近現代史についての学習会を職場内で月2回のペースで始めることにし、この間2回分が終わった。自分が報告した部分だけでもいろいろ改めて「そうだったのか」と気がついたことが多くあった。戦前が天皇専制体制だったことはその通りだと一般的に思っていたのだが、もう一歩突っ込んで学習してみるとそれは相当すごい時代であったのだと、旧憲法を読んでいて次の点が勉強になった。
・日本は国の統治権を天皇が「神」から与えられている国だった。
現人神とはよく言ったものだが、つくづくすごい考えの社会だったのだと思う。
・議会や政府は天皇を助けるための補助機関にすぎなかった。
完全に天皇が唯一の権力者であったのだ。天皇の好きなように出来た社会だった。
・国民は存在せず、いたのは天皇の家来だった。
これもすごいことだと思う。国民ではないのだ。国はあったが、国民はいなかった。それが戦前の社会だった。家来だから絶対服従の世界である。
・政府は存在していなかった。
初代内閣総理大臣といえば伊藤博文というくらい「内閣総理大臣」というものが一般的に認識されているが、実はあの時代には「内閣」も「政府」という機関や権限を定めた規定がなかったのだ。「総理大臣」や「首相」という規定もなかった。あるのは1人ひとりの大臣がそれぞれに天皇を輔弼するという規定だけで「内閣」はその大臣たちがただ集まった任意の集団のようなもので、「総理大臣」とはその、まあ取りまとめ役?のようなものにすぎなかったらしいのだ。なんら権限はなかった人のようである。なぜなら今でいう立法、司法、行政の三権がすべて天皇の権限だったのだから、当然そういうことになるのだが、やはりこれも相当すごいことだったのではなかろうか。
・軍隊と戦争の問題(権限)は、天皇以外に口を出すことはできなかった。
戦争を始めるのも、そのために軍隊を動かすのも、すべて天皇の専権事項だったのだ。他のものは口を出すことはできなかった。あれこれいろんなことが言われているが、やはり原点はこの部分だと思う。そこから考えないと現代も分からないような気がする。