や砂糖や食塩の摂り過ぎが心臓病やがんや脳卒中などの生活習慣病の発生に深く関与していることを指摘しました。
1960~70年代の米国の食事が悪いという観点からスタートしているため、まず動物性脂肪と肉と精製度の高い糖質(砂糖や精白した小麦粉など)の摂り過ぎの改善が目標になっています。野菜や果物や精製度の低い穀物が豊富で、食物繊維が多くカロリーが少ない食事が、健康的な食事でがん予防にも効果があると永く考えられてきました。今でも、この考えは間違いではありませんが、いろいろと議論はあります。
例えば、BMIが30以上の高度肥満が人口の30%以上を占める米国の指針が、BMI30以上が2~3%しかいない日本人にそのまま当てはめてよいかも疑問です。
「長生きしたけりゃ肉は食べるな」(若杉友子 著)や「粗食のすすめ」(幕内秀夫 著)という書籍がある一方、老化研究の専門家からはむしろ「介護されたくないなら粗食はやめなさい」(熊谷 修 著)、『50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい! 「低栄養」が老化を早める』 (新開省二 著)、「肉を食べる人は長生きする」(柴田博 著))などの書籍もあります。
寿命の観点からだけでも、肉を止めろという意見と肉を食べろという正反対の意見があります。がんの場合も同様で、一般的には、肉や動物性脂肪(飽和脂肪酸)の取り過ぎはがんを増やすと考えられていますが、日本人が摂取している量をさらに減らすメリットが本当にあるのかという指摘もあります。動物性食品を完全に省くことによって乳がんの発生リスクを低減できるというエビデンスはありません。
【食事と乳がんに関するコホート研究の結果】
肉や卵や乳製品の摂取と乳がんの発症リスクを検討した研究は多数ありますが、結論が一致しないため、コンセンサスは得られていません。
食事の内容と乳がんのリスクの関連を研究するコホート試験は、スタート時に食事調査を行い、何年か追跡して、食品ごとに乳がんの発症率や死亡率などを解析して、その食品が乳がんの発生に関連しているかどうかを調べる研究法です。
肉や卵や乳製品と乳がんとの関連を検討した前向きコホートとして欧州で行われた研究の論文を以下に紹介します。
Meat, eggs, dairy products, and risk of breast cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC) cohort(がんと食事に関する欧州前向きコホート研究における肉・卵・乳製品と乳がん発生リスク)Am J Clin Nutr 90: 602-612, 2009年
【要旨】
研究の背景:西洋型の食事は乳がんの発生リスクと関連している。
目的:欧州前向きコホート研究(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition:EPIC)のデータを使って、肉・卵・乳製品の摂取と乳がんの発生リスクの関連を解析した。
研究方法:1992年~2003年の間に319,826人の女性から食事の内容に関する調査を行った。
発がんのリスク比率はCox比例ハザードモデルを用いた多変量解析(multivariate Cox proportional hazards model)を用いた計算した。
結果:平均8.8年間の追跡調査期間において7119例の乳がんの発症を認めた。この解析において、いかなる食品群の摂取量と乳がんの発生リスクの間に相関は認めなかった。高度に加工した肉製品の摂取量が多いと乳がんの発生リスクが軽度上昇した。加工肉を多く摂取する上位5分の1のグループは、摂取量の少ない下位5分の1に比べて、乳がん発生のハザード比は1.10 (95%信頼区間:1.00~1.20, P=0.07)であった。
閉経前の女性に限った場合、バターの摂取は乳がんの発生リスクとの関連が示唆された。(バターの摂取量の多い上位5分の1のグループは摂取量が少ない下位5分の1に比べて、乳がんの発生リスクのハザード比は1.28 [ 95%信頼区間;1.06~1.53, P=0.21]であった。)
赤身の肉による影響は国の違いによる不均一性を認め、その理由は主に高温で加熱調理した肉料理の比率で説明できた。
結論:肉・卵・乳製品の摂取と乳がんの発生リスクの間に関連は認めなかった。高温で加熱調理した赤身の肉と乳がんのリスクの関係については、さらに検討が必要。
European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)というのは、ヨーロッパで行われているがんと食事に関する大規模コホート研究です。
ヨーロッパの10カ国(デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ノルウェイ、スペイン、スウェーデン、イギリス)の23の施設が参加しています。
食事とがんの関係を検討するコホート研究を1つの国の中だけで行うと、食事の内容が似ていて個々の食品の摂取量に大きな差がないと、アンケートや聞き取りによる調査の誤差が結果に影響を及ぼしやすく、差がでにくいという欠点があります。
その点、この欧州の10ヶ国が参加したコホート研究では、国によって食事がかなり異なるので、食品別の摂取量の違いが極めて大きいので、もし、食品の種類によって発がんリスクに差があれば違いが出やすいという利点があります。
