雪間よりすくりと立ちし春の花労苦のうきを暫し忘れむ
み山より幾多の糸を集めけり雪解け水で暮らすさとびと
うきことを雪解の川に流しけれ落合富士の庵のそまびと
嶺おろす雪解の風は寒けれど春を告ぐなる心地こそして
早春の嶺を背負ひて野良仕事
春浅し花をめぐりて庵いづる
薄氷に罅入りし間に弾く声
雪間草野べに見付けて微笑みし
山里の家々めぐる雪解風
山際のほうに石段を積み重ね小さなお堂を立てそのなかに弥勒菩薩が安置されていたが
倒木が圧し掛かりお堂が傾いていた、弥勒菩薩は幸い無傷のようでありご無事に鎮座していた
この弥勒菩薩(子持地蔵尊)がおそらく天保13年の祖谷山一揆の首謀者の一人である
国五郎を祀ったものであろうと思われる
近いうちに倒木を取り払う予定だが、お堂は潰れているし柱は腐っているから
元に直すことは難しいだろう
思えば、いにしえの人たちは過酷な環境のなかにあっても自分たちの智慧を出し切って
一致団結して、置かれている立場で刹に生きたのであろう
「置かれている立場で刹に生きる」はいまの世には希薄なように思えてならないが
自然界の動植物に於いては極あたり前の生き方である
森や山を歩いて自然を洞察して肌に感じ心に思うことは動植物がそれぞれの
「置かれた立場で刹に生きている」ことであり、人もそう在りたいものと思う
大枝の弥勒菩薩(子持地蔵尊)