備前守になった保則は備中と備前の間にある吉備津神社に、何か国に水旱がれば、自ら参って祈ります。すると
”必ず感観致し、若し堺中に姦あれば、神必ず之を罰す”
とあり、このように吉備津神社の加護もあり、この二国は豊穣になり"百姓和楽せり”です。こんな話も「大日本史」には書いてあります。
この保則が備前の太守になったある時です。安芸の盗賊が備後の国で国家に収める絹織物の盗みだし、備前国「石梨郡」の宿に泊まります。その時、盗賊は宿の亭主に尋ねます。
「此の国も太守はどのような政治をしておられますか。」
すると、宿の亭主は言います。
「此の国の太守様は民に対して仁義を用いて政治をしておられます。その為に人々は安心して豊かな生活をしており、何時も神に感謝しております。その為、若し国に盗賊など姦濫悪人がいるならば、吉備津彦神が、その者にたちどころに誅罸を与えます。」
と。これを聞いた安芸の盗賊は、大変驚いて、終夜ため息ばかりが出て、眠られず、暁になると居ても立ってもおられず、とんで役所に駆け込み言います。
「私は備後の国で特産物の絹織物四十疋を盗みましたが、心を改め、その罪に復します。命だけはお助けください。」
それを聞いた保則は
「今、お前の悪事を聞いた。お前は、己の悪心を改心して、これからは決して悪事はしない善人になったのだ。」
と食べ物を与えて、盗んだ絹と一緒に元に返すよう備後へ返します。。それを聞いた部下たちは言います。
「国守様、そんなことをすればきっとこの盗人は途中から逃げてしまうでしょう。」
と。保則は言います。
"彼、既に心を改めて誠に帰せり。豈に更に変あらんや。”
その盗賊は保則から渡された手紙を懐に約束通りに備後に至って、備後の国守「小野朝臣喬査<オノノアソンタカナホ>」に、己の罪を告白します。国守はその罪を許し、解き放ちます。そして、その足で備前にきて謝意を述べたのです。このように保則という人は
"その徳を以て人に感ぜしむること、皆此の類なり”
「信なくば立たず・」とか何とか云った人に、若しあるならば爪の垢でも飲ましたいですよね。
”必ず感観致し、若し堺中に姦あれば、神必ず之を罰す”
とあり、このように吉備津神社の加護もあり、この二国は豊穣になり"百姓和楽せり”です。こんな話も「大日本史」には書いてあります。
この保則が備前の太守になったある時です。安芸の盗賊が備後の国で国家に収める絹織物の盗みだし、備前国「石梨郡」の宿に泊まります。その時、盗賊は宿の亭主に尋ねます。
「此の国も太守はどのような政治をしておられますか。」
すると、宿の亭主は言います。
「此の国の太守様は民に対して仁義を用いて政治をしておられます。その為に人々は安心して豊かな生活をしており、何時も神に感謝しております。その為、若し国に盗賊など姦濫悪人がいるならば、吉備津彦神が、その者にたちどころに誅罸を与えます。」
と。これを聞いた安芸の盗賊は、大変驚いて、終夜ため息ばかりが出て、眠られず、暁になると居ても立ってもおられず、とんで役所に駆け込み言います。
「私は備後の国で特産物の絹織物四十疋を盗みましたが、心を改め、その罪に復します。命だけはお助けください。」
それを聞いた保則は
「今、お前の悪事を聞いた。お前は、己の悪心を改心して、これからは決して悪事はしない善人になったのだ。」
と食べ物を与えて、盗んだ絹と一緒に元に返すよう備後へ返します。。それを聞いた部下たちは言います。
「国守様、そんなことをすればきっとこの盗人は途中から逃げてしまうでしょう。」
と。保則は言います。
"彼、既に心を改めて誠に帰せり。豈に更に変あらんや。”
その盗賊は保則から渡された手紙を懐に約束通りに備後に至って、備後の国守「小野朝臣喬査<オノノアソンタカナホ>」に、己の罪を告白します。国守はその罪を許し、解き放ちます。そして、その足で備前にきて謝意を述べたのです。このように保則という人は
"その徳を以て人に感ぜしむること、皆此の類なり”
「信なくば立たず・」とか何とか云った人に、若しあるならば爪の垢でも飲ましたいですよね。