遂にやらかした。6年も愛用していたタブレット端末を紛失した。以前スペインに行った時も、何度も置き忘れて紛失寸前の憂き目にあった。今回は、台湾の高雄に着いた初日に、その難局が現実のものとなってしまった。
我がタブレットは、スマホよりも一回りも大きい7インチ画面のサイズがあり、そこそこの重量感もある。持ち始めた当初、どこかに置き忘れることはあるまいと自認していた。しかし近頃、寄る年波に勝てず、無意識にどこかに置いては忘れる。何か別のことをしている合間に、そのタブレットの存在をいつの間にか失念しているのだ。
今回も高雄の蓮池譚という観光地(?)で10枚ほど写真を撮っていた。暑くなってきたので、上着をリュックに入れたときにタブレットをどこかに置き、そのまま移動してしまった。バスに乗る寸前に気づいたが、手遅れだと思い現地のガイドに相談した。しかし、ここは日本のように善意に満ちた人は少ない。だから、届ける人はいないだろう、断念したほうがいいと諦めの表情をした。
それから5日後帰国したのだが、その間いろいろ考え、逡巡した後タブレットの契約を解除した。すべてを諦めたゆえの決断で、そう決めたのだから未練はない。
実は当日、妻のラインに、台湾警察は端末を保管していることを書き込んだらしい。帰国後に、それが分かったのだ。私たちは海外に出たら、端末を機内モードに切り替えて、コミュニーケーション機能を遮断する。それはいかがなものか、と我ながら思うのであるが・・。
ま、いずれにしても、台湾の誰かしらが我がタブレットを拾い、警察に届けた。そしてタブレットを操作し、ラインのデータから妻を見出してメッセージを送ってくれた警察官がいたのだ。
この一連の作業というか、人と人との連携に、台湾という国の奥深さを感じた。おりしも、新井一二三の『台湾物語』(ちくま選書)を読みながらの旅行だったので、台湾という島国との因縁に感慨を憶えざるを得なかった。
現地で撮った写真はなんと、グーグルの「Photo」というクラウド機能で、自動的に画像がアップロードされていた。これまでの画像データの大半も、自宅のPCに取り込んでいるので、タブレットが手元になくても困りはしない。
ま、ものを忘れることは、予想だにしないリスクを招く怖れがある。自戒して慎重な行動をこころがけたい。
▲台湾の南、高雄市にある蓮池譚という池あるいは湖。
▲蓮の花が所々に見えた。蓮の花、蓮の実、蓮茶、そのどれもが人間と深い繋がりがあり、ある種の豊饒さをもたらしてくれる。
▲蓮池譚の一角にある龍と虎の塔。龍の口から入り、虎の口から出る、中国の故事を再現した施設といえようか。
▲塔の最上階から見下ろす。
▲ガジュマルの大木が、蓮池譚の周囲に生えている。