AWA@TELL まいにち

南山大学で、日本語教育に携わる人材の養成を行っています。ホームページも是非ご覧ください。

遭難したら・・・?

2006年01月14日 | 日本語教育
日本語の授業のお話です。

昨日の授業、僕は黙って大きな袋からこんなものを出して、机の上に並べました。

・ インスタントコーヒー
・ 開封済みのペットボトルのお茶
・ 30センチの定規
・ コード付きマイク
・ 耳かき
・ 貯金箱
・ 爪楊枝
・ 綿棒
・ 五徳ナイフ
・ ルーペ
・ 「?」と書かれたボード
・ 雑誌(CD付き)
・ 辞書
・ 日本語の宿題

 さて、何が始まるでしょう?

昨日の授業では、それまで学習したことの復習をしたのですが、徳島大学の日本語教育では、習ったことを丸暗記するということではなく、習ったことを使って実際の場面で使えるかという能力を高く買っています、当然といえば当然ですが。ですから、あるテーマ、ある場面、ある課題が示され、学生自身が自分だけでどのようにその問題をクリアしていくかという練習をたくさんします。自分自身について引き寄せて話すことが出来るというのは、それだけ学んだことが自分の中に入っていくということだと思います。

 さてさて、昨日の授業では、こんな場面を設定しました。

1)上田さんはお金がたくさんあります。それで、みなさんをクィーンエリザベス二世号に招待して旅行に出かけました。

 みんな 喜んでいます。もっとも、クィーンエリザベス二世号がいったい何なのかわからないという学生もいますから、その説明もしますが。

2)ところが、タイタニックと同じ事故がありました。船は海の下です。

3)私達はライフジャケットを着て、ボートに乗っています。

4)島が見えました。ボートには、上に書いた品物があります。これをみんなで分けましょう。

 今週、新しく習った内容に「~ように・・・」がありました。「早く走れるように練習します」のタイプです。
 学生に、どれがいりますか、と尋ねると次々と面白い話が出てきます。たとえば、

火がつけられるようにルーペを持って行きたいです。

なるほど。

おなかが空いたときに飲めるようにインスタントコーヒーをもらいます。

いいけど、お湯はないよ。コップも。

マイクです。助けてくださいという声が良く聞こえるように持って行きたいです。

スピーカー、ないんですけど。

うちが建てられるように定規を。

いつまで島にいるつもりですか?ま、長さがわかれば立てられると言えば立てられなくもないけど・・・

耳かきと貯金箱です。島の人の耳を掃除してあげます。そして、お金がもらえるように貯金箱がいります。

あ、無人島じゃないのね。だったら早く助けてもらいなよ。のんびりしてるねえ。

・・・・

てな感じで、みんなでお互いにつっこみながら話をします。その人なりのユーモアのある回答が出てきて楽しかったです。見てるとね、実利的な道具を選ぶ人、本来の使い方ではない使い方を見つけて道具を選ぶ人、いろいろですね。


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