山上の夜は早いです。6時半から夕食。宿泊客全員が一回には食堂に収まらないのでこの日は3ラウンドに分けての食事でした。私のテーブルには総勢9人が付きお茶、ご飯、みそ汁をお互いに入れ合いっこして「いただきます」。見知らぬ者同士ですが、そこは同じ山好き人種というか、自然に会話が始まります。
すぐ隣の若き女性3人グループは埼玉の高校の同窓生同士でした。向かいの席の男性3人は東京の某大学のボート部仲間だそうで、この御三方とは翌日の大天井まで抜きつ抜かれつの同じルートでした。
雨が上がりほんの少し小焼け気味の西方向には槍ヶ岳の姿がこの日初お目見え
食事後は燕山荘オーナーのお話とスライド上映、そしてアルペンホルンの演奏です。食堂のテーブルや椅子を移動して作られた即席講演会場は超満員。山、植物、天気、医療、環境など広範囲にわたる笑いを入れた博学な話に会場は大盛り上がりでした。
蚕棚風の2段式宿泊室。梯子の上下に6人用の部屋が部屋がずらりと並ぶ
山と渓谷社の調べ(2008)では泊まってよかった山荘ベスト1に選ばれているそうで、その理由もわかる気がしました。
翌早朝、燕岳まで往復登山で御来光を見たあと燕山荘の庭で朝食弁当、それから出発しました。目指すは常念山荘です。昨日までの天気とは大違い。真っ青な空の彼方に槍ヶ岳が見えます。
槍・穂高連峰を常に前方に見ながら歩く雲上の遊歩道である縦走路は表銀座コースと呼ばれる北アルプス随一の人気コース。気分は爽快そのもの。時間が経つと左手安曇野側には下から雲が上がってきました。そのうち槍ヶ岳側にも雲が出てきました。
大天井岳から槍ヶ岳への道は大正時代にそれを切り開いた小林喜作の名を取って「喜作新道」といいます。その人のレリーフが岩にはめ込んであります。
燕山荘を出て約4時間余り、午前中最後の登りを終えると大天井荘に着きました。ここでお昼ごはんにしました。