◆『広報こうふ』4月号こぼれ話 〜本と歩こう㉝~◆
こんにちは。市民レポーターの 杉浦玲子 (すぎうら れいこ)です。
今回は、広報こうふ4月号に掲載された「山梨ダルク」のインタビュー特別編です★
取材終了後、広報紙担当の窪田(くぼた)あずみさんにくわしくお話を伺いました。
―― 新聞記者から山梨ダルクスタッフへの転身。周りの反応はどうでしたか?
「私らしい選択だ、と言われました。中には“もったいない”と言う人もいましたが。新聞記者として取材してきた分野で、一番感銘を受けたのが山梨ダルクの現場だったので、自分の中では迷いはありませんでした。母はびっくりしていましたけど(笑)。そんな私に、周りも共感してくれたようでした」
★山梨ダルクスタッフの毛利さん(左)と窪田さん(右)★
―― 依存症当事者との距離の取り方で、心がけていることはありますか?
「ダルクの回復プログラムは、自分が今まで認識してきたルールとは違っていることも多いので、理念から外れないよう勉強中です。依存症の人は、虐待やいじめなどのつらい過去や境遇の人が多いので、ささいなことで傷つけてしまう可能性があります。自分なりに誠意をもつこと、正直であることを心がけています」
―― 広報紙づくりで、工夫されていることはありますか?
「まず、“依存症は病気で、回復する”ことを伝えたいと思っています。でも、理解の押しつけにならないといいなと思って、内容を構成するようにしています。入寮者の皆さんは、自分の体験談などすごくいい原稿を書いてくれます。よりよい記事になるように、その人の状態を考慮して、補足で話を聞いたりしています」
★窪田さんが制作を担当している、山梨ダルク広報紙『甲斐福記』★
―― 最近増えている「ゲーム依存症」について、どう考えていますか?
「実際に、ご家族からの相談や学校からの講演依頼も来ています。小中高生の対象者も多いので、早く手を打つ必要があると思います。ただ、子どもの場合は入寮させて治療することが難しいので、今までの大人向けとは違う支援が必要になってきます。現状では、家族会や自助グループ、医療機関など社会資源はとても少なく支援体制づくりが急務ですが、小さい頃からの教育も重要だと思います」
窪田さんは、山梨ダルク(薬物依存症回復施設)とグレイス・ロード(ギャンブル依存症回復施設)の両方の広報紙を担当しています。ゲーム依存症について相談したい方は、グレイス・ロードまでお問い合せください。
山梨ダルク
グレイス・ロード
~本と歩こう(33)~
※出版社の許諾を得て書影を使用しています
『誰がために医者はいる クスリとヒトの現代論』 松本俊彦著 みすず書房(2021年)
「悪いのは薬ではなく、使い方なのだ」
長年、精神科医として依存症患者と向き合ってきた著者のエッセイ。
自ら命を絶ってしまった患者。間違っていた自分の知識。メディアと社会の病理。
過酷な臨床の現場で、手探りで患者に寄り添っていく著者の姿勢に共感をおぼえる一冊です。
―取材へのご協力、ありがとうございました―