あはれ野に草葉のつゆと消えにけり武士の刀に走る玉つゆ
山さとの奥にひそかな屋敷跡さむらひ人の夢ののこり香
あだに散るもののふ人のいのちかな嘆き悲しむ家人の居りしを
年ふれど朽ちぬものかはなきものぞ栄華のよすが知るは叶はづ
草猛り静寂なりし残暑かな
残骸の五右衛門風呂に秋めける
屋敷跡なきて守るや秋の蝉
かなかなや鳴き止み帳降りにけり
稲妻を瞼にのこす静けさよ
しずかにやしきあとにたたずみ往時の佇まいを思い浮かべていると
鴨長明の名文 方丈記を詠み、感慨深いものであった
「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。玉しきの都の中にむねをならべいらかをあらそへる、たかきいやしき人のすまひは、代々を經て盡きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。或はこぞ破れ(やけイ)てことしは造り、あるは大家ほろびて小家となる。住む人もこれにおなじ。所もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。あしたに死し、ゆふべに生るゝならひ、たゞ水の泡にぞ似たりける。知らず、生れ死ぬる人、いづかたより來りて、いづかたへか去る。又知らず、かりのやどり、誰が爲に心を惱まし、何によりてか目をよろこばしむる。そのあるじとすみかと、無常をあらそひ去るさま、いはゞ朝顏の露にことならず。或は露おちて花のこれり。のこるといへども朝日に枯れぬ。或は花はしぼみて、露なほ消えず。消えずといへども、ゆふべを待つことなし。」、、、、、、、、、、、、
喜多家屋敷跡
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五右衛門風呂 哀れなり
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杉美林
山さとの奥にひそかな屋敷跡さむらひ人の夢ののこり香
あだに散るもののふ人のいのちかな嘆き悲しむ家人の居りしを
年ふれど朽ちぬものかはなきものぞ栄華のよすが知るは叶はづ
草猛り静寂なりし残暑かな
残骸の五右衛門風呂に秋めける
屋敷跡なきて守るや秋の蝉
かなかなや鳴き止み帳降りにけり
稲妻を瞼にのこす静けさよ
しずかにやしきあとにたたずみ往時の佇まいを思い浮かべていると
鴨長明の名文 方丈記を詠み、感慨深いものであった
「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。玉しきの都の中にむねをならべいらかをあらそへる、たかきいやしき人のすまひは、代々を經て盡きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。或はこぞ破れ(やけイ)てことしは造り、あるは大家ほろびて小家となる。住む人もこれにおなじ。所もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。あしたに死し、ゆふべに生るゝならひ、たゞ水の泡にぞ似たりける。知らず、生れ死ぬる人、いづかたより來りて、いづかたへか去る。又知らず、かりのやどり、誰が爲に心を惱まし、何によりてか目をよろこばしむる。そのあるじとすみかと、無常をあらそひ去るさま、いはゞ朝顏の露にことならず。或は露おちて花のこれり。のこるといへども朝日に枯れぬ。或は花はしぼみて、露なほ消えず。消えずといへども、ゆふべを待つことなし。」、、、、、、、、、、、、
喜多家屋敷跡
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五右衛門風呂 哀れなり
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杉美林
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