山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

英語教育、国際姉妹都市交流、ジョン・スタインベック、時事英語などの研究から趣味や日常の話題までいろいろと書き綴ります。

2017年度教員推薦図書

2022-03-03 20:22:18 | 日記
新見公立大学では、毎年教員が学生たちに推薦図書を示すようになっています。

2017年度に紹介した本は以下の書です。

『スタインベックの物語世界―生と死と再生と』(彩流社)
上 優二
 毎年、ジョン・スタインベックの作品を紹介していますが、今年は、研究書を紹介します。長年スタインベックを研究された故・上 優二先生の著作です。2015年に逝去した上先生が、生前、出版を目指し書きためた原稿を出版したもので、私も校正等協力させてもらいました。解説から読んで、作品を読むというのも小説など文学作品の読み方の一つです。これを読んで、スタインベック作品に興味を持ってくれたら幸いです。




『吾輩は猫である』(岩波文庫 ほか)
夏目漱石
 昨年の漱石生誕150年に、この書を読みました。現代人では意外と読了した人が少ないと思われるこの作品、書名通り、本当に吾輩は猫であるような感覚で読み進めていることに気づきます。しかし、主人公の猫の「吾輩」は「おのれが猫である事はようやく忘却して、猫よりはいつのまにか人間のほうへ接近してきたような心持ちになって」と語っています。この小説の最後は、ある有名な英語のことわざを、漱石が体現したものだと思います。

『やさしき神の手』(吉備人出版)
有木きょう子
 著者の有木きょう子氏は、私が学会等でお世話になっている方で、以前から研究論文を発表する傍ら、エッセイ集や物語集なども出版されていました。この書は昨年(2016年)に出版されたもので、6編の短編小説が収められています。それぞれの作品が岡山県内のどこかの地域を舞台としていて、岡山県に住むものとしては、作品場面に身を置きながら読んでいきやすい小説が並んでいます。いつか新見を舞台とした話を書いてもらいたいです。

『教育力』(岩波新書)
斎藤 孝
 PTA研修会で斎藤 孝氏の講演を聴く機会があり、準備として斎藤氏の著作を何冊か読ませてもらったうちの一冊です。教育とは「あこがれ」の伝染であるという言葉は、教育を生業としている私もはっとさせられました。また、学習者に学びのベクトルをつけてあげることが教員の仕事である、そのためには、自分も学び続けるというベクトルを持ち続けなければならないことを再確認しました。幼児教育学科だけではなく他学科の人もどうぞ。

『いつやるか? 今でしょ!―今すぐできる45の自分改造術!』(宝島社)
林 修
言わずと知れた東進ハイスクールの人気講師林氏、PTA講習会で講演を聞くことになり、それに先立ち読みました。人生のヒントがちりばめられていてとてもいい本です。実は林氏、私と同年齢で、学生時代の話など、同時代的に読むことができました。私自身は時間の無駄だと思ってやろうとしなかった麻雀、つきあい程度でやったけどはまりはしなかった競馬の効用も書かれていて、なるほどと思いながら読みました。いつ読むの?今でしょ!



『読書ネットワークの拡大と文学環境の変化―19世紀以降にみる英米出版事情』(音羽書房鶴見書店)
小林英美・中垣恒太郎編著
いささか宣伝めいてすみません。私もコラム「アメリカの地域読書運動について」とヴァージニア・ウルフ論文についてのコメントを執筆している書を紹介させてもらいます。この紹介文も皆さんに読書を薦めるため書いているものですが、そもそも、著者が本を出版し、読者がそれを読むという関係性がどのように始まり、どのように変化しているかを様々な視点から知ることができます。読書好きの人、ぜひ読んで感想を聞かせてください。



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2016年教員推薦図書

2022-03-03 20:20:27 | 日記
新見公立大学では、毎年教員が学生たちに推薦図書を示すようになっています。

2016年度に紹介した本は以下の書です。

『コルテスの海航海日誌』(The Log from the Sea of Cortez)(大阪教育図書・スタインベック全集第11巻)
ジョン・スタインベック(John Steinbeck)
 毎年、ノーベル賞作家のジョン・スタインベックの作品を紹介していますが、今年は、この作品を推薦します。スタインベックは、多様な種類の作品を出版しましたが、この作品は、生物学者のエド・リケッツなどとのメキシコのコルテスの海への生物採取旅行の航海日誌を元にしたものです。海洋生物についての記述から、人間社会との類似点について触れたり、船の上や沿岸での生活について書いたり、なかなか興味深い本です。







