川越雑記帳2(川越見て歩き)

梶原の池

 池辺の熊野神社の境内を裏へ抜け、斜め右方向に行くと右側に小さな池がある。
  
コンクリートで護岸され、白い柵で囲まれている。中ほどの岸が池の中へ入り込み、全体としてコの字形になっている。その出っ張った岸には、鳥居と小さな社があり、松と桜が植えられている。
岸へ近づくと、餌をもらえる思ってか、魚たちが寄ってくる。
この池は「梶原の池」といい、次のような伝説がある。

 「あるとき、源頼朝は那須野へ狩りに行っての帰路、池辺あたりまで来た。
人間も馬も疲れていたが、余興として、主だった家臣と馬の疾走競走を始めた。
ところが、頼朝の馬が途中で悲鳴をあげてしまい、やむをえず競争を中止して、休ませることにした。

 池辺一帯は、梶原平蔵景時の所領で、地理をよく知っていたので、頼朝を清水の湧き出る小さな池へ案内した。馬に水を飲ませたり、冷たい水を何回もかけて足腰を冷やしてやると、馬はすっかり元気をとり戻した。
ふたたび競争が開始され、頼朝は最初から出足よく、ぐんぐん他を引き離し、とうとう優勝した。
喜んだ頼朝は、これはきっと、さきほど馬を休ませた池の水が、きいたからに違いないと、愛用してきた馬の鞍を沈めて感謝の意を表し、あわせて武運長久を祈ったのである。
 だから、この池の底には馬の鞍があって、池の主となっていると信じられており、それ以来、「梶原の池」と呼ばれるようになった。」(新井博「川越の民話と伝説」)

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