ほぼ2年ぶりに国立科学博物館に行ってきた。高齢者は、常設展示館は無料で入れる。好きな時に出かけ、まず居心地のいい空間に身を置ける。小生にとっていわばアジール(逃げ場所)と言っていい。しかし、ベンチでのごろ寝は許されない。ちょっと微睡み、ガクッと首を折り天を仰ぐ。やおら周囲を見渡し、次なるマイフェイバリット・コーナーに行く。いいじゃないか。
お気に入りは、石器や昆虫の標本や人類進化の歴史など。宇宙線が降りそそぐ現象を可視化した装置、「フーコーの振り子」などは、何度行っても気になってしまう(恐竜は飽きた)。
展示以外に好きなところもある。地球館の屋上で、前面に敷きつめられた板貼りの床が気持ちいい。屋上から眺める上野の森も格別だ。時季によるが、料理でお馴染みのスパイス系のハーブ園もある。緑の葉っぱの独特かつ多彩な匂いは好ましい。今はなんと閉鎖中。密閉空間から開放される場所なのに、なぜしめ出すのか分からない。
※以前投稿した記事から転用。3年前なのに人がいない。屋上に来る人がいなかったんだ。
ともあれコロナ世になった今、事前に予約しないと入館できなくなった。ネットでわざわざ日時を指定し、支払い手続きをするのは面倒くさい。館内が混雑しないようにとのコロナ対策だ。こんなことが続くと、ますます外出するのが億劫になる。
「withコロナ」を科学的に裏打ちした社会、SDGs,とかDXやらを織り込んだ制度設計はできるんだろうか・・。
今回は妻からの強い要望による「植物 地球を支える仲間たち」という特別展へ行った。最近、南アフリカの驚くべき植物事情を知る機会があり、植物の話題に抵抗する理由はない。
一週間ほど前に平日分をオンライン予約。指定日は会期終了の一週間ほど前なので、かなり空いていると思いきや、実際に入館すると観客が肩を触れあうように見学した。
この特別展は会期が夏休みということもあり、主として子供たち向けに企画されたものだろう。といって、面白おかしさを狙う興味本位ではなく、植物の定義からはじまって生命のメカニズム、生物としての植物の歴史、地球における自然・気象との関係、昆虫や人類とのかかわりなど、アカデミックかつ啓蒙的な構成といえた。
最初のコーナーでは「植物という生き方」をテーマにしたもので、地球上の生命の誕生で単細胞を俎上にのせる。人間の卵細胞に精子が入り込む場面と、植物の卵細胞と花粉(生殖細胞)との受精のプロセスを、動画で比較して見せる(解説する)。
理屈では分かっていても、植物と動物の生殖のメカニズムに大きな違いはない。受精すると、決められたルールに従うがごとく細胞が分裂して、倍々に小さな細胞が増えていく。
あたりまえの分かりきったことをもう一度学ぶ。生命の不思議なメカニズムを目の当たりにする。けっこう大切なことだ思い知らされた。地球上の長い歴史的なスパンのなかで植物と動物はほぼ同じように誕生し、共生してきたという自然の摂理を体感できる。
もちろん今回の特別展は、子どもたちの関心を引くように、想像を超える巨大植物やら食中植物などのサプライズ・ネタが盛り沢山。大人の常識からみて、やや食傷気味な内容ではあるが、初心忘るべからずの気持ちで館内を回った。以下の構成で植物の何たるかを、老若男女が楽しめるように工夫されていた。
1.植物という生き方
2.地球にはどんな植物が存在しているか?
3.植物のカタチと成長
4.植物はどのように進化してきたのか?
5.本当は怖い植物たち
6.生命の源、光合成
7.目指せ、植物研究者!
▲ハエトリソウのモンスター。アミューズメントパーク風ですかね。
▲ショクダイオオコンニャクの花
▲奇想天外(Welwitschia)これはレプリカ。ナミビアのナミブ砂漠だけに自生。寿命千年ちかく。
▲青いバラ
↓ 常設館はさらっと観る。
最近、ネアンデルタール人と同時期の人類種の何かが発見されたらしい。