◆本と歩こう⑥◆
今回は、12月1日(日)にYCC県民文化ホールにて行われた「山梨県民 第九演奏会」のご報告です。
日本各地の年末の風物詩としてもおなじみの、ベートーベン作曲の「交響曲第九番(合唱付き)」。
ここ山梨の甲府においても、28回目の演奏会が開催され、今年も多くの観客が集いました。
▲胸が高なる開演前♪
第一部は、メゾ・ソプラノの山下牧子、バリトンの小林由樹両氏ご夫妻による、「オペラ/アリア、日本歌曲の調べ」。
細田詩織さんのピアノで、詩情豊かな「からたちの花」「落葉松(からまつ)」と、オペラ「カルメン」より「ハバネラ」「闘牛士の歌」の情念の世界を、大人の魅力たっぷりにそれぞれ表現されました。
そして第二部の「第九」。
指揮者は井戸田善之氏。コンサートマスターは山口裕之氏。
ソプラノ渡辺智美、アルト山下牧子、テノール片寄純也、バス小林由樹の各氏で演奏されました。
(プロフィールによると、渡辺智美さんは甲府西高、小林由樹さんは甲府東高の卒業生だそうです)
山梨県民第九演奏会管弦楽団と、合唱団のみなさんの演奏もすばらしく、
「今年も来てよかった。生きててよかった。」としみじみ思いました。
あとはもう言葉にできません。
出演者の方々の全熱量が集結した「第九」から、今年も生きる力をいただいたような気がします。
「山梨県民の第九」がずっと続きますように。
演奏会に関わるすべての方々に感謝いたします。
終演後は、高校生のみなさんによるクリスマス・ソングの合唱がロビーを包みました。
トナカイやサンタも歌う、明るく清らかな歌声に、あたたかく幸せな気持ちで会場をあとにしました。
来年(次回)の開催は、令和2年12月13日(日)に予定されています。
初めての方も、リピーターの方も、ぜひお出かけください♪♪
さて今回は、「第九をもっとすきになる絵本」のご紹介です。
(※書影は発行所の許諾を得ています)
①『はじめてのオーケストラ』 佐渡 裕/原作 はたこうしろう/絵 小学館 2016年 (左)
②『交響曲「第九」 歓びよ未来へ! 板東俘虜収容所 奇跡の物語』 (右)
くすのき しげのり/作 古山 拓/絵 PHP研究所 2018年
①は、日本を代表する指揮者として活躍中の、佐渡裕(さど ゆたか)さんの原作による絵本。
娘さんが小学生になって、はじめてコンサートに行ったときの経験をもとにつくられた本だそうです。
少女「みーちゃん」が体感した音楽のよろこびを、はたこうしろうさんの絵がみずみずしく彩ります。
「第九デビュー」をしてみたいお子さんや、ご家族の方にもおすすめの一冊です。
②は、児童文学作家・くすのきしげのりさんの出身地でもある、徳島県鳴門市での奇跡のような事実の物語。
ベートーベンの「第九」がアジアで初演されたのは、坂東(ばんどう)の地に100年ほど前にあった俘虜(ふりょ)収容所でのことでした。
絵本『あなたの一日が世界を変える』でもコンビを組んだ画家・古山拓(ふるやま たく)さんの絵が、当時の日本人とドイツ兵との交流をあたたかく描きます。
信頼・友情・自由・平等・希望・平和・・・そして「歓び(よろこび)/Freude(フロイデ)」。音楽のすばらしさを教えてくれる絵本です。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。新しい年も、皆様にとって良い年でありますように。