こんにちは。市民レポーターの 三井玲子 です。
今回は、6月13日(木)に開催された「線香花火ワークショップ」のご報告です。
主催・会場は、甲府市飯田にある、和のセレクトショップ・ギャラリー「日本の匠と美 ほさか」。
開店37年のこちらのお店は、旧名称「ライブ工房ホサカ」で、おなじみの方も多いことでしょう。
あたりがようやく暗くなってきた午後6時半。和火(わび)師・佐々木巌(ささきげん)さんを講師として、事前申し込みの9名でワークショップが始まりました。佐々木さんは市川三郷町にて、日本の伝統花火を専門に製造・販売する傍ら、その魅力を広めようと全国各地でワークショップを展開されています。
現在、市販の花火はほとんどが輸入品で、線香花火も昔のものより短く終わるつくりになってしまっています。本来の線香花火のよさを知ってもらおうと、佐々木さんは日本の伝統花火=「和火(わび)」師として、積極的に創作活動されています。
まずは、線香花火の原料とつくり方の解説ビデオを視聴。
火薬の三原料は、①硝酸カリウム ②硫黄 ③松煙。そして、美しい火花を咲かせるための四条件は、①包む和紙 ②配合 ③原料 ④撚(よ)り方 です。
今回は、佐々木さんが調合してくださった火薬を自分で和紙にのせて、こよりをつくる要領で包む、という作業を行いました。
のせる火薬はわずか0.08グラム。つまようじの先1.5センチくらいの量です。
〈五色に染められた和紙、火薬(黒い瓶)、道具など〉
何枚か、和紙のみでこよりのつくり方を練習した後、いよいよ火薬を入れて包みます。
和紙の白い部分が見えないように巻くのが理想ですが、紙がちぎれそうになったり、凸凹したり…。
私自身、写真を撮る余裕もなく(汗)、どの方も真剣に、息を詰めながら作業していました(笑)。
〈できあがり。上1本が見本。中2本が練習。下6本が火薬入りです〉
さあ、外に出て、いよいよ自分たちの線香花火に火を点けます!
金属のバケツの中で点火すれば、風よけ効果もあり、いっそう美しく火花が咲きます。
私の線香花火は短命でしたが、長い間火花が出ていた方もいて、全員で線香花火の一生を見守りました。
最後は参加者全員で線香花火の感想や思い出を語り合い、8時過ぎに解散となりました。
― いのちと郷愁を思い起こさせる、線香花火。この夏の思い出に、皆さんもいかがでしょうか ―
~本と歩こう③~
『「八方良し(はっぽうよし)」を目指して 日本・山梨を元氣に! すべては知ることから始まる』
著:保坂浩輝 発行:甲斐傳繫社(2017年刊)
―日本の「本物の品々」を通して、「本当の幸せ」を追求する―
今回は、「線香花火ワークショップ」の主催者、保坂浩輝さんの著書を紹介します。
保坂さんは、和のセレクトショップ「日本の匠と美 ほさか」2代目店主として、全国各地の職人の技による生活用品を収集・販売。「本物」を通じて、人も世界も幸福になる方法を実践・発信されています。
※表紙画像は著者の許諾を得ています。
〈左〉書籍チラシ 〈右/下〉本書(函入り) 〈右/上〉『結』線香花火(佐々木巌)
この本で保坂さんは、ものづくり世界最高の「日本の本物」を日常生活に取り入れて暮らすことは、
一、作り手 二、使い手 三、傳(つた)え手・繋ぎ手 四、環境 五、地域 六、日本 七、世界 八、子ども=未来 この「八方(はっぽう)」(=全方位)のためになる と提案しています。
保坂さんがこれまでの人生で学んだこと、そして、これからの志事(仕事)への決意がこの本の中に記されています。山梨県を元氣にするヒントや、信念と希望、本の装幀にも工夫がこめられた一冊です。
本は店頭で販売されているほか、山梨県立図書館と甲府市立図書館にも所蔵があります(貸出可)。
◆9月13日(金)~16日(月・祝)には 甲府市立図書館 で、保坂家三世代展 も開催されます。
◆『保坂耕人全歌集』
著:保坂耕人著(故・歌人) 発行:ながらみ書房(2015年刊)
◆『自在の竹 保坂紀夫の造形』
著:保坂紀夫(故・竹造形作家) 発行:日賀出版社(2016年刊)
◆『「八方良し」を目指して 日本・山梨を元氣に』
著:保坂浩輝 発行:甲斐傳繋社(2017年刊)
興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください。
何をどう選んで生きるか。この本が皆さんにとって、考えるきっかけになればと思います。ありがとうございました。(三井玲子)
日本の匠と美 ほさか (TEL:055-222-3204)
※7月16日~9月19日まで休業中
保坂紀夫・竹の造形美術館
(休館日あり・予約制 TEL:070-5013-1934)
※7月20日~8月25日営業