秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

奥祖谷冬点描

2009年12月29日 | Weblog
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。(三好達治 雪)

先日の寒波に奥祖谷の名峰は白銀の世界と化して、剣山(太郎笈)次郎笈
三嶺、天狗塚、寒峰など剣山系、祖谷山系は見事な風景を見せてくれたが
山麓には重いドカ雪となり土地の人たちの生活は大変な苦労を強いられ、
あまりのドカ雪は歓迎されない。

雲上寺の宮の内和尚は孫のもりや諸々の用事に振り回されて下界の生活に
どっぷり浸かり、腑抜け同然の鈍ら坊主に成り下がってしまった。
和尚は、ながーく山歩きがしたいがために筋力を鍛えようと前々から
運動をしていたのは良いが、やり過ぎてアキレスの筋を少し痛めてしまい
しばらく山歩きを自重する羽目に。

テラオの兄さん
「ほれ、ガイナことしよるけんじゃ、和尚が山へ行かんと天地がひっくり
返るわ、自重する云うけんど、いまにこっそり行くじゃろうて」

yoriyan「なぬー、なんちゅーこっちゃあ、少しは年を考えんかいな」

コテージの管理人「ストレッチを間違えたろう、甘く考えたな、
こうするじゃがな」
持つべきはいい友だちであるとつくづく和尚は思ったものである。

白銀の名峰を目の前にして歯軋りする和尚はなんとも情けない顔をして
縁側で自棄酒を煽って慰めた。


本格的な厳冬期に入るここ東祖谷は秘境のチベット、四国の北海道と云われるほど
不便で厳しい生活を余儀なくされるが、土地の人たちは逞しく楽しく生き抜いて
春を迎える。厳しい自然環境を生き抜くにはしぜんと物事を深く考え、注意深く
工夫して豊かな生活で暮らそうとする。
概して人は便利に楽に暮らしていると不満、不平が多くなり、欲望が際限なく
なり、怠惰に雑念に埋もれて人生を終わるものだが、山里では自然界が
許してくれないものである。
厳しい自然界と生活がハングリー精神を育み、真摯な精神を育んでいる。
ここ奥祖谷では人はしぜんと優しくなり純朴になり豊かな心を持つように
なってゆくようである。
わが人生も奥祖谷に関わり出して久しいが、このまま精神を磨いて豊かな心を
持てるように、たそがれ期に入った人生を生き抜きたいものである。


祖谷の女

1 山に憧れ 祖谷に来た
  真白き三嶺 仰ぎ見て
  急げラッセル 樹林帯
  ひとり佇む 君がいた
  可愛いエクボ 祖谷の女

2 霧氷耀く 雪道を
  励ましあって ラッセルだ
  息を弾ませ  山頂に
  赤いヤッケが よく似合う
  山を愛する 祖谷の女

3 夕陽に染まる 四方の峰
  祖谷の灯りが 見え隠れ
  麓に住みし  君ならば
  明日もきっと 逢えるだろう
  赤いヤッケの 祖谷の女




寂寥とした廃家






ひょうごいし 二連の赤い屋根廃家 





コメント (4)
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