がんの予防や治療における漢方治療の存在意義を考察しています。がん治療に役立つ情報も紹介しています。
「漢方がん治療」を考える
813)発がんリスクが増えている

図:正常細胞に遺伝子変異(①)が蓄積することによって変異細胞(②)が発生し、さらに遺伝子変異が蓄積し、数個から十数個のがん遺伝子やがん抑制遺伝子に異常が起こるとがん細胞になる(③)。遺伝子変異の蓄積によって細胞が悪性化(がん化)することを「がんの多段階発がん」という(④)。がん細胞の発生や悪性進展を促進する因子(⑤)や抑制する因子(⑥)が知られている。促進因子を減らし、抑制因子を増やせば、がん細胞の発生や悪性進展のリスクを低下できる。
813)発がんリスクが増えている
【がんは長い時間をかけて発生する】
がんは突然発生するわけではありません。がんの種類によって異なりますが、1個のがん細胞が発生して、がんという病気に至るのに数年から10年以上かかるといわれています。
1個の細胞が分裂して約1グラム(約10億個のがん細胞)のがん組織に成長するまでに、30回分の体積倍加時間が必要です。体積倍加時間というのは、がん組織の体積(=がん細胞の数)が2倍になる時間で、2の30乗(230)で約1億になるので、30回分の体積倍加時間で約1グラムのがん組織になる計算です。
体内でのがん組織の倍加時間は一般に極めて長いことがわかっています。その原因として、がん組織の中では酸素や栄養の供給が不十分になりやすいこと、細胞分裂する一方で、がん細胞自らがアポトーシス(細胞死)を起こしたり、免疫細胞による攻撃を受けたりして消失すること、などが挙げられています。
多くのがんの体積倍加時間は数百日のレベルにあることが報告されています。例えば、体積倍加時間の平均は早期大腸ガンで26ヶ月、肺癌では166日という報告などがあります。1~2ヶ月で倍になる成長の早いがんもありますが、多くのがんの体積倍加時間は3~6ヶ月のレベルで、体積倍加時間が年単位の増殖の遅いがんもあります。
1個のがん細胞が発生してそれが1グラム(約10億個のがん細胞)に成長するのに30回分の体積倍加時間(230がおよそ10億)が必要で、体積倍加時間が6ヶ月だとすると30回分の体積倍加時間は15年になります。
また、正常細胞から1個のがん細胞が発生するまでも、長い時間がかかります。たとえば、C型肝炎ウイルスに感染すると、慢性肝炎から肝硬変になり肝臓がんが発生しますが、最初にC型肝炎ウイルスに感染してから肝臓がんが見つかるまでは多くは30年くらいかかります。肝炎に罹って慢性の炎症が続いている間に遺伝子異常が蓄積し、恐らく10年以上かかって細胞ががん化します。そしてそのがん細胞が大きく成長するのにさらに10年以上必要と考えられます。
遺伝子変異は加齢とともに蓄積し、遺伝子変異の発生を予防する抗酸化力・DNA修復力やがん細胞を排除する免疫力は加齢とともに低下するので、がんは加齢とともに増えて行きます。(下図)
図:がん細胞は遺伝子変異の蓄積(①)によって発生するという「多段階発がんモデル」が一般に受け入れられている(②)。遺伝子変異が蓄積し、数個から十数個のがん遺伝子やがん抑制遺伝子に異常が起こるとがん細胞になる(③)。さらに遺伝子変異が蓄積してがん細胞の悪性化が進行する(④)。体内の細胞の遺伝子変異の蓄積は加齢と共に増える(⑤)。一方、活性酸素やフリーラジカルから遺伝子(DNA)変異を防ぐ抗酸化力や、がん細胞を排除する免疫監視機構(免疫力)が体には備わっており、がん細胞の発生を抑えているが、疫力や抗酸化力は20歳前後をピークにして加齢とともに低下していく(⑥)。この相乗作用によって、人間では40歳を超える頃からがんの発生が増え、加齢とともに指数関数的に増加していく(⑦)。
【がんは遺伝子が変異して発生する】
がんが発生するには遺伝子変異を起こす原因が必要です。遺伝子変異を起こす原因としては、内因性(DNA複製時のエラー)と外因性(喫煙や放射線などの発がん物質による遺伝子変異)があります。
1回のDNA複製で、特定の1個の塩基が変異する確率は10-9〜10-10のレベルです。10億から100億回のDNA複製で、DNAのある特定の塩基が1回変異します。