トップの図に示すように、個々の食品の摂取量には数十倍以上の差があります。5段階に分けて、全く摂取しないグループと1日数百グルム摂取するグループに分けられます。これくらいの大きな差があれば、発がん率に統計的な差は出るはずです。もし差がなければ、発がんリスクに影響していないという結論になります。
この論文では、EPICコホートのデータを用い、平均8.8年間の追跡調査で発生した7119例の乳がんを解析し、肉や卵や乳製品の摂取が乳がんの発生率を高めるかどうかを検討しています。結論は、「高温で加熱した赤身の肉」が乳がんの発生リスクを高める可能性はあるが、肉・卵・乳製品の摂取量と乳がんの発生リスクとの間に関係は認めなかった」ということです。
今までは、肉や卵や乳製品の摂取が多いと乳がんの発生リスクが高まると考えられていましたが、この大規模前向きコホート研究では、いずれも関連が認められなかったという結果です。ただ、加工肉と高温で加熱した赤身の肉は、乳がんの発生リスクを高める可能性は示唆されています。つまり、加工肉と高温で加熱した(バーベキュー料理やオーブン料理やグリル料理のような直火で焼くような調理法)赤身の肉を食べなければ、肉や卵や乳製品を通常量食べるのは乳がんの発生リスクを高める可能性は低いという結果です。
赤身の肉も煮る料理(鍋や煮込みやシャブシャブなど)であれば問題ないようです。
米国の黒人女性を対照にしたコホート研究でも、乳製品と肉の摂取が乳がんの発症リスクを高める結果は得られていません。以下のような論文があります。
Consumption of dairy and meat in relation to breast cancer risk in the Black Women’s Health Study.(黒人女性健康研究における乳製品と肉の摂取と乳がんリスクの関係)Cancer Causes Control 24(4): 675-84, 2013年
【要旨】
目的:乳製品や肉の摂取は、エストロゲン産生への影響、乳製品に含まれるビタミンDの作用、調理や加工中で産生される物質(ヘテロサイクリックアミンなどの発がん物質)の産生など様々な機序で乳がんの発生リスクに影響を及ぼす可能性がある。肉や乳製品の摂取と乳がんの発症リスクの関連に関する研究の結果は一致していない。
方法:黒人女性健康研究(the Black Women’s Health Study)において、52,062人の女性を12年間追跡調査して1268人の乳がん患者を認めた。リスク比と95%信頼区間はCox比例ハザードモデルを用いた多変量解析で行った。
結果:総牛乳(total milk)の摂取量が0以下と1000g/週以上の間の乳がん発症のリスク比は1.05(95%CI: 0.74-1.46)、総肉製品(total meat)の摂取量が400g/週以下と1000g/週以上の間の乳がん発症のリスク比は1.04(95%CI: 0.85-1.28)で、いずれも統計的な有意差は認めなかった。特殊なタイプの乳製品や肉製品の摂取や、カルシウムやビタミンDの摂取量にも、乳がんリスクとの関連は認めなかった。
結論:黒人アメリカ女性の解析において、乳製品と肉の摂取と乳がんリスクの間に関連は認めなかった。
「乳がんの発生率が、生活習慣や食生活によって影響を受ける」と言うことは、多くのエビデンスがあります。生活習慣や食生活は自分で変えることができるので、乳がんを予防することができます。
乳がんの発生率を減らす要因としては、適度な身体活動、標準体重の維持、アルコール摂取の制限、健康的な食事(healthy diet)が挙げられています。
さて、ここで、健康的な食事とは何か、ということになります。
一般的には、西洋型の食事が乳がんの発生率を高めることが、多くの疫学的研究で明らかになっています。しかし、「どのような食品の摂取を減らせば乳がんを減らせるのか」、あるいは、「どのような食品の摂取を増やせば乳がんを減らせるのか」という具体的な食品の寄与に関しては、十分なコンセンサスが得られていません。
一般的には、肉や卵や乳製品の摂取が乳がんの発生率や死亡率を高めると信じられており、そのような食品の摂取と乳がんの発生率や死亡率との間に正の相関(肉や卵や乳製品などの動物性食品の摂取が増えると乳がんの発生率や死亡率が増える)を認めた疫学研究は複数あるのは確かですが、一方で、関連は無い(肉や卵や乳製品などの動物性食品の摂取が増えても乳がんの発生率や死亡率は増えない)という結果も複数の疫学研究で得られています。乳製品に関しては乳がんを予防するという報告もあります。(312話参照)
そのため、世界がん研究基金とアメリカがん研究所(World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research)からの2007年に発表された専門家会議の最新レポートでは、「疫学研究からは、いかなる動物性食品も乳がんの発生リスクと関連しない」と結論しています。
2010年の段階でのまとめがWorld Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Researchのホームページにまとめられています。