『辺境・近境』(新潮文庫)
村上春樹
 僕は、旅日記を読むのが好きなので、いろいろと読んでいますが、さすが村上春樹さん、文章がこなれていてとても読みやすい、読んでいて、非常に心地よい。この書には、村上さんが自分で旅して書いた7つの旅日記が収められています。居ながらにして、7つの旅をいろいろと考えながら楽しむことができました。旅好きの人にお薦めの書です。また、村上さんの小説が好きな人もたまには旅日記も読んでみるのもいいかもしれません。



『若田光一 日本人のリーダーシップ ドキュメント宇宙飛行士選抜試験Ⅱ』(光文社新書)
小原健右・大鐘良一
 この書は妻の紹介で読みました。日本人で初めて国際宇宙ステーション(ISS)の船長を務めた若田光一さんの宇宙飛行士としての訓練や、外国人宇宙飛行士を相手にリーダーシップを発揮し船長を務めることなど、華やかに見える宇宙飛行士の舞台裏を見せてくれるドキュメンタリーです。日本人であること、その日本人の特性をどのように活かすべきかということについても考えることができ、国際交流にも役立つ書です。


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2015年教員推薦図書

2022-03-03 20:18:48 | 日記
新見公立大学では、毎年教員が学生たちに推薦図書を示すようになっています。

2015年度に紹介した本は以下の書です。





『怒りの葡萄』(The Grapes of Wrath)(新潮文庫・ハヤカワepi文庫 他)
ジョン・スタインベック(John Steinbeck)
 何年か前にもこの書を推薦図書として紹介しましたが、一昨年と昨年に相次いで、上記のように2つの出版社から新訳が出版されました。スタインベックの名著であるこの作品は、何度も翻訳されていますが、原作出版の年(1939年)に、後年、名著となるこの作品を日本で初めて訳したのは、本学の第5代学長新居志郎先生の伯父様にあたる新居格(イタル)氏です。『怒りの葡萄』を読みなおしてみると、現在も世界の各地で起こっている難民問題に通じる内容であることがわかります。学生の皆さんには、ぜひ英語での読破に挑戦してもらいたいのですが、やや難しいかもしれません。日本語でもいいので、読んでみてください。


『すべては今日から』(新潮社)
児玉 清
 著者は俳優の児玉清さん、2011年に亡くなられましたが、学生の皆さんにはクイズ番組「アタック25」の司会者だったと言えば、わかってもらえるのではと思います。児玉さんは、読書好きとして有名で、雑誌や新聞等いろいろなところで本の紹介をされていました。そのような書評記事を含む数々のエッセイを、没後に息子さんが集められて出版されたのがこの書です。私が、ある本が読みたいと思うのは、書店(古書店を含む)で、この本が読みたいと直感的に感じる時と、誰かが、その本について語っていることに興味を持った時です。児玉さんによって、この書の中で紹介されている数々の本、時間が無限にあるのであれば、ぜひ全て読んでみたいと思いました。その他にも、児玉さんが俳優になった人生の転機なども書かれて、興味深い本です。


『美作の風』(角川春樹事務所 ハルキ文庫)
今井絵美子
 私は、日本の時代物小説はあまり読まないのですが、江戸時代に現真庭市で起こった山中(サンチュウ)一揆を描いた映画『新しき民』(山﨑樹一郎監督)にあるきっかけで関わるようになり、その中で、山中一揆を描いた作品として知人に紹介されたのが、この書です。職業柄、どちらかというと外国小説を読むことが多いのですが、たまに日本のものを読んでみると、自分の国の言葉で自分の国のことが描かれているので、いろいろなことが鮮明にわかるのが嬉しく、そして新鮮に思えます。江戸時代の美作の国で懸命に生きてきた人々が生き生きと描かれ、とてもよい読書体験となりました。キーワードは「郭公(かっこう)」です。

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2014年度教員推薦図書

2022-03-03 20:16:29 | 日記
新見公立大学では、毎年教員が学生たちに推薦図書を示すようになっています。

2014年度に紹介した本は以下の書です。


『日記ブログで夢をかなえる』(ダイヤモンド社)
経沢香保子
 ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は学内と学外のブログに頻繁に記事を投稿し続ける「ブロガー」です。2009年に、ひょんなことからブログを書き始め、現在に至りますが、ブログを書き続けていると、思いもよらない様々な効果があることを実感しています。そんな中、この書を読み、著者の経沢氏に大いに共感しました。皆さんも、よければ、この本を読んで、ブログを書き始めませんか?様々な効果が体験できますよ。