DNAを複製するDNAポリメラーゼが間違った塩基を取り込む頻度は10-5のオーダーですが、そのDNAポリメラーゼの校正活性で、すぐさま99%は訂正されるので、残されるエラーの頻度は、10-7のオーダーです。
残ったエラーの99.9%は、DNA複製後にミスマッチ修復系で修復されるので、生体内のDNA複製で、最終的に間違った塩基が入る頻度は10-10のオーダーになります。
一つの遺伝子には数百から数千の塩基が存在しますので、一つの遺伝子が1回の細胞分裂で変異を起こす確率は10−7 から 10−6と考えられています。つまり、1個の遺伝子に変異が起こる確率は100万回から1000万回の細胞分裂当たりで1回です。
成人の体では1日に200分の1の細胞が死んで、組織幹細胞から新しい細胞が作られています。
人体の有核細胞数を10兆個として1日に500億個の有核細胞が作られている計算です。このペースだと1年で18兆個の細胞になり、80年間生きたとして1500兆個の細胞が産生されたことになります。つまり、私たちの体の中では、一生の間に数千兆回の細胞分裂(DNA複製)が起こっていることになります。
このような遺伝子変異が蓄積してがん細胞が発生しても、免疫監視機構が正常に働けば、がん細胞は排除されます。
しかし、免疫監視機構を免れたがん細胞が増殖します。その結果、ヒトでは、一生の間に2から3人に一人くらいの確率で臨床的ながんが発生しているという事実の原因になっています。(下図)
図:ヒトでは1回のDNA複製で、特定の1個の塩基が変異する確率は10-9〜10-10のレベルで、体内では一生の間に数千兆回の細胞分裂が起こっている。その結果、多数のがん細胞が発生しているが、変異細胞はアポトーシスで自滅したり、免疫監視機構で排除されている。しかし、一部のがん細胞が増殖し、その結果、一生の間で、2人から3人に一人が臨床的ながんを発症するという状況にある。
一方で、喫煙が発がん率を顕著に高めることや、放射線被曝が発がん率を高めることや、加工肉が大腸がんの発生率を高めることなど、多くの疫学研究は発がんにおける外因性の発がん要因の重要性を指摘しています。
このように、様々な原因によって細胞の遺伝子に変異が蓄積してがん細胞を発生しています。(下図)
図:がん細胞は「組織幹細胞の遺伝子変異の蓄積」によって発生する。この遺伝子変異の発生において、内因性(DNA複製時のエラー)と外因性(喫煙や放射線などの発がん物質による遺伝子変異や親から受け継いだ遺伝的要因)の要因がある。
【がんの発生率は、食生活や生活習慣や生活環境によって大きな影響を受ける】
世の中には、がんの発生を促進する因子(発がん促進因子)とがんの発生を抑制する因子(発がん抑制因子)があり、そのバランスによってがんの発生リスクが決まります。
発がん促進因子の代表は喫煙や飲酒や肉の多い食事です。その他、放射線や紫外線やディーゼルエンジンやガソリンエンジンの排ガスなども発がんリスクを高めます。
世界保健機関(WHO)の付属組織で人間への発がんリスクの評価を専門に行っている国際がん研究機関(IARC)は、発がんリスクを5段階に分けて報告しています。
たばこ、紫外線、B型・C型肝炎ウイルス、放射線、アスベストなどは発がんリスクがある(Group 1)と分類されています。
ディーゼルエンジンの排ガスは発がんリスクの可能性が高い(Group 2A)、ガソリンエンジンの排ガスは発がんリスクの可能性がある(Group 2B)に分類されています。
国際がん研究機関(IARC)は2015年10月26日に、ハムやベーコンなどの加工肉を毎日50g食べ続けると大腸がんの発生率を18%高めるという結論を発表しています。
10か国22人の専門家による会議で赤肉(牛・豚・羊などの肉)と加工肉の人への発がん性についての評価が検討され、その結果、加工肉について「人に対して発がん性がある(Group1)」と、主に大腸がんに対する疫学研究の証拠に基づいて判定されました。
前述のように、発がんリスクのGroup 1には、たばこ、紫外線、B型・C型肝炎ウイルス、放射線、アスベストなどが含まれています。つまり、発がん作用が確実な部類です。
