◆~本と歩こう⑪~◆
こんにちは。市民レポーターの 三井玲子 (みつい れいこ)です。
風薫る5月。新緑の季節ですね。
今回は、甲府市内(甲府市飯田5丁目)で見かけた気になる木「荒川橋東詰のエノキ」をご紹介します。
山梨県民文化ホール(現YCC県民文化ホール)近くの荒川沿いの道路に、大きな木があるのをご存知でしょうか?
こちらの木は、高さ14m、幹の回り4.8m、推定樹齢300年のエノキの木です。
(山梨日日新聞社編・発行『山梨の巨樹・名木100選』より)
2本あるうちの、幹が太いほうの1本がご神木として祀(まつ)られています。
ご神木の周りはとても静かで、荒川からの心地よい風が木の葉をやさしく揺らしていました。
★ご神木のエノキと妙豊寺(奥)★
土手下にある 日蓮宗・妙豊寺(みょうほうじ)が、このご神木を管理されています。
今回は、妙豊寺のご住職・時澤豊見(ときざわ ほうけん)さんにお話を伺いました。
―ご神木として祀るようになったのは、いつ頃からですか?
昭和8年に、この寺が建立された当時からです。
かつてこの道路は、このような大きなエノキが何本もある並木道だったそうです。
護岸工事や道路の拡張工事で、この2本だけが運良く伐採を免れたという話です。
そういったいきさつで、私の先々代の住職の頃から、ご神木としてお祀りしています。
―お寺としては、どんな祭祀行事をされていますか?
日頃の落ち葉の掃除と、あと年に1回、年が改まる前(年末)に、しめ縄を張り替え
ています。
―傾斜地の上で、幹が太くて、しめ縄を張り替えるのも大変そうですね。
はい。そこは本職のかたに依頼しています(笑)。
造園業のかたが3人がかりで、手を伸ばして張り替え作業をなさっています。
★おとな3人がかりの幹の太さ★
実は、こちらの妙豊寺は「寒修行(寒中水行)」の場として、知る人ぞ知る人気のお寺だとか。
例年、11月の終わりから2月3日まで、朝と夜の寒修行を無料で行うことができるそうです。
ふんどしや白衣を借りることもできます。身を清め、心身鍛錬に勤めたいかた、いかがでしょうか?
年により開催時期が異なるため、興味のあるかたは冬になる頃、お問い合わせください。
妙豊寺:055-222-6005
※ご神木を見たいときは、短時間であれば、お寺の駐車場を使用してもよいそうです。
―取材へのご協力、ありがとうございました-
目の前の荒川沿いには、テニスコートやサイクリングロードがあります。
人々はそれぞれ過密を避けて、テニスやウォーキング、サイクリングなどを楽しんでいました。
★距離を保って楽しむ午後のひととき★
★この日は快晴。富士山も見られました★
~本と歩こう⑪~ 今回は 萩原朔太郎の詩集をご紹介します。
(※書影は出版社の許諾を得ています)
『萩原朔太郎詩集』 河上徹太郎編 新潮文庫刊 1950年発行
旅上
ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりにも遠し
せめては新しき背広をきて
きままなる旅にいでてみん
汽車が山道をゆくとき
みづいろの窓によりかかりて
われひとりうれしきことをおもはむ
五月の朝のしののめ
うら若草のもえいづる心まかせに。
※「純情小曲集」(1925年)愛憐詩編より
高校生の頃、国語の教科書で出会って以来、5月になると口ずさみたくなるこの詩。
今から100年近くも前の詩とは思えないほど、共感できますね。
いつか旅に出る日を夢見て、しばし空想の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。
ありがとうございました。