小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

眼衝くピンク球かな花つつじ

2019年04月18日 | まち歩き

ソメイヨシノもあっという間に盛りが過ぎた。そういえば花見らしいこともせず、ただ移ろい変化してゆく様を愉しんだ。

いま街なかを歩くと、濃いピンク色が目立つこんもりとした八重桜にお目にかかる。陽気も麗らかを越えて、やや暑さを感じるほどだ。根津のツツジ祭りも盛況らしいが、ゴールデンウィーク前の浮足立った雰囲気を感じるのはわたしだけではあるまい。

今日、川口松太郎の『愛染かつら』で有名な自性院の前を通りかかったら、山門にあるツツジがまん丸くなって、びっしりと咲き誇っているのが目に飛び込んできた。八重桜よりも軽い、爽やかなピンク色といっていいか、ここまで球体のように集合して咲くのは面白い。

この界隈は寺が多く、趣のある閑静なところだ。鴎外の『渋江抽斎』の墓や、遠藤周作の『沈黙』に登場した転びバテレンのフェレイラを弔ったとされる碑もある。



▲表題の一句を詠んだのは、このまん丸のツツジが目に入ってきたからだ。川口松太郎はこの寺の愛染明王像に着想を得たらしい。

▲昔、真島町と云われた谷中でも格上の住宅街。熊谷守一が画学生だったころ、真島町に下宿していたとされる。

▲数百品種ある桜のうちで唯一、黄色の花を咲かせるという鬱金(うこん)桜だが、これは仄かな緑色とピンクが絶妙に合わさる。時期も4月後半に咲いて、期待を裏切らない。

▲観音院の赤門は我が餓鬼の頃、肝試しのメルクマールなり。最近塗りなおして赤味はさらに強くなった。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。