秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

菜菜子の気ままにエッセイ(お通夜と小唄と時々おばちゃん)

2013年02月19日 | Weblog
祖谷地方に昔から伝わる風習の一つに
《夜伽》よとぎ
がある。

集落の中に死者が出ると、その家に親類はもちろんの事、集落の方々も、通夜に集まる。
その光景はお祭りの当家に集まる人の数よりも、多人数になる。
真っ暗な山里の夜。その家だけが、あちらこちらの部屋の蛍光灯が全て灯り
玄関先には靴があふれ、家の中の話し声が、庭先に聞こえてくる。

先日、集落のお通夜に、行った。
亡くなられたのは、おばあちゃん。
元気な頃の、楽しかった思い出がある。集落のお祭りの時、マイクを握らせたら、必ず唄っていた。その唄は、ほとんど下ネタ~~

『ひとつでたほいのよさほいのほーい~
〇△○□△~』※アドリブ下ネタ~爆発~!!!!
次は聞いたことのないような 昔から伝わっているようだと言われる、小唄。半分はアドリブ?
これまた 下ネタっ!

おばあちゃんは、世話好きで、働き者で、いつも笑っていて、私の、大好きな方でした。
そして、通夜の夜。
ワタシは、気が付いた。
……
……
通夜に来ている、集落の人数が少ないことを。
そうなのです。
かなりの方々が、あちゃらの世界に逝かれたり、引っ越したりで
人数が、激減してしまったのでした。

祖谷のお通夜は、亡くなった方が、ご高齢だと、とても、賑やかになります。
ほとんどの方々が、普通に日常の会話を、ペチャクチャと話します。
ひたすら黙って通夜を、全うするワタシは、黙ってはおりますが
やっぱり《耳》は声を拾います。 ワタシの特技になりました。

部屋に二十人位の、昔は若かった男子。
数人の 昔は赤ん坊だった女子。
以下 会話のみ

『なんと、あのレーザー照射は、あらいのうや~』
『あれは昔なら戦争ぞぉ~!』
『お~そうじゃ!そうじゃ!』
※ビールを飲みながらだからね

『まこと、パチンコは、あれは勝てんのうや~』
『前に誰やら、ずっと玉出つづけて、がいに勝ったんじゃと!台めげとったんぞ!
店員来て、止めてくれえって、がいに頼んだんじゃけど、止めんとしたと~~!』
『あの話しは、最後は金額決めて、渡されて、しまいにしたって聞いたぞ~!』
『まあ、パチンコでは、食うてはいけんのうや~~』『そうじゃ!そうじゃ!』

『ネエサン、ぬくいくに来て、座れろよ、そっちは冷やかろうがえ』
※74歳の女子に聞く男子。
『座りよるぞよ~ここは温いわ~~ワタシだって、腐ってもオナゴシの端くれぞよ~~』
……
……
74歳のおばちゃんを、隣で 観察した

腐っては いない…
普通に見て 生きてるから、腐ってはいない。
腐ったら、多分臭う筈…
まだ、臭わないから、やっぱり 腐ってはいない。
腐りかけ…?とも思えない。
頭が、ぐじゃぐじゃになった

最後になりましたが、お悔やみの 言葉は、
『まあ、こちらのしゅうが、ようなかったんじゃって、まっこと〇◇○○◇□☆~』
まっことから 以下の言葉は、口パクです。頭を下げるのみです。
ワタシは、最近は、語尾まで 挨拶します。

『突然のことで、ご愁傷様でした。長い間のお世話、お疲れ様でした』そして、帰り際
『お疲れをためないように、お体気をつけて下さい…』

祖谷に、昔から伝わる風習も、やがて消滅してしまうんだろうなあ。
祖谷独特の美しい葬送の儀が、あるのにね。
全てをある方に託し、この『村の記憶』を、遺して頂こう。
美しい写真と 共に。

ワタシは 腐りかけ?
賞味期限は ゼロか?

消費期限は大丈夫かも?
混ぜたら?大丈夫か?

草 々
おばあちゃんに合掌













































今日の雪