goo

切なく哀しい @ 『ウルトラマンを創った男 ~ 金城哲夫の生涯』

 



 ウルトラQやウルトラマン関連では多くの出版物があります。でもこの本は、ウルトラマンの話ではなく、沖縄の歴史を一人で背負い込んでしまった男・金城哲夫を通して描く「沖縄戦後史」に思えてなりません。著者は玉川学園の同窓生の山田輝子さん。


 よく知られるように、金城哲夫はウルトラQやウルトラマンの中心的な脚本家で、沖縄出身です。沖縄出身なんですが、両親が東京在住中の際に、東京で生まれました。沖縄は中学校卒業時に出て、高校は東京の玉川学園です。


 ウルトラQやウルトラマンで「時の人」となりますが、常にふるさと沖縄のことが頭にあり、ヤマトンチューから「お前は 沖縄をどうするんだ」と問い続けられ、自分も「一体俺は何をしてるんだ」と自問し続けたんでしょう。


 意を決して30歳で突然、沖縄に帰ってきたが、沖縄の芝居の脚本は、ヤマトの言葉でしか書けない。ウチナーグチは知ってはいても、ウチナンチューの様には話せないし書けない。そもそも、ものごとの発想自体がヤマトになってしまっている。


 ヤマトでもなく沖縄でもない宙ぶらりんな自分は、一体何ものかと厳しく自問し続け、アルコール依存症になって、ほとんど自殺のような事故死で、37歳で亡くなります。


 沖縄戦後史そのものような金城哲夫の短い人生。哀しいな~切ないな~。  








a

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 消費税のダメ... 沖縄の旅① 表... »