赤肉については疫学研究からの証拠は限定的ながら、メカニズムを裏付ける相応の証拠があることから、「おそらく人に対して発がん性がある(Group2A)」と判定しています。
すでに2007年に世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による評価報告書で、赤肉と加工肉の摂取は大腸がんのリスクを上げることが「確実」と判定されており、赤肉は調理後の重量で週500g以内、加工肉はできるだけ控えるように、と勧告しています。つまり、ステーキやハンバーグを週に2回以上、牛丼を毎日1回食べるような食生活は大腸がんや膵臓がんや乳がんなど西洋型のがんの発生リスクを高めることは確実です。
加工肉(ソーセージ、ハム、ベーコン、ホットドッグなど)や赤身肉(牛肉や豚肉や羊肉など)は膵臓がんや乳がんの発生率も高めます。
ハワイあるいはロサンゼルス在住の白人、ハワイ原住民、日系など5つの民族グループに属する男女計約20万例を対象として、食事と膵がん発生率との関係を検討した研究結果が報告されています。
平均7年間の追跡期間に膵がんが発生したのは482例で、加工肉の摂取量が最も多いグループは最も少ないグループよりも膵がんリスクが67%高く、また赤身の豚肉および牛肉の摂取量が多いグループは約50%高かったという結果でした。鶏肉、魚肉、乳製品および卵の摂取量のほか、脂肪ないしコレステロールの総摂取量と膵がんリスクとの間には何ら関係は認められなかったということです。
ある疫学研究では、赤身肉を1日1.5食分摂取していた女性は、1週間に3食分未満の女性に比較してホルモン受容体陽性乳がんの罹患率が約2倍高かったという報告があります。
赤身の肉に多く含まれるヘモグロビンやミオグロビンのヘムやヘミン(2価の鉄元素とプロフィリンの錯体)がフリーラジカルの発生を促進させて、発がんリスクを高める可能性が指摘されています。ヘムやヘミンは飽和脂肪酸と反応して脂質ラジカルの産生を高めるので、動物性脂肪と赤身の肉は、相乗的に発がんを促進することになります。
赤身肉より加工肉の発がん性が高いのは、保存料や発色剤として使用されている「亜硝酸ナトリウム」などの添加物と肉の成分が反応して発がん作用のある物質を生成するからです。添加物を使用しないで加工した肉であれば、赤身肉に起因する発がんリスクのみになります。
鶏肉や魚は発がんリスクを高めません。タンパク質は鶏肉や魚や豆類から摂取することが推奨されます。
2011年5月にIARCは携帯電話の電磁波が脳腫瘍の一種であるグリオーマや耳の神経の腫瘍のリスクを高める可能性がある(group 2B)と発表しています。家電製品などから出る超低周波の電磁波も発がんの原因となる可能性がある(group 2B)と分類しています。
2007年には概日リズムを乱す交代制の仕事(shift-work)を、発がん作用の可能性が高い(group 2A)と分類して発表しています。
夜勤の多い看護師や、国際線の乗務員のように概日リズムが慢性的に乱れやすい職業の人では、他の職業の人に比べて、乳がんや前立腺がんの発生率が高いことが報告されています。例えば、乳がんの発生率を検討した疫学研究のメタ解析では、国際線の乗務員では70%、交代制勤務の職種では40%の乳がん発生率の上昇が認められています。前立腺がんに関しては、国際線の乗務員では40%の発生率の上昇が認められています。(Naturwissenschaften 95: 367-382, 2008)
放射線については、発がん作用があるのは確かですが、発がんリスクはその被曝量に比例します。福島第一原子力発電所の事故に伴う放射線物質(放射能)漏れによる大気や土壌や海水の放射能汚染による低線量被曝の発がんに及ぼす影響に関して様々な意見があります。累積被曝量が100ミリシーベルト以下では発がんのリスクは無視できるというのが一般的な意見ですが、それに反対する意見(低線量被曝でも発がんリスクに影響する)もあります。
