小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

人それぞれの15歳を生きる

2022年08月25日 | 日記

自閉症の10代兄妹が描く絵が、とてもユニークなので興味をもった。いわゆるアール・ブリュットほど偏執的ではなく、「世界中のみんなが幸せに」という願いを込めて描いたもので、こちらが元気をいただくような画風である。兄妹の共同制作というのも微笑ましい。作品展は、内幸町の東京新聞本社なので、ついでに日比谷公園や銀ブラへ行く理由もできた。

兄妹は金沢県に住む輪島貫太くん(15)と妹の楓かえでさん(13)。人物や動物がたくさん、ぎゅっと集合している絵が特徴で、そのほかロボットたちも仲良く集まっていたり、とにかく夢が溢れている。にこにこした表情を浮かべた人が多く登場するので、見ている方が楽しくなり自然と引き込まれ、それぞれの表情に見入ってしまう。

15歳といえば高校1年生だ。小生は進学校に入学できたはいいが、やや自閉症気味になってシュールレアリスム風の気味わるい絵ばかりを描いていた。評論家の佐藤優氏に『15歳の夏』という著書があり、その年齢で当時のソ連に単身旅行した体験をまとめたもの。天才と鈍才、その差はあまりにも大きい・・。小生は下駄を履いて、伊豆の山を徒歩旅行しただけだ。人それぞれだから、ま、いいか。

最近、15歳の少女が、見知らぬ母娘を突発的に襲って殺人未遂事件を起こした。少女は「死刑になりたいと思って、たまたま路上で見つけた親子をナイフで刺した」と供述したらしいが、14、5歳のころは兎に角むずかしい年頃だ。

自我形成期と性徴ホルモン分泌が重なって大変な時期であることは確か。哲学者の故池田 晶子に『14歳からの哲学』があるように、この年齢になれば、自分とは、死とは、善悪など真剣に考えはじめる。少女は無明の闇に迷い込んだと思う。このことは別の機会に書いてみたい。

また脱線しそうだ。ともかく、輪島貫太くんは自閉症ではあるが、笑顔で幸せそうな人を画面いっぱいにたくさん描くことで、「15歳」を乗り切ろうとしている。そのフォロワーに自閉症ではあるが、妹さんも一緒に手伝っている。兄弟同士が共感できるのは珍しい? 今後の二人に期待したい。

▲貫太くんとかえでさん

▼帰りに日比谷公園に行った。

▲珍しい八重桔梗をみつけた。このとき作った一句『星生まる八重の桔梗は溽暑より』

 


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