この秋はどこへでかけてもきれいな紅葉が少なくて一枚も撮らずに帰ってくることも何度かあったほどです。どうも秋口から暖かい日が多すぎたせいかもしれません。例年なら紅葉も盛りの11月下旬に房総南部の山あいの滝撮影に出かけた時も、滝周辺はまだ緑が多くてがっかりしたものです。
この滝は直前の記事にもアップした千葉県君津市の「豊英大滝」ですが、やはり滝の周りは緑が多く季節感が乏しくてあまり秋景色にはならず期待はずれでした。それでも雨の日が続いて水量がいつもよりも豊かだったので、滝の上段と下段を動き回って撮影を続けていました。上段の撮影を終えて下段の滝下へ降りて動いていた時、滝つぼの中にたくさんの落葉が溜まっているのが目に入りました。泡が多くてあまりきれいではないのでカメラを向ける気にはならずにいたのですが・・・ふと、そのたくさんの落葉と水の泡がほんとうにゆっくりと回転しているのに気がつきました。ちょっと白い泡が多くてよくないけれどこれをスローシャッターで撮ろうと思い立ち、しっかりと三脚をセットして撮影を始めました。
シャッタースピードは、1秒、2秒、3秒・・・10秒開放くらいまで撮り続け、滝水が白とびしないようにフィルターやデータ設定などいろいろ工夫しながらけっこう長時間夢中になったものです。風が吹いていなかったのも幸いでした。この写真は数十枚撮影した中の一枚です。シャッタースピードは8秒でした。PLフィルターとNDフィルターも使っています。肉眼でぼんやり見ていると気付かない程度のゆるやかな落葉の動きが8秒間できれいに回転しているように仕上がりました。房総ではお気に入りの「豊英の滝」のほぼ全景を入れて撮影できたのはとても幸運だったと思います。
もしも滝の水量がこの時より少しでも多ければ、落葉は下流へ流れてしまうし、少なければ上流からこんなにたくさんの落葉は流れてこないで途中の岩盤にくっついていたでしょう。この日この時、実に絶妙の水量だったのでこのようにたくさんの落葉が滝つぼに溜まってゆっくりと回転していたというわけでした。おそらく何度通っても、このタイミングに出会うことはなかなかないのではないかと思われるので、貴重な記録を残すことができました。この秋のとっておきの一枚です。
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