先日は失礼いたしました、ほんとに驚きました咄嗟には思い出せず
なんとも面目もなく、取り乱してしまいお恥ずかしい限りでした。
まさか、あのようなところで、あのような形でお逢いしようとは
思いも寄らぬことでした。
貴女も非常に驚いたご様子でしたが、よくも覚えていたものと
感心するやらびっくりするやらでした。
街に居るときはよく散歩するのですが、峠に向かって登り眺めを楽しみ
下り坂をだらだらと下ると湯の町に突き当たる僕には好きな散歩道です
初めてお逢いしてお話をし、楽しいひと時を過ごしたのもこの峠でした
その峠で再びお逢いすることになろうとは神様のいたずらでしょうか。
娘さんとかわいいお孫さんとの連れ立ってのことでしたから、長話も出来ず
お互いに近況を簡単にお話しただけでお別れしたのが心残りでしたね。
ある日貴女が仕事の関係でこの街を1ヵ月後に離れることになったと話され
突然に奥祖谷に一度行ってみたいから案内してくれませんかと云われた時は
まったく吃驚してしまいました。
貴女との会話のなかで、ぼくはあまりにも奥祖谷の事を自慢げに話していた
からでしょうか、貴女に好奇心を起こさせてしまったようでした。
制約された時間内で、しかも2月下旬となれば早春とは言え、雪深くて
寒さも厳しい季節なればと戸惑っているぼくを尻目に、「ほら!福寿草が
もう咲き始めているでしょう、雪と福寿草って素晴らしい風景だわ
野生の福寿草って見たこと無いの、是非見たいわ、案内してくださるわね」
と半ば強引に承諾させられました。
小雪まじりの生憎の空模様で寒かったですが、貴女は意に介することなく
うきうきされていましたね、あまり人に知られていない「福寿草の小径」
美しき小径を雪を被った福寿草がそっと顔を出しているのを見つけては
貴女は小躍りしてまるで少女のように目を輝かしていましたね。
貴女はこの小さな花紀行を思い出に街を離れてぼくの前から去って
行かれました。
あの日からもう、かれこれ10年あまりになるのでしょうか、月日の流れは
いつのまにやらと思うほどに早いものですね
貴女との小さな花紀行を柄にも無く懐かしく思い出したのも、先だっての
思いも寄らない再会に心が揺り動かされたことなのかもしれません。
と、ここまで、とりとめも無いことを書いて、あのときのようにこだわらずに
果たしてこの手紙を貴女に出せるものやら、出せそうもないものやら心のなかで
躊躇っています、おそらく出せずじまいになるかも。
こんなことを考えだしたら、もうこの手紙を書き続ける気持ちがなくなりました。
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