心臓のあたりに時々鈍い痛みを感じる。何かをした後にかぎらず、寝ているときにも痛みがくる。たまにそれが来るので、気にしないようにしていた。長生きはしたくないのだが、家系的に高血圧、糖尿病、脳機能障害のおそれがある。寝たきりになって介護をうける身になったら、尊厳やら自立だなんて言っていられなくなる。
いわずと知れたCT検査を受けた。この年齢になれば、10ミリ・シーベルトを5,6分ほど上半身に照射しても後悔はない。 福島原発の除染作業に従事したなら、他人様にほんのすこし自慢できるんだが・・。恥ずかしながら、極めて私的な目的と、家族のための安寧を配慮しただけのことである。
検査することで何か不具合が見つかれば、臓器が悲鳴をあげるまえに直すことができる。少なくとも自分を納得させられる安心感がえられるだろう。
五十歳を過ぎたころから、年に1回程度の健康診断で心電図の検査をすると、小さな不整脈をいつも指摘されていた。だからといって身体的な異変、症状はない。これまでにも心臓のエコー検査、運動しながらつまり身体に負荷をかけての心電図測定、あるいは24時間検査機器をつけての心電図検査を受けてきた。そんな精密検査をかさねても、心臓にはなんら異常を発見できなかったのだ。「どーだ!」と言いたいくらいだ。
ある医師は、「問題のある不整脈ではない。心臓にも、それぞれ個性があるし、癖みたいな動きがある。そういうふうに考えたほうがいいケースかな」と、親身のある言葉をいただいたこともある。それは気休めなどではなく、経験と専門知識に裏付けられた見解であると、素人のわたしでも得心できた。
気がかりの点といえば、痛みがいつも特定の箇所から感じられることだ。場所が限定され、痛みが耐えられないものになれば、そこを治療すればいい。それが合理的かなと考えていた。
ここ2,3年ほど物忘れ、失言のたぐいが多い。言動の不一致なども指摘され、自分でも脳が劣化していると真剣に悩んだ。脳のMRI検査をうけたこともあったのだ。どこかの血管に詰まったプラーク(血栓)が脳へ移動し、血流が滞ることによって脳機能に損傷を起こす。最悪の場合には、脳細胞が酸素不足で壊死し、恢復できないケースも多いという。
とまあ、いろいろな検査をうけたのだが深刻な問題はなかったのだが、医師と相談してCTスキャンをして心臓を精細に調べてみようということになったわけだ。心臓そのものや、冠動脈などの血管の中の状態までも目視して診察するから安心といえよう。
CTスキャン検査の結果は、臓器の異常やプラークなどの詰まりなどはなかった・・はずだったのだが。念のためということで、大病院で再検査することになった。最終的には、中性脂肪と悪玉コレステロール値が芳しくないというので、薬物治療をはじめるようになった今日この頃である。
どーも落としどころが見つからない駄文になってしまった。
全身に癌が転移していたという女優、樹木 希林の最期は立派であった。一人の女性としても潔く、端然とした終生を過ごしたようだ。男でも見倣うべき英気と、爽やかな諦観も感じさせてもらった。あやかりたい。ご冥福をお祈りします。