アルコール摂取は閉経前と閉経後の両方において乳がん発生リスクを高めることは確実(convincing)となっています。
総脂肪(total fat)の摂取が多いと閉経後の乳がんの発症リスクを高める可能性がある(limited-suggestive)という分類になっています。limited-suggestiveというのは、可能性はあるが、まだ証拠は限定的で確定できない状況です。閉経前では総脂肪(total fat)の摂取はリスクを高める可能性は指摘されていません。
食品については、野菜、果物、食物繊維、魚、乳製品、大豆製品など全てにおいて、証拠不十分(limited-no conclusive)となっています。
食品成分と乳がんの発生率や死亡率の関連については、かなりの数のコホート研究があるのですが、結論が出ないというのは、報告によって結果がばらばらだからです。
例えば、赤身の肉に関しても、乳がんの発生リスクを高めるという結果が得られた疫学研究もあり、反対に関連は無いという結果も同じくらいあるためです。そして、これらを全て集めてメタ解析しても、あるいは、EPICコホート研究のような大規模な前向きコホート研究を行っても、差が認められないからです。
中国からの研究でも、肉や卵と乳がんとの関連は認められていません。
Meat and egg consumption and risk of breast cancer among Chinese women.(中国人女性における肉と卵の摂取と乳がんリスク)Cancer Causes Control 20(10): 1845-53, 2009年
【要旨】
目的:肉と卵の摂取と乳がんの発症リスクの関連については、既に複数の疫学研究が行われているが、その結果は一致していない。我々は、中国の広東省に住む女性を対象に、2007年6月から2008年8月までの期間で、病院をベースした症例対象研究(case-control study)によって、肉と卵の摂取量と乳がんリスクの間の関連を検討した。
方法:原発性乳がんと診断された438例を対象にして、この乳がん患者群と年齢および居住地を合わせた438人をコントロール群とし、面談によって食事の内容を調査した。
結果:加工肉の摂取量が増えると乳がんの発症リスクが増加する傾向を認めた(有意差検定p=0.066)。加工肉の摂取の多い上位4分の1のグループは摂取量が少ない下位4分の1のグループに比較して乳がんの発症リスクのオッヅ比は1.44(95% 信頼区間 = 0.97–2.15)であった。肉全体、赤身の肉、鳥肉、魚、卵の摂取量と乳がんの発症リスクの間には有意な関連は認めなかった。
結論:加工肉の摂取は乳がんの発症リスクの上昇と関連する可能性が示唆された。全肉、赤身の肉、鳥肉、魚、卵の摂取量と、乳がんの発症リスクとの間には関連は認めなかった。
【高糖質+動物性食品が乳がんを促進?】
西洋型の食事が乳がんを増やしていることは確かなのに、「肉や乳製品の摂取量が極端に多い人でも乳がんの発生リスクがほとんど増えていない」ということになると、「西洋型食事」の何が悪いのかということになります。
日本の場合、白米が糖尿病や認知症を増やしているということが明らかになっています。
例えば、白米を多く食べると2型糖尿病の発症リスクが高まる恐れがあるとの結果が、米国ハーバード大の研究者らが報告しています。
White rice consumption and risk of type 2 diabetes: meta-analysis and systematic review.(白米の消費と2型糖尿病のリスク:メタ解析とシステマティックレヴュー)BMJ2012 Mar 15: 344:e1454.
この論文では、日本、中国、米国、オーストラリアで過去に行われた研究結果をメタ解析しています。のべ35万人以上の4~25年間にわたる追跡調査で確認された1万3000人以上の2型糖尿病患者を対象にしています。
白米の少ない人に比べて、白米を多く食べている人は2型糖尿病のリスクが55%高くなることを報告しています。
また、米が多いの認知症の発症が高くなることも報告されています。
認知症とがんはトレードオフの関係にあるが、同じリスク要因をもっています。つまり、同じリスク要因に対して、遺伝的素因で認知症になりやすいかがんになりやすいかということです(331話)。したがって、米食がアルツハイマー病のリスクを増やすことはがんの発生リスクも高めることを示唆します。
米国でもグリセミック指数の高い糖質の取り過ぎが問題になっています。
ブドウ糖負荷と肉や乳製品や飽和脂肪酸が重なると、相乗効果によって乳がんを増やすということかもしれません。
つまり、特定の食品についてだけでなく、食生活全般を調べることが大切だということです。多分、ブドウ糖負荷の高い食事と肉や乳製品が加わると発がん促進効果が高まるのかもしれません。
日本の場合、もともと米食で、タンパク源として魚や大豆製品が主体であれば、あまり問題ない食生活パターンだったのですが、米食に、ハンバーグやステーキや加工肉や乳製品などが加わったために、乳がんや大腸がんや前立腺がんのような西洋型のがんが増えたのかもしれません。
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