日本人の場合、CTなどの放射線検査による医療放射線被曝量(年間一人平均2~3ミリシーベルト)が自然被曝量(年間一人平均1.5ミリシーベルト)を超えていることが問題視され、医療放射線と自然放射線による年間一人平均3~4ミリシーベルトの放射線被曝が日本人に発生するがんの原因の3%程度を占めていると推測されています。3%というのは年間約3万人のがん発生に相当します。
さて、このような発がんリスクの原因をみると、社会の人為的な発がん原因が増加し、それによって人類のがんが増えているのでは無いかという推測ができます。
【現代社会では発がん促進要因が増えており、がんは文明病である】
「がんは汚染や食事などの環境因子によって引き起こされる現代病で,ヒトによってつくり出された可能性が高い」とする研究結果が報告されています。
例えば、古い時代のミイラの遺体を検査した研究などで、古代においてはがんは極めてまれな疾患であったと推測されています。 がんの罹患率は産業革命以降、劇的に増加し、特に小児がんで顕著であったことから、がんの増加は単に寿命延長の影響ではないことが示唆されるとしています。
「古代の自然環境にはがんの要因になるものは存在せず,がんは環境汚染や食事・ライフスタイルの変化が原因の人為的疾患と考えざるをえない」という意見です。
日本においてがんが年々増えていますが、この数十年に関しては、人口の高齢化が一番の原因です。がんは加齢とともに発生率が増えてくるからです。
しかし、この数100年間のがんの発生率の増加をみると、高齢化よりも、近代工業化に伴って人為的な発がん要因が増えてきたことの方が重要のようです。
大気汚染や医療放射線被曝による発がんが増えています。交代制勤務による概日リズムの乱れや、ストレスの増大も発がんを促進するようです。アスベストや電磁波や食品添加物などここ数十年に出現した新たな発がん要因もあります。
近代化に伴って、生活は便利になり、寿命も伸びてきましたが、このような社会環境の変化ががんを増やす要因にもなっている点も注意する必要があります。
がん予防の基本は、発がんを促進する要因を減らすことです。避けられるものは避けるのが基本です。
しかし、完全に避けることはできませんので、がんを抑制する効果のあることを積極的に実践することが大切です。
食生活では野菜や果物や豆類を多く摂取し、ストレスをためない、適度に運動する、などがあります。さらに、免疫力や抗酸化力や解毒力を高める方法としては、野菜スープや漢方薬が有効です。日頃から植物性の食品を多く摂取し、がん予防効果のあるハーブや漢方薬を利用する方法は、発がん要因の多い近代社会におけるがん発生の予防法として有効です。
図:現代社会においてがんの発生が増えているのは、人為的な発がん要因が社会の近代化とともに増えているためである。タバコ、オゾン層破壊による紫外線増加、排気ガスによる大気汚染、環境や医療目的での放射能被爆、電磁波(携帯電話など)、飲酒(アルコール)、運動不足、高糖質高脂肪食、肥満、糖尿病、ストレス、交代制勤務、加工肉や食品添加物、薬品や発がん物質などの発がん促進要因は近代社会になって出現し、年々増加している。がんの発生を予防するためには、食生活や生活習慣や生活環境の中から発がん要因を避ける努力が最も大切である。
【発がんリスクは過小評価されやすい】
前述のように世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は2015年10月に、ハムやベーコンなどの加工肉を毎日50g食べ続けると大腸がんの発生率を18%高めるという結論を発表しています。 (http://www.iarc.fr/en/media-centre/pr/2015/pdfs/pr240_E.pdf )
すでに2007年に世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による評価報告書で、赤肉と加工肉の摂取は大腸がんのリスクを上げることが「確実」と判定されており、赤肉は調理後の重量で週500g以内、加工肉はできるだけ控えるように、と勧告しています。
このような海外の発表に対して、国立がん研究センターは、「大腸がんの発生に関して、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても、小さいと言えます。」というような、予防医学の基礎を知っていないような、論点すり替え的なコメントを行っています。
そもそもがんというのは、いろんな要因が積み重なって発生します。近年のがんの発生率の増加に関しては、発がん物質や発がん促進要因の増加が関与しています。つまり、がんを減らすには発がんリスクを減らすことががん予防の基本です。
国立がん研究センターの解説では、「2013年の国民健康・栄養調査によると日本人の赤肉・加工肉の摂取量は一日あたり63g(うち、赤肉は50g、加工肉は13g)で、世界的に見て最も摂取量の低い国の一つです。」というデータを出しています。
加工肉を1日50gで18%の大腸がん発生上昇であれば、13gは4.7%の上昇になります。
2015年の大腸がんの罹患数が男女計で135,800で、死亡数は50,600と予測されているので、もし、日本人が加工肉を全く食べなければ、1年間の大腸がん発生の約6400人、大腸がん死亡の2400人を減らせると考えるべきです。
発がん要因の多くは用量依存的です。量が少なくてもそれ相応のリスクがあります。アルコールによる発がんリスクは用量依存的で、少量でもその量に相当するリスクがあります。発がんに関してはアルコールの安全な量はありません。
加工肉は大腸がんだけでなく、膵臓がんや乳がんの発生にも関与している可能性が指摘されています。膵臓がんや乳がんの罹患率や死亡率も考慮すると、日本人の摂取量であっても、加工肉の摂取によって1年間のがん罹患数は1万人以上、死亡数は4000人以上は増えているのではないかと予測するのが、常識的な判断です。
1年間のがん罹患数(約100万人)やがん死亡数(約37万人)に比べれば、1%程度の寄与だから問題ないという考え方は、がん予防の基本からは間違っているとしか思えません。
加工肉業界トップの日本ハムの社長は決算会見で、「基本的に日本人の摂取量では問題ない」「発がん性は確認されていない」と反論していますが、これは医学的に全く間違っています。
国立がん研究センターも業界を擁護するために論点を外して解説しているのは、原発事故による放射能汚染による発がんへの懸念を、放射能レベルが低いから問題ないと「国の御用学者」が説明したのと同じようです。
国立がんセンターも所詮は国の研究機関であり、本音は言えないようです。
日本人でも、加工肉を毎日50g以上食べている人は多くいます。日本人の平均値ではなく、そのように多く摂取している人たちにそのリスクを啓蒙すべきなのに、「日本人の平均摂取量では問題ない」というのは、がん予防の基本を国立がん研究センターは知らないようです。 国立がん研究センターにはがんの一次予防を研究する部門はなく、検診を中心とした2次予防しかやっていないので、仕方ないかもしれません。
がん患者が減ることは仕事が減るのでやりたくないのではないというのががんセンターの本音です。がん検診と早期治療を行えば、がん患者が増え、がん専門医の仕事も報酬も確保できます。早期診断・早期治療を徹底すればがん死亡は減るかもしれませんが、医療費は高騰します。無駄な治療も増えます。
がんにならない方法を広めるのががん死亡を減らし、医療費を少なくする上で有効です。ただ、医者や製薬会社の儲けが少なくなるので、それはしないだけです。
糖尿病の治療が、糖尿病患者の透析と失明を増やしているのと同じです。糖尿病もがんも発生リスクを低下させることが最も重要ですが、保険診療は病気の治療しか点数がつかず、病気の予防は治療の点数にならないという現在の医療制度の問題かもしれません。
糖尿病は日本では1970年代くらいまでは稀な病気でした。現在では10人に一人が糖尿病か糖尿病予備軍と言われるまで増えています。食事と生活習慣を1970年代に戻せば糖尿病は稀な病気に戻せます。
同様に大腸がんや乳がんや膵臓癌も50年前のレベルに減らせます。
がんや糖尿病や心臓病の予防において食事や生活習慣の改善が最も重要であることをもっと啓蒙されるべきだと思います。
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