『Route 66 Everlasting Highway—ルート66 不朽のハイウェイ』(風詠社)
竹内章夫
 通常、写真集は読書の対象ではなく鑑賞の対象なので、ここに挙げるのは少しためらわれたが、あえて紹介する。私の研究対象である作家ジョン・スタインベックの『怒りのぶどう』には、当時のアメリカ合衆国の「大動脈」とも言うべき国道66号線(ルート66)が描かれている。私もいつの日か、このルート66を走破してみたいのだが、現在のところは実現が難しいので、この本を眺め、説明文を読み、「仮想ドライブ体験」を楽しんでいる。なお、写真説明は、日英語併記なので、英語の勉強にもなる。


『天狼俳句の英訳 誓子・敏雄・綾子 (横浜市立大学新叢書04)』(春風社)
古平 隆・Alfred Marks・Kyoko Selden
 本学アメリカ研修旅行の訪問地ニューヨーク州ニューパルツは新見市の姉妹都市である。そのニューパルツ在住の日本文学研究家で、交流や研修旅行で大いにお世話になったAlfred Marks氏が、昨年12月94歳で亡くなった。この書は、そのMarks氏の遺作となった書で、俳句雑誌『天狼』に山口誓子、三橋敏雄、細見綾子が発表した句の英訳および解説を載せている。皆さん、俳句は、短いから、翻訳が楽だと考えてはいないだろうか?決してそんなことはありません。俳句・解説文とも日英語併記なので、日本語と英語の勉強にもなる。

関連記事です。
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2013年度教員推薦図書

2022-03-03 20:12:24 | 日記
新見公立大学では、毎年教員が学生たちに推薦図書を示すようになっています。

2013年度に紹介した本は以下の書です。





『長い盆地 収穫するジプシー』(スタインベック全集 5)(大阪教育図書)ジョン・スタインベック(John Steinbeck)
 私は、スタインベック研究者として、毎年、彼の作品を紹介していますが、午(うま)年の今年は、小馬が登場する短編「赤い小馬」が収められた短編集『長い盆地』を紹介します。「赤い小馬」は、子どもの頃、父から小馬を贈られたスタインベックの自叙伝的な話で、子どもと小馬との心の交流を描いています。動物好きな人に特におすすめですが、そうでなくても自分の子ども時代を思い出させてくれる話です。諸版ありますが、現在は、この全集ものが最も入手しやすくなっています。これを読んで、もしスタインベックに興味を持ったら、同巻所収の「スタインベックの未収録短編小説について」(山内 圭著)も是非お読みください。


『恋しくて』(Ten Selected Love Stories) 村上春樹 編訳(中央公論社)
 これは、現在、ノーベル文学賞に最も近い日本人作家と言われている村上春樹氏が、自らの短編「恋するザムザ」も含む全10篇のラブストーリーを編集した短編集です。興味深いのは、その中に昨年(2013年)ノーベル文学賞を受賞したカナダのアリス・マンロー(Alice Munro)の作品「ジャック・ランダ・ホテル」が収められていることです。村上氏は、この作品を英米文学の翻訳者として有名な柴田元幸氏から紹介されたとのことですが、さすが、お二人ともお目が高いです。学生の皆さんは、現在、そして将来、いろいろな恋愛を経験することと思いますが、この書でも様々な形の恋愛が疑似体験できます。

『人類20万年 遥かなる旅路』(The Incredible Human Journey) アリス・ロバーツ(Alice Roberts) (文藝春秋)
 看護学部1年生には、著者アリス・ロバーツ氏のドキュメンタリー番組Don’t Die Youngを教材にしたので、その際、この書も紹介しましたが、この書の著者ロバーツ氏は、英国の医師・古生物病理学者・解剖学者です。この書は、解剖学的視点から古代人種の歴史を紐解く彼女の半年にわたる世界各地でのフィールドワークの成果を報告する内容になっています。第3章の「遊牧から稲作へ」は、アジアにおける人類の歴史について書かれ、日本についての言及も(わずかではありますが)なされています。この本を読んで、人類の歴史について興味を持った人は、ロバーツ氏が編著者になっている『人類の進化大図鑑』(河出書房新社)もおすすめです。

以上に関係するこれまでの記事です。
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2019年5月3日、スタインベック国際学会3日目です。JohnSteinbeckandSaulBellow:InfluencesandImp...

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読書案内:『恋しくて』(Ten Selected Love Stories) 村上春樹 編訳(中央公論社) - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

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