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美浜町の将来と立ちはだかる現実 美浜原発見学ルポ【その5】

2011年07月07日 | 丸ちゃんの喜怒哀楽へなへなジャーナル

 福島原発事故は津波が原因となったが、美浜原発の場合は地震に襲われる可能性が高い場所にある。老朽化した原発は地震に対して無防備状態にあり、配管などは複数箇所が同時に破断することになる。しかし関電当局は、そういう事態は想定していないから収束する手だてを持っていない。松下さんはこのことをこれまで美浜原発所長には何度も言ってきた。

「福井県内の原発は危険がいっぱいです。特に高速増殖炉もんじゅは最悪に危険です。制御系が弱く、冷却剤にナトリウムを使っている。そして明確に地震に弱い。止めるならもんじゅこそは何よりも優先して止めなければいけない」

 また、大飯原発は格納容器がコンパクトに作ってあるため耐圧が1気圧程度で吹き飛んでしまう可能性があるという。福島原発は4気圧~8気圧ぐらいまで持つようになっているが、しかしこういったことは誰にも知らされていない。電力側の一方的な安全宣伝の上に安心してきたのだ。

「美浜原発で作られた電気の主要な消費地は関西圏。もちろん美浜町にも関西電力の電気は送られていますが、福井の原発を止めるには地元の声よりも、周囲の利用者の声があがらないとなかなか難しい。琵琶湖が汚染されたらそれで終わりになるわけで、その点は関西圏のみなさん、以前とは違って真剣に受け止めてくれるようになってきました」

 原発は都会で利用している者たちが声を上げないと止まらないのだ。

「原子炉立地指針というのがあって、もともと押しつけられてきたものでした。人口密度の低いところに作らないといけないということですが、僕らから見れば、大阪に小さいのをいっぱい作って、それでも足りないから福井に作らせてくれということなら応じても良いんです。そういうことでは押しつけられたものですね」

 美浜町民の意識も福島事故以降、大きく変わってきているという。ただし原発に変わるものがあればということのようだが。

「今、若い人たちの動きがうれしい。電力自由化が進むと若い人たちの雇用ができます。電電公社に勤めていた経験から言うと、かつての黒電話の時代がIT社会に変貌した今、その中身を支えている人たちは若者が中心です。だからこの地域でも新しい技術を使った仕事が出来ればいくらでも雇用は創出することができるようになるのです」

 電力の自由化が進めば電力会社は減っていくが、そのプロセスでいろんな事業が増えてきて、そこにITが関わってきて若い人たちがそこに参加していく、そういう状況が生まれていくと期待を抱いく。

「全国の同じような地域の人たちと交流し、都市部の人たちにも私たちの提案を聞いてもらって、実現できるところは協力してもらいたいと思っています。強引に止めるのではなく、止めるのならば丁寧に、ソフトランディングをしたいと思います。使っている人たちが、もう原発はいらないよと言ってくれる。その代わりに、今まで原発で電気を作ってくれていた部分については、この程度なら支援しても構わないよと、そういう妥協点を地域で運動している僕らが提案したいと思います」

 何しろ40年間も原発に寄りすがって生きてきた町だ。すぐに「止める」という言葉だけでは抵抗感があるとも…。

「実は、町としてはまだ動かしたいという期待はあるようです。1号機、2号機は動かしたいという。というのは定期検査が無くなると、一気に財政が破綻するかもしれないのです。しかし福井県知事は動かさないと言っていますから」

 美浜原発は美しい海岸と緑が似合う風光明媚な所に建つ。ぜひ関西圏の人たちには一度は訪れて欲しい場所だ。私たちの日々の快適な生活を作り出す大本がどこで作られているのか、みなさんの目で見て欲しいと思う。

 では、松下さんが描く美浜町の将来像とは。

「美浜町は脱原発で自然エネルギーを生産して、それを有利な条件で買ってもらう提案をしなさいと言っています。今までは交付金で土木建築をやってきたので、これは無くなるから観光立地を目指す。まず、電線の地中化をすれば土木の仕事もできる。自然エネルギーを作れば、原発の下請けの人たちがメンテナンスもできるし取付もできる。そんな提案を考えています。特区制度にして美浜町だけが一定の有利な条件を認めてもらってというような提案です」